第7話:ゼノさんの想い人は。sideレキ
みなさん、もーわかりますよね?笑笑
次の日。頭痛のする頭を魔法でリフレッシュしながらため息をつく。俺も随分飲み過ぎていたらしい。
それでもゼノさんのあんな一面を見れたのは僥倖だった。一生の宝に出来るかもしれない。俺は、運が良かった。一人で頷きながら宿のドアをノックする。
「レキ君!おはよ」
そう言って部屋から出てきたのは薄いシャツ1枚のユーだった。
「っ~///ふ、服をきろっ!!」
そう言ってドアを無理やり閉めた。彼女が「えー」と言っている声が聞こえたが、それどころじゃない。
本当に、何を考えているんだ。もう17なのに。あれじゃあ、襲ってくると言っているようなものだぞ。
そんな悶々とした俺に気が付くことなく彼女が出てきた。彼女は遠目にも分かる上質な布をふんだんにつかった黒と白のドレスを着ていた。
「そ、その服はどうしたんだ!」
「これ?貰い物なのー」
そう言って笑う彼女。誕生日にでも服屋さんにもらったのだろう。
「そうだった。あって欲しい人たちがいるんだがいいか?」
昨日、あの後魔法で飛んできた手紙。ジークさんとゼノさんがユーに会いたいという事だった。
「うん、いいよ!」
えへへーっと笑う彼女に癒されつつ彼女を待ち合わせのカフェに誘った。
「遅かったな、レキ!」
彼女が着替えてなかったせいだが、そんなこと口になんて出せない。
「すみません。」
「その子が?」
「ユーグラシアと申します。」
そう言ってユーが顔を上げる。
「僕はジーク。で、あっきたきた。」
その時ちょうどゼノさんが来た。
「彼が『ゼノ」・クロックワーカー』
ジークさんの紹介に彼女が呟く。すると、ジークさんは剣を抜いた。
「どういう事だ。何故お前が国の機密を知っている。」
そして、首元に剣先を突きつけられているのにも関わらず、彼女はゼノさんから目を離さない。そして、その大きな金の瞳から涙がこぼれ落ちた。
「なんで、ゼノがここに居るの……?」
ぎょっとしてしまったのは仕方が無い。向けられた剣もジークさんも無視して、挙句国に使えるゼノさんを呼び捨て。
慌ててべんごしようとおもったときだった。
「ユグ。ずっと、待っていたんだ。」
耳を疑った。まるで、ユーがゼノさんの想い人みたいに聞こえるから。
「私は、ゼノの為に!それじゃあ、何の為に私は死んだの?」
その言葉を聞いて、脳がさらに混乱する。
私は死んだ?いつ?なんで?どうして?その疑問を無視するようにゼノさんはユーを抱きしめて転移魔法を発動した。
あれはゼノさんにしか単独で使えない。
本来は大魔法の一つなんだから。それを一瞬で練り、発動させた。
残された僕らは呆然と2人が消えた時の歪みをただ眺めていた。