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アンノウン ~その者、大いなる旅人~  作者: 折田要
ジンセキ
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86.分解と構築

???「君は包囲されている!大人しく投稿しなさい」


作者「うるっせーなっ!投稿すっから、楽んできやがれっ!」







という事で取敢えず1話だけですが投稿しました。

 空には雨が降りそうな怪しい雲は一つも無かった。日の光が林に差し掛かり、若木の葉から水滴がポタリと落ちる。

 この様子から見て昨夜の嵐が過ぎ去った事が窺える。

 そんな外の様子を見たシンは洞窟中から姿を現した。


「あ~結構激しかったな・・・」


 シンがそう呟くのも無理はない。何せ洞窟の外は昨夜の嵐の爪痕から凄まじかった事が窺えたからだ。


「・・・・・・・」


 辺りを見渡すシン。

 大量の雨水によってできた大きな水溜まり。どこからか飛んできて、ほぼシンの目の前にある最も年長だった若木の倒木。恐らくそこにはなかった古い倒木。流れる水等で根元が抉れかけた大きな岩。少し奥の山では土砂崩れが起きていた。

 風速約50mの嵐の爪痕は余りにも凄まじかった。


「ボス、その山は一応岩山に近い山だから被害はないが、他の山では小規模の土砂崩れが起きている」


「・・・そうか」


 シンはそう呟き出てきた洞窟の方へ向いた。


「・・・・・・・・・」


 キャンピングカーを急いで移動させるために後の事を考えず、そのまま洞窟に入ったのだが、もし駆け込んだ洞窟の山が土砂崩れによって塞がっていればほぼそこから出られる事は無かっただろう。

 下手をすれば生き埋め、良くても長時間閉じ込められた事によって起きる窒息がある。


(まぁ、どうにかして出られる方法はいくらでもあるんだがな)


 確かに通常の人間とはかけ離れた存在であるシンはそんな心配はほとんど無い。ただ、脱出に費やする労力と時間を考えれば洞窟での土砂崩れは起きてほしくない。


「アカツキこの周辺にこの洞窟以外で安全そうな場所はあるのか?」


「OK少し待ってくれ」


 アカツキについている複数のカメラがそれぞれをクローズアウトやクローズアップしてシンの周囲に洞窟以上に安全な場所があるのかを調べる。


「残念だが、この周辺にはその洞窟しかない」


「そうか・・・」


 そう呟き視線を洞窟、周辺の林等に向けて、少し考え込んだ。


「・・・・・周辺を防災対策するか」


「つまりここにするのか?」


「ああ、ここを拠点とする」


 考え込んだ末の結論が洞窟の中の壁、周囲の山肌の補強等の防災対策をしてこの場所を本拠地として活動する事に決めたのだ。


「だが、とてもじゃないがそこを拠点にするなら、相当な量の資材と物資、建設工業用の機械とかが必要になるぞ?」


「ああ、だがそれは問題ない」


「どういう事だ?」


 アカツキがそう尋ねるとシンは何も無いはずの洞窟周辺の野原に「収納スペース」(インベントリ)からある巨大な機械を目の前に出現させた。


「それは?」


 それは。それを見たアカツキは一体何の機械なのかシンに訊ねる。


「リサイクル工業機械「ロータス」だ」


「「ロータス」?」


 シンが用意した機械、「ロータス」。形も大きさも大型トラックのコンテナの様だった。全体が白く、「ロータス」の長く広い面にはリサイクルマークの様な曲がった2つの赤い矢印が円を描かれていた。

 これらを見ればその辺に見かけるコンテナと何ら変わらない。だが、明らかにこれがコンテナではないと思える部分はあった。

 コンテナのどちら側かに扉がある側面にはどちらにも観音開きの大きな扉があった。2つの扉にはそれぞれ違うマークの様なものが描かれていた。片面には矢印がドアの中へ吸い込まれるような赤いマークが一つ。もう片面にはドアから矢印が出て行く赤いマークが一つあった。片面の扉の近くにタブレットがある事だけだった。

 しかしこれらがあるからと言って、「ロータス」がとても近代的で凄い機械の様には見えなかった。


「混合した物質を分解してそれぞれ分子を生成して、それぞれの元素の塊となって分離する。そして、その「素材」を指定した物(アイテム)分を用意して稼働すれば作る事ができる。まるで3Dプリンターみたいにな」


「これならゴミしかない状況でもリサイクルして新しい物に変える事ができる、という事か。・・・ああ、なるほど、だから「ロータス」か」


「その通り」


「ロータス」を和訳すると蓮の花の事である。蓮の花には輪廻転生を象徴する。物質を分離して新しく生まれ変わって再利用。故に「ロータス」だ。


「ボス、もしかしてこれがあったから資材とか乗り物をケチったのか?」


 「自動開発」の上位互角のシステムを搭載している「ロータス」。これさえあれば資材や乗り物なぞ材料さえあれば簡単に手に入る。

 だから、シンは武器と兵器と書籍は「ショップ」で入手して、資材と乗り物は現地の素材によって手に入れる。


「いや、そこまで深く考えていなかった。それに資材はともかく、乗り物(ヴィークル)は大きいし、かなり複雑だろ?だから、武器と兵器は衝動買いだと思う。下手したら本もそうだったかもしれない」


 それを聞いたアカツキは呆れ気味に答える。


「・・・改めて聞くが、ボスにそんな衝動買いの癖なんかあったのか?」


 今までの行動を思い起こせばシンが衝動買いをしたのは今回が初めてであった。その為シンらしからぬ行動にアカツキは驚いていた。


「何となくなんだが、こう・・・買わなきゃと思ってしまったんだ」


「買わなきゃ?」


「ああ、何か今まであった物が失ってしまいそうな感じで・・・焦燥感と言うか・・・」


 シンは上手く説明できず、しどろもどろの様な話し方でアカツキに説明する。

 要するにシンが衝動買いに走ったのはここで買わなくてはと、勘が囁いたのだ。

 アカツキは何となく言いたい事が分かったが、話の本質が分かったような分からなかったようなそんな曖昧な解釈だった。


「まぁ、とにかく買わなきゃと思ったんだな?」


「・・・ああ」


 人間とA.Iの違いのせいなのか上手く伝わっていなかった。だが、こればかりはどうしようもないとシンはアカツキの言葉にどこか腑に落ちないものの頭を縦に振る。

 してしまった事にいつまでも議論しても前に進まないと判断したアカツキは、「ロータス」を使ってこれからの事について尋ねた。


「OK、取敢えず、その「ロータス」に何を入れるんだ?」


 シンもその事を察してなのかその疑問に答える。


「これから、必要なくなった物、倒木、洞窟の中にある土砂を「ロータス」に入れる。そこから役に立ちそうな物質をかき集めて、それぞれ一つの元素の塊にする」


「なるほどな」


「まずは俺が持っていた必要なくなった物を「ロータス」に移す」


 シンはまず「ロータス」の扉を開けて「収納スペース」(インベントリ)からパン等の食材のプラスチックの包装、煙草に、煙草の吸殻等々の本人が見ても第三者から見ても明らかにゴミと認識できる物を中に入れる。


「まるで断捨離だな」


「まぁな。これを機に「収納スペース」(インベントリ)の整理もするから間違って無いな」


 次にその辺にあった土や石、枯れ木等々を「ロータス」に入れる。


「取敢えず、物質の塊に留める」


 シンがそうした事にアカツキは尋ねた


「それは、今後の事を考えての対策用か?」


「そうだ。「自動開発」は魔力で一から物を作る事ができるが、必要な素材があれば使う魔力を節約する事ができるからな」


「なるほどな」


 シンが持っている「自動開発」は見合った魔力さえあれば一から指定した物を作る事ができる。だが、必要な素材が調達できれば、使う魔力を少なくする事ができる。つまり、最初から何かを作るのではなく、塊にして必要な時に使う事にした。こうする事で魔力の節約と緊急時の対応の手段の一つにもなる。

 アカツキがその事について納得した時シンは「ロータス」のボタンを押した。すると「ロータス」が稼働した。どうやらスタートボタンだったようだ。


 ギュォォォォォォ…


 その音は「ロータス」の起動と稼働が混ぜ合わせた様な機械的な音だった。その音を聞いてシンとアカツキが何のアクションを起こしておらず、ただジッと様子を見ていた。


 カンカンカンカンカンカンカンカンカン…


 ゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトン…


 入れたほうの扉とは逆の扉からあらゆる音が聞こえてきた。だが、その多くは何か硬い物が床に落ちる音だった。その音を聞けば少なくとも中で何か起きていたのは間違いなかった。


 ピーピーピー…


「ロータス」から電子レンジの加熱終了時の様な音が聞こえた。どうやら終わったようだ。その音を聞いたシンは扉を開ける。


「おお」


 驚きの声を上げるシン。それもそのはずだ。さっき入れたゴミ同然の物が今では分離されてそれぞれの物質の一つの立方体の塊となってできていたからだ。

 成功だ。ちゃんと分離ができていた。間違いなく「ロータス」は正常に稼働していた。

 シンはその塊を一つ一つ拾っていく。


「これは・・・金属か?こっちはプラスチック。これは・・・多分有機物だな」


 一つ一つ拾っていくその物質がそれぞれ何の物質なのかが分からなかった。その為か重さと金属特有の光沢を見て、金属か非金属かで分類していた。


「・・・ボス、それぞれの物質が何が何だが分からないんじゃ、あまり意味が無いんじゃないか?」


「・・・認めたくないけど、そうだな」


 実際アカツキの言う通りだった。指定した物を作るのにそれぞれが何の物質なのかが分からなければ、望んだ物を作る事ができない。

 例えば、鉄パイプが欲しくていざ作るとなったら、持っている塊が鉄なのかどうか分からない金属を利用してしまえば、別の金属のパイプを作る事になり兼ねないのだ。

 その点の事を考えれば今の「ロータス」は未完成と言って良いだろう。

 その為シンは不承不承に頭を縦に振ったのだ。


「俺の考えでは何が分離できたのかを表示できるようにした方が良いな」


「確かに。これが何の物質なのかは一々「収納スペース」(インベントリ)に入れなければ分からないしな」


 シンの「収納スペース」(インベントリ)には何の物なのか分からない物を入れると自動的に分別して、名前が表示される。

 分離してすぐに必要となった場合一々「収納スペース」(インベントリ)に入れて、物質の正体を把握してから使う、だとかなり面倒な上に時間もかかってしまう。


 確かに何の物質が分離できたのかを表示できればそれに越した事は無い。

 扉近くにあるタブレットに何ができたのかを表示できるようにプログラムすれば問題ないだろう。

 また、大型トラックのコンテナ並みの大きさではあるが今後の事を考えれば今の大きさではかなり小さいだろう。

 こういった多くの問題がある為、「ロータス」改造が必要だろう。


 因みに、「収納スペース」(インベントリ)は、何か書かれた書類やメモ等は「書類1」とか「メモ1」とか数字で個別するようになっていた。その為、何の書類、或いはメモ等なのかが分からない。

 一応、名称を変更する事はできるが変更に一々するのはかなり面倒くさい。

 余談だが、シンの場合は変更が面倒な為、それぞれの書類やメモは記憶していた。


「分かった、夕方までその辺のゴミを集められるだけ集めて「ロータス」で分離する。その後、「自動開発」で改造する」


「それが無難だろうな」


 シンは洞窟周辺を見渡しながら低いテンション気味に呟く。


「そんな上手く一発でいいもの作れるわけが無いか・・・」


 シンは小さな溜息を付き、そう呟いた。それを聞いたアカツキは軽く宥める。


「まぁ良いじゃねぇか。今まで持っていたゴミとか、「ロータス」の悪い部分とかが分かって良かっただろ?」


「・・・そうだな」


 再び小さな溜息を付いてからそう答えるシン。その溜息はガッカリしたものではなく、少し納得したようなものだった。

 シンは洞窟周辺にある枝切れや倒木、岩等を手に入れてそのまま「ロータス」に入れて稼働させる。これを夕方まで繰り返していった。



 日が山に吸い込まれるように沈んでいっているせいか辺りはかなり陰りを帯びて、物と物の影が合わさり暗闇の姿が現れ始める頃。


「ボス、今18時頃だ」


「そうか、もうそんな時間になっていたのか」


 素材を手に入れてそのまま「ロータス」に入れて稼働させて、一つの物質の塊にする作業。たったこれだけの作業を繰り返しただけで、時間が過ぎるのはあっと言う間だった。


「この辺綺麗になっちまったな」


「何か、「ご町内お掃除作戦」みたいだな」


「何だそれは?」


「あ~、地域住民が自分達の街のゴミ拾いする・・・強制イベントかな?」


「・・・ボス、俺にはかなり面倒くさそうに聞こえたんだが?」


「掃除は自分の部屋だけは進んでやるんだがな」


「入れて塊にするだけだが、手に入れたのはたったのこれだけか・・・」


 視線を「収納スペース」(インベントリ)に移すシン。そこには「鉄」や「プラスチック」、「ガラス」と言った大雑把に表示されているアイコンがいくつもあった。物質の名称によって分けられていたが、量はそれぞれバラバラだった。


「まぁ、仕様が無いだろ?」


「・・・取敢えずこいつは「自動開発」の方へ入れるか・・・」


 シンはそう言って「ロータス」を「自動開発」で改造する事にした。「これを改造しますか? YES NO」と表示された。シンは躊躇う事無くYESを選択した。


「明日には改造が終わっているようだ」


「そうか。その後はどうするんだ?」


 シンは山向こうの日を見て数秒程考え込む。


「・・・少し早いが今日はここまでにしよう」


「OK」


 シンはそのまま洞窟に戻る。夕食はイノシシの串焼きを頬張り、そのまま「ショップ」で買った寝袋で次の朝を迎える準備をした。


「かなり早いが俺は休むよ」


「OKボス。周辺は任せろ」


 これにてシンがこの島にやってきてから2日目が終わった。


前書きの方は何となく書きたかったからというだけです。伏線とかではありません。

因みに「???」は思いつかなかっただけです。

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