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ニューゲーム?コンテニュー?それとも強くてニューゲーム?  作者: おれんじじゃむ
第0章 ニューゲーム
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第0話 意識不明の前世 前編

興味を持って頂き、目に留まる事がありましたらとても嬉しいです。初めて投稿させて頂きますが物語の結末には自信があります。

しかし、拙い文章力、表現力、誤字、脱字が皆様を不快にする事か多々あるかと思いますが、これから努力して精進してまいりますのでどうか寛大なお心で物語を楽しんで頂けたらと思います。

最初は毎週日曜日12時にアップしていきます。

少し遅いペースですが、慣れてきたらペースを上げていきますので是非続きも宜しくお願いします!

だ、ダメだ・・・もう間に合わ・・・なっ!・・・


がっ・・がはっ!!

━━━っ!

良くない夢を見ていたのか目が覚めた瞬間、反射的に体を起こす。息も荒く手足が震えている・・・

「はぁっ!━━くっ、はぁっ!!」


 身体は何ともない。手足もある。起こした体も軽く調子も悪くない。今あるのは、起きる寸前まで見ていた思い出せない夢の圧倒的な不快感。

 とにかく少し落ち着く為にグッと体を伸ばして深呼吸する。


「なんなんだ━━っはぁ。ま、間違いなく人生で一番最悪の目覚めだ。」


 何度が深呼吸し呼吸を整えた。落ち着いた所で、僕は昨夜眠りについてから朝起きてどうしたかを思い出す。


「確か一人で学校に行こうと、歩いてたんだよな。━━」


 しかし、続きが全く思い出せない。早くも頭打ちで記憶のない恐怖と、ただの物忘れだったら・・・という願いが頭の中で渦巻く。とにかく混乱した思考を一度ストップする。そうしてようやく


「は?えっ、何でベッドで寝て━━?」


 今さらながらベッドで寝ていた事に気づく。さっきまでうなされていたからかベッドはあまり居心地がよくなかった。とりあえずベッドから降りて周りを見渡す。身体に異常はなく辺りは薬品の匂い、大きな窓にはカーテンが閉まっていて隙間から淡い月明かりが差し込んでいた。


「夜か?それに、ここは幼馴染の咲の病室?・・に、似てるだけか。」


 ベッドの柵には【烏丸大樹(からすま だいき)】と書かれたプレート。それは僕の名前だった。


「ってか、えっ?病院??」


今まで混乱していた思考が落ち着いた所でまた混乱。ちょっとしたパニックになり同時に一気に血の気が引いていく。先程とは違う夢じゃない、現実に恐怖した。

まだフワフワとする頭の中で考えている事は全て最悪の事態。立っていられず膝に手を付いたら目の前には、ホラー映画で今にも立ち上がり襲ってきそうな不気味な気配を漂わせた人がこちらを向いて椅子に座っていた。


「━━━っひぁ!」


 次の瞬間には目の前の恐怖を忘れてしまう程の恥ずかしい奇声を部屋に響かせていた。

しかしその姿をよく見ると、佇まいこそホラーのものだが髪型、体型、服装は普段見慣れた僕の母さんで間違いなかった。

母さんは椅子に座り体はこちらを向いて顔は伏せている状態だった。


「か、母さん?俺なんで病院で寝てんのかな?ちょっと思い出せないんだけどー。どうなって・・・って聞いてる?」


 ・・・・返事がなかった。僕にはただ疲れて寝ているように見えた。

━━━━━病院で寝てるってことは僕の事で余程心配をかけたのだろうな。


 髪は乱れて酷くやつれて見えた。迷惑、心配ばかりかけてしまったが母さんが居てくれた事が現状で一番嬉しい事だった。

改めて周りを見渡すと、静かな病室には僕と母。あとは誰も見ていないテレビからニュースが流れていた。

 小学生の登校中にトラックが突っ込み庇いに入った高校生が一人意識不明。小学生ら5人は無傷だった。そんなニュースが流れている。

 犠牲になった高校生をまるで世界を救い命を落とした英雄かの様に視聴者に語りかけてくる。

そんなニュースの途中でテレビの電源が突然落ちた。母がリモコンでテレビの電源を落としたみたいだった。

 ━━━って起きてんじゃん。


「母さん。俺、なんで病院で寝て・・・・」


 と聞こうとした僕の話に母さんが割って話しかけてきた。


「大樹・・・・守ってくれた人が死んじゃったらさ、守られた子供たちはどんな気持ちになるんだろうね。」


━━・・・。


 そんなの、言葉になんか出来っこない。喉元まで来て言葉にならずにまた奥へと引っ込んでいく。

数秒考えても答えが出なかった。

 答えが出ない僕は一度落ち着く為にもう一度ベットで横になろうとしたその時だった。


━━━━はっ?誰か先客がすでに横になってる?


「はっ?はっ?えっ?」


 驚きから一瞬仰け反り足がぐらつく。

目の前で横になっているのは間違えようのない人。僕がよく知る人っと言うより・・・


 僕自身だった。


━━はぁ??いや、俺は今ここで立ってて今から横になろうとしてる所で、えっ。いや。無い無いナイナイ!!。

目覚めて数分で三度目のパニックだ。


「ちょっ、かあさ・・・・?」


 母さんに聞こうと振り向いたら、母さんがボロボロと涙を流して立っていた。力なく一歩踏み出した母さんが、立っている方の僕に近寄りなんとそのまま僕をすり抜けた。


「!?いやっ・・・・・は???」


 その先には横になっている僕。母さんは寝ている僕に被さるようにして泣き崩れてしまった。


「大樹!なんで・・・なんで起きないの!?みんな、小学生達もみんな心配してんだから早くおきなざいよぉ!!いつまで、いづまで寝でんのよぉ!・・う・うああぁぁぁあ━━!」


 母さんの声が病室の外、廊下を何度も往復するほどの音で辺りに響く。

 僕の全身の筋肉が小刻みに震えて止まらない。何が起きたか、どうなっているか、記憶を呼び起こそうとその場にうずくまり必死に考え込むが思考が正常に働かない。現実には起こり得ない事が起こってるんだから今思えば仕方がない事だった。


━━━落ち着け!


僕は今二人いる。しかも母さんはたった今僕をすり抜けた。

その時点で最悪の事態を考えて考えて考えて・・・・いくら考えてもそれから先に思考が進まずにいた。いや、認めたくなかっただけだった。本当はとっくに事態を理解していた。


「俺、死んで・・・」


 母の隣で横たわり、返事もしない、目も開けない、動かない僕を強く抱き締めた母さんの腕は震えていた。

 現実を受け入れないようにしてきた僕にも解る母の本気の抱擁を目の当たりすると。僕はようやく現状を受け入れる事が出来た。

 同時に僕にいったい何が起こったのか、自然と頭に流れ込むように記憶が蘇ってくる。


━━━━確か登校中にフラフラ運転するトラックを見つけて、小学生の集団に突っ込みそうな所を僕が庇いに入って・・・


「・・・・全部思い出した。━━あっ!? あぁ・・じゃあさっきのニュースで言ってた小学生を庇ったっていう意識不明の英雄様は・・・・・・・・僕か。」


事態を把握すると同時に僕は


「ごめんな・・・母さん。」

と小声で無意識に謝っていた。泣き崩れている母さんには届かない事は解っていても・・・。

 どれ位の時間だろうか・・・何も考えられないそんな時間がただ過ぎていく。ただ、そのまま諦めてしまう程僕の人生は安くない。

 全てを諦めてしまう程の絶望を味わった僕だがニュースの通りなら意識不明という事が唯一の希望で活路でもあると自分に言い聞かせて何とか戻る方法を考えていた。

 一番はこれしかない。・・・横たわる僕に今の僕を重ねてみた。が、何も起きない。部屋にあるものを手に取り投げつけて起こすという自虐的ではあるが効果の望める手段も全て行動に移した。が、まず何も動かせない。触れるが動かせない。


「まじかよ。・・・・何もできないとか、どうしろってんだよっ!」


 意識不明という活路を見つけて一度助けられた気持ちになっていた僕を、また崖から突き落としてきた現実に何をどうしたら良いのかもう解らない。

 微かに残る気力で他に僕の体に帰る為の手段として考えられるだけの事をすべてやってみる。なりふりなんか構ってられなかった。

 最終的には顔をつねろうとするもすり抜けていた。


「触れないのは解ってるだろうが・・馬鹿かっ!くそっ!」


 ふざけている訳じゃない。だだもう僕には試せることなんてなにも無かった。


 そんな時だった。


「私が大樹の力になります。」


━━━っ!?


 突然名前を呼ばれ驚いた僕は声が聴こえる方に振り向くと、ドアの前には女性が立っていた。


━━だ、誰だ・・・?


 銀色の髪に白のローブのような服、薄く青い瞳と白い肌。何より存在感のある大きな白い羽は彼女の足元まである。僕の想像する天使像がその女性の姿そのものだった。

彼女が僕の方へ歩いてきてしゃがみこむと、優しく微笑み僕の首に腕を回しそっと抱き締めてくれた。

こんな状態になってから初めて声を掛けられ、初めて目が合い、初めて触れられた瞬間に、彼女だけが僕に触れられる事が逆に新たな不安なる。反面、その不安を簡単にかき消してしまった彼女の優しさがただただ嬉しくて、


「ぅ・・あぅぁああぅぁぁぁ!!」


 彼女の肩を濡らす程僕は号泣してしまっていた。




第0話 意識不明の前世 前編

最後までお読み頂きまして有り難うございます!

退屈だな、暇だな、なんて時にふわふわと読んでいただけるだけでも嬉しいです。完結するまで必ず書きますのでお付き合い頂けると、なお嬉しいです。

改めまして第0話、最後までお読み頂きまして有り難うございます!


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