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62.準備

取敢えず一章の修正は終わりましたので、ちょっと気分転換がてらに執筆した次話を投稿しました。

ですのでおかしな箇所があると思います。ご容赦ください。

これから二章の修正作業に入りますので次話の投稿がいつになるのかは申し訳ありませんが未定です。


 外は紅く染まった空に、その原因を作り出している太陽が徐々に黒い山々の中へと吸い込まれるように墜ちていく時間の事。

 シンはロニーが案内してくれた客室にいた。白い壁には絵画が飾られ、赤い絨毯の上に高級家具が揃えられていた。一般人では中々体験できない程の豪華な空間になっていた。

 そんな空間にシンは見向きもせず、明後日の会議の為の服をどうするのかについて深く考えていた。


(取敢えず、この服は収納スペース(これ)に入れるとして、問題は新しい服どうするかだな・・・)


 泥と血が付いたジャケットを脱いでその服を見る。


(洗濯機でも買うか・・・)


 想像以上にベッタリと付いた汚れにそんなことを考えるシン。そのまま「収納スペース」(インベントリ)を開き収納する。黒いノースリーブのTシャツに袴のようなブカブカの黒いカーゴズボン、黒のブーツと言った姿になったシン。しかし、まだカーゴズボンに汚れが着いておりブーツもやや傷んでいた。換える必要があったが今換えてもいいが、体も汚れている。体を洗わなければならないため、まだ着換えない。

 着換えない代わりに会議の為の戦闘時でも問題ない服と考えていた。


(スーツ、か?)


 シンはそう考え「ショップ」を開き新しい服となる大元の黒のスーツの上着と赤のネクタイ、青いシャツ、黒に近い灰色のソフトシェルジャケット、黒いサブマリンズボン2着を購入した。


(あとは「自動開発」でそれぞれ改造すれば良しと・・・)


 スーツとネクタイ、シャツは勿論、ソフトシェルジャケット、サブマリンズボン2着をシン自身が望んだものにするべく「自動開発」を起動させ改造した。すると「自動開発」の画面がカウントダウン表示になった。


(・・・時間は合計で1時間半、か)


 想像していた時間と違った事に拍子抜けするシン。そのまま1時間半この部屋で待つ事にした。


(その間にこの2着の内のどちらか一つが会議用にするが・・・)


 会議で参加するために用意した2着の服の内どちらかで会議に臨むか考えるシン。


「・・・・・・・・・」


 元いた世界で使われているスーツにするか、首元までキッチリとした襟首型ジャケット風のソフトシェルジャケットにするか迷っていた。


「これでいくか・・・」


 決めたのはやはりスーツの方だった。見た感じで言えばどちらも問題は無いが、ソフトシェルジャケットの方であれば少し物々しいとシンはそう感じた。ならばこちら(スーツ)の方がそれ程堅苦しくなく儀礼用として問題無いだろう。


「これで問題ないといいんだが・・・」


 そんなこんなで考えていたシンは誰かがこちらに来る気配を感じた。


(誰だ?)


 コンコン


「シン様、よろしいでしょうか?」


 軽いドアノック音と共に聞こえてくる声は聞き覚えのある声だった。


「は、あっ!少しお待ちください」


 シンは「はい」という前に今の自分が服を着ていない事に気が付き、急いで黒いTシャツと無地のミリタリージャージとデニムを買ってそのまま着た。


「はい、どうぞ」


 シンはドア向こうにいる者を部屋へ招き入れた。


「失礼します」


 そう言って入ってきたのはロニーだった。


「湯浴み場の準備が出来ましたので御身をお清めになって下さい」


「(湯浴み?ああ、風呂の事か)分かりました。すぐに向かいます」


 どうやらロニーは全身がドロドロに汚れたシン達を見かねて湯浴み・・・風呂の用意をしたようだ。しかしシンはある事に気が付きロニーに訊ねた。


「(いや待て、風呂と言ってもお湯を張った湯舟があるとは限らないな・・・)ロニーさん少し良いですか?」


「はい、何でしょう?」


「湯浴み場に湯舟はありますか?」


「ええ、ございますが・・・?」


 それを聞いたシンはホッとした。

 この世界は中世ヨーロッパとほぼ同じで湯舟に入る習慣が無い。もし文明がほぼ同じレベルだとしたら、「湯浴み」はお湯を張った水瓶から汲み、タオルを浸しそのまま体を拭く行為の事を指す可能性があった。


「そうですか、それはありがたい」


「シン様の国では湯浴みの時は蒸し風呂か垢擦りだったのでございますか?」


 どうやらこの世界にもサウナや垢擦りの文化があるようだ。

 元の世界でのサウナは2000年以上前のフィンランドが起源とされている。元々は食料を貯蔵したり、スモークするための小屋が、いつしか沐浴をする場所へと変っていた。そして白夜の夏と厳しい冬の風土の中で、人々の健康に欠かせないサウナへと進化した。

 また、垢擦りは名前の通り角質に汗や皮脂などが混ざった老廃物をそぎ落とす行為の事。

 発祥は諸説あり、ローマの浴場文化やフィンランドのサウナ、中東の大衆浴場(ハンマーム)の一環ではないかとされているがはっきりとした事は分かっていない。

 古代ローマでは石鹸が一般に普及する以前は、まず香油を皮膚に塗り、その後肌かき器という小さな曲がった金属製器具を使って汚れと共にこすり落としていたそうだ。

 日本でも歴史は古く、「垢擦り師」という職業が記録に残っている。また江戸初期には垢すりや髪すきを表向きの理由とした湯女による性的サービス業もあったそうだ。

 因みにだが、適度な角質を落とすのは健康に良いのだが、やり過ぎてしまうと肌を傷めつけてしまう為、多くとも1か月に1回が良いそうだ。


 この世界において同じ方法なのかどうかまでは分からないがロニーが言っていた入浴法とは違う事を伝えた。


「いえ、そうではございません」


「では、水浴びか何かで?」


 更にこの世界でポピュラーな入浴方法なのかをシンに訊ねたロニー。


「そうではなくて、お湯が張った湯舟でしたので久しぶりに入れると思ったのです」


「そうでございましたか。それでは久しぶりの湯浴みでお疲れを癒してください。準備ができ次第湯浴み場まで案内します」


 ロニーはシンの入浴準備をするように勧める。シンは入浴で必要なタオルがあるかどうかについて尋ねた。


「体を拭く物は・・・」


「ございます」


 シンが言い切る前に答えるロニー。


「分かりました。すぐに案内の方をお願いします」


 そう言って早速シンはロニーの後に付いて行った。





「あ」


「「「あ」」」


 ロニーが案内した湯浴み場の扉の前には皆とギア、ネネラがいた。


「ギアはいつここに到着したんだ?」


 シンはギアが居た事に少し驚きいつ来たかを訊ねた。


「うむ、ついさっきだ。体の汚れをこれからエーデル城(ここ)の湯浴みをしようと向かっておったら・・・」


 ギアがナーモ達に視線を移す。それを見たシンは何を言いたいのかすぐに分かり、代わりに答えるように答える。


「出会ったという事か」


 シンがそう答えるとギアは素直に頷く。

 その近くにロニーと出会った時にいた2人の小人族の家令らしき男性達と小人族のメイドと思わしき女性1人がいた。恐らくこの2人がここまで案内したのだろう。


「皆もって事は・・・」


「はい、男女に分かれて入る事ができる大浴場でございます」


「「「おおー!」」」


 思わず感嘆の声を上げる皆。特に女性陣はここ1週間程まともに身を清める事が出来なかったためか声が大きかった。

 しかしシンの反応は違っていた。


(しまった、皆も入るのか・・・)


 シンの身体はBBPの影響で体の一部が黒くなっている。なるべくならそれを見せたくはない。シンは個人で入るものばかりだと思っていたため、予想外の事態に困惑していた。しかし、ここで下手に断れば怪しまれてしまう恐れもあった。


(・・・何かの呪い・・・だと、小人族は魔法に詳しいから疑われるから、魔法の義手って事にしておくか)


 予想外の出来事を取敢えず受け入れてそのままシンの四肢は「義手義足」という事で通す事にした。

 即席の言い訳を考えて決めた時ロニーが


「早速入って御身を清めてください」


 と切り出した。すると最初に入ったのはメイドと思わしき小人族の女性が入り


「さぁ、女性の方々はこちらに」


 その小人族の女性の後に女性陣が入っていった。


「では私達も」


「うむ、参ろう」


 ロニーがそう促しシン達も入って行った。




「シン様、どうしたなされたのですかそれ!?」


 引き締まった軍人の様な体の四肢にはBBPの影響で黒く染まり両足の全指は無かった。こんな説明せずともそんな体をしているのはシンだった。案の定、服を脱いでしまえばこんな反応が返ってくる。しかしこれは想定内。


「あ~、その・・・魔法の・・・義手みたいなもので・・・」


「義手ですか?」


「ええ、昔の戦争で・・・」


 少し含みのある言いよどみを出してしまえば、「この件について聞けば辛い事を思いださせてしまう」と錯覚させることができて、これ以上追及される事は無い。当然ロニーの反応はシンの思惑通りだった。


「そ、そうですか・・・」


 と言ってシンの考え通りこれ以上追及はしてこなかった。


「いや気にしないでください」


 そう言ってロニーの方へ見る。


「・・・・・」


 ロニーの様子を見ると、ククと同じ背の高さで肌の張りと艶は、若々しかった。どこからどう見ても耳以外は普通の10~11歳の少年の様にしか見えなかった。


(ロニーの事を考えると、女性組(むこう)にいたメイドも同じなんだろうな・・・)


 そんな事を思っているシンに対し、ギアは「BBP」となった四肢を見ていた。


(アレは義手等の類なのか・・・?)


 ギアはそんな疑問を抱いているとニックがシンの前を通った。シンの目は通ったニックを追いかけていた。そんな様子に気が付いたニックはシンに訊ねる。


「シン兄、どうしたの?」


「いや、皆逞しくなたなぁ、と思っただけだ」


 決して間違った事ではない事実を言ったシン。実際ナーモ達はあの洞窟の所でシンとギアに寄って徹底的に叩き上げた軍人の様な鍛えられ方をしたため、体は引き締まっていた。とてもとまではいかないが、アスリートを目指している子供の様な肉体だった。

 しかし、ニックは


「そ、そうかな・・・?」


 と少し歯切れの悪そうな返答をした。


「?ああ、少なくとも俺はそう思うよ」


「我も一月前と違って見違える位に強くなったと思うぞ?」


 ギアも同意の言葉を口にする。


「ホントに?」


 ニックの小さな質問に


「うむ」


 と大きく頭を縦に振った。


 少しだけ口角を上げて


「そっか・・・」


 と呟くように言ったニック。そんな様子のニックにギアは


「・・・・・・」


 何をするわけでも無く、黙って様子を見ていた。


「ニック―!早く行こう!」


 そう急かしに来て腕を引っ張るクク。ニックは半ば強引にククに連れられて行った。

 裸一貫となった残りの皆も浴場へ入っていった。


「おおー!」


 思わず驚きの声を上げるクク。それもそのはず。目の前に広がるのは湯気による霧が立ち込めた浴場は城の基調とした色である白が中心だった。通常の人間100人近く敷き詰めてもまだスペースがある程の広さだった。


「相変わらず立派な浴場だな」


 変わらずの高級な浴場に素直に評価するギアに


「そうでしょう」


 そう答えたのは同じく裸一貫となったロニーだった。


「ロニーさんも体洗うのですか?」


「はい」


「他の執事さんは?」


「ああ、交代で入る事になっているのですよ」


 そう言って上から小さな滝となって落ちてくるお湯が張った大きな瓶に近付き近くにあった桶で大きな瓶から湯を汲み体に浴びる。


「皆さまここにかけ湯用の水瓶がございますので、これを桶に汲んで体に浴びてください」


 ロニーからそう言われて同じように大きな瓶から桶に湯を汲み体に浴びた。


「皆様こちらで体を清めた後そちらの湯船に入って下さい」


 ロニーはいつの間にか浴場の少し奥にある湯が溢れ出る長い管の近くにおり、石鹸で体を洗っていた。その石鹸をシン達に見せて


「これはこれ一つしかございません。大切に使ってください」


 どうやらこの世界において石鹸は相当貴重な物の様だ。しかもこの石鹸オリーブオイルの様なもので出来ているのか香りがオリーブオイルの様な独特のにおいがした。





 壁一枚の向こうでは


「あ“~生き返る~」


「気持ちいい・・・」


「おお~・・・」


「ふぃ~」


「う“ぃ~」


 等とあまりの気持ち良さに思わず声を上げる。今この状況から考えれば乙女たちの花園とも呼べる所から低く色気のない声が響けば女性以外の第三者がいるのではと思えてしまうだろう。しかし、この声は残念ながら女性だった。

 男性陣よりも先に浴場に入り、身体を洗い、そのままこれでもかと広い湯舟に錨のように体を沈めてブイの様に頭を浮かばせていた。

 そしてその湯の気持ち良さに顔が至福に綻んでいた。


「ふっうぅっ・・・ぅううあああ・・・」


 ネネラが大きく背伸びをする。大きく背伸びをした時に腕を上げると同時に水面から胸にある双丘が少しだけ浮上する。


 ジ~~~~~~~~…


 ネネラ以外の全員の視線を釘付けにしていたのは無論ネネラの胸部である。


 ネネラの隣のシーナは以前と比べて体が引き締まっていた。胸部には、セクシーというよりは可愛らしい雰囲気の2つのお茶碗がついていた。


(まだまだ、成長期・・・)


 心の中ではそう呟きまだ希望があると自分に言い聞かせていた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 シーナの隣のエリーは難しい顔をして口を小さな三角形になっていた。シンと初めて会った時と比べてシーナの様に引き締まってこそはいなかったが、健康的で恐らく他の同年代の少女と同じ体系だろう。しかし胸は平原であったせいか、ネネラとシーナの胸と自分の胸を比べていた。


(これから・・・)


 体は日が経つごとに丸みを帯びて女性的になっていく。だからまだ分からない。シーナ同様自分に言い聞かせていた。


「?」


 ココは2人の様子を見て何をしているのだろうと思っていた。エリーと同じく健康的で胸部は平原ではあった。女としての魅力に対するまだ意識は薄かった。もうあと少しすれば意識が濃くなっていくだろう。


「・・・・・・・・・・・」


 小人族のメイドらしき女性は諦めているのか見向きもせず只々皆の様子を見ていた。


 それぞれが自分の胸に視線を落とし、溜め息を漏らしていた。





 男性用浴場ではシンが壁の前に立っていた。壁の向こうは女性用浴場があった。


(壁一枚とは言え分厚いせいなのか静かだな・・・)


 壁一枚であれば向こうの音や声が聞こえると考えていたシンは余りの静かさに少し驚いていた。


(まぁ、煩いよりかはまだマシか・・・)


 シンがそんな事を考えているのとは余所に


「!」


 突如ナーモの目がカッ!と見開き顔はハードボイルド並みに厳つい表情になっていた。


「ん?」


 ナーモ様子に気付き目が合った。


「A級!!!」


「???」


 突然大きな声を上げ謎の単語を発したナーモにシンは上せたのかと考える。しかし、今度は歯をギリッと噛み締め、目を強く瞑るナーモ。明らかに悔しそうな顔をして俯き


「俺なんかせいぜいC級だ・・・!」


 と呟いていた。すると今度はニックが


「ナーモは良いよ・・・。俺なんかD以下だよ・・・」


 顔に陰りを見せ、トーンの下がった声でそう答える。よく見れば目に光が無い。


(何だ?何の話をしている?)


 シンは2人で何の話をしているのか分からなかった。するとロニーとギアが


「ま、まだまだ成長途中ですから、ね?」


「うむ、2人とも年の事を考えればまだ伸びるぞ」


 と2人を慰めていた。そんな様子の3人に更に分からなくなったシン。しかし、ククの


「おお~、シン兄おっきぃ~」


 一言と目線によってやっと分かったシン。

 ククの目線はシンの引き締まった体の股間に向けていた。シンもククのその視線を辿って股間の方へ向けた。


(ああ、これの事だったのか)


 股間には男性特有の()()が付いており、皆その大きさを見ていた。そして、シンが一番大きかったためナーモとニックが肩を落としていたのだ。


(これは大きい方なのか・・・?)


 シンは改めて()()のサイズを確認していた。体格通りの大きさだと思って良いのか、本当に大きいのか少し悩みながらも綺麗になった体でこの浴場を後にした。





男性の皆様ならご経験があるのでは?

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