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47.ギルドカード

この話も勢い任せです。

「ここがギルドか・・・」


 シン達8人は帝国ギルド支部の洗脳疑惑の有無の確認と皆のギルドカードを手に入れる為にここまで来た。


 目の前にある大きな建物。その建物は帝国ギルド支部だ。中から荒くれ者が大勢集まり、好き勝手に酒を飲んで時には喧嘩をし、時には下品な程の大声で笑い声を上げているのが聞こえてくる。シンとネネラ2人は平然としていたが、残りの6人は緊張していた。扉のドアノブに両手を掛けてそのまま開けるシン。


 ギィィィ…


 ゆっくり開けたせいで蝶番特有の音が鳴る。するとさっきまで賑やかだった声が急に静まり屯っていた冒険者達がこちらを見る。


「「「・・・・・」」」


「「「・・・・・・」」」


 さっきまでの喧騒がピタリと止まりシン達を見る冒険者達。好奇の目や見定めるような目、初心者と分かっていてか、からかっているのか、やや威圧するような目でシン達を出迎える。


「・・・・・」


「・・・・・」


 シンは「まぁ、こんなもんか」と飄飄とした感じで、ネネラは慣れていた様で2人とも平然としていた。だがこういった場の空気に慣れていない残りの6人は冷汗をかいたり、体がビクッと震わせていた。


「行くぞ」


 シンはそんな状態の6人にお構いなしと言わんばかりに受付まで向かう催促を掛けた。皆もそれに従ってシンの後に付いて行く。



「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょうか?」


 受付の所まで行ったシン達。突然声を掛けられた方へと視線を向けるとそこには受付らしき場所が複数あり、それに合わせて受付嬢がそれぞれ対応していた。その中の1人がシンに声を掛けてきたのだ。


「この子達のギルドの登録を頼みたいのですがよろしいですか?」


 と答えるネネラ。


「分かりました。ではこちらの受付でギルドカードを発行しますのでこちらまで来て下さい」


 そう言って促してくる受付嬢。すると皆は先に誰が行くかについて相談する。


「誰から行く?」


 と聞いてきたニック。シンは冷静に指名する。


ギルド(ここ)で登録してもおかしくない年齢のナーモ、シーナからがいいだろう」


 ナーモとシーナはお互い顔を見合わせて少し考える。


「分かったよ、シン兄」


「私とナーモどっちから行く?」


「ん~、じゃあ俺から・・・」


 ナーモはそう言って先に受付へ行く。


「お願いします」


 緊張気味で登録を申請するナーモ。そんな様子を見た受付嬢はニッコリと微笑みかけながら受け答えする。


「大丈夫ですよ。すぐに終わりますから」


「は、はい」


 ナーモは自分がカチンコチンに緊張して力んでいる事に気付き少し顔が赤く染まる。

 受付嬢は自分の隣の棚から水晶を取り出した。その水晶は丸く、清水の様に透き通った白い水晶で四角い箱で固定されていた。四角い箱の底には小さな引き出しがあった。


「では、この水晶の上に手を置いていただけますか?」


「こうですか?」


 そう言ってナーモは手を置く。すると、黄色の光が水晶から放つ。


「・・・!」


 驚いたナーモに受付嬢は水晶が固定されていた箱の底の小さな引き出しから金属製のドッグタグの様な物を取り出す。


「はい、これでギルドカードが出来ました」


 そう言ってドッグタグの様な物をナーモに手渡す。どうやらこれがギルドカードの様だ。確かにニニラが見せてくれた通りカードというよりネックレスプレートかドッグタグの様なものだった。


「あ、ありがとうございます・・・」


 ナーモはさっきの水晶の不思議な光景のせいか、やや挙動不審気味の返事だった。


「ナーモ、もう終わったの?」


 シーナはナーモに登録できたかどうかを尋ねる。


「うん、どうやらそうみたい・・・」


 登録の手続きがあまりにもすんなりと言った事に拍子抜けをした様な返事で返すナーモ。


「そっか。じゃあ今度は私!」


 さっきの光景を見て面白そうと感じたのかやや燥ぎ気味で登録申請するシーナ。



 そんなシーナの様子を後ろの方で見て熟考しているシン。


(・・・やはりニニラの言っていた通りこの世界の魔法か。どうしたものか・・・)


 シンは以前ニニラが言っていた事を思い出していた。シンはこの世界の魔法が一切効かないためギルドカードを作ることができない。そのためどうするべきかを考えていたのだが結局答えが出ずに今に至っていた。すると


「ボス、あれがギルドカードを作るための手順か?」


 とアカツキが声を掛けて来た。


「ああ、そうだが?」


 何かあると思い声を低く小さくしアカツキに聞く。


「ボス実は・・・」


 アカツキは淡々とワークキャップのカメラで見た事実をシンに伝える。



「!そうだとしたら・・・」


 シンはアカツキが言った事に少し目を見開き暫し考え込む。


「・・・・・」


 別の受付からペンと紙をそっと拝借し何かを書き込む。



「次の方どうぞ~」


 シーナの番が終わり、次はニックが受付へ向かおうとする。その時急にニックの前に影が出現した。


「!シン兄?」


 その陰の正体はシンだった。


「あ、あの?」


 受付嬢も急にシンが出てきた事に少し戸惑っていた。


「もう十分です。ありがとうございました。」


 シンは受付嬢に向かってそう言い終えると、皆の方へ振り返り、口を開いた。


「帰ろうか皆・・・」


「「「!?」」」


 皆にとっては衝撃的な発言だった。ギルドが帝国側かもしれないとは言えこうして多く冒険者が国から国へといきわたっている所から見るとギルドカードは恐らく本物だろう。となればギルドカードを登録したいのは当然だ。ニックは


「シン兄、まだお・・・」


「まだ俺のギルドカードがまだ何だけど」と言いかけた瞬間、シンは書かれた紙を見せた。


 スッ…


「?」


 何だろうと疑問符を浮かべ書かれた紙に目を通した。


「!」


 ニックが書かれた紙の内容を知った事を確認したシンは


「・・・帰ろうか?」


 同じ口調でもう一度言った。


「・・・・・」


 ニックは顔が青くなり、コクリと頷く。


「・・・皆も帰ろうか」


 シンは穏やかに皆に話しかける。だが、明らかに様子がおかしいニックとシンの怖い程の真剣な眼差しをこちらに向ける。


「シン?」


「シン兄?」


「・・・・・」


 シンは皆の方へ行き真剣な眼差しがより怖い程に鋭くなる。


「・・・帰ろうか」


 同じセリフだが、声も低くやや威圧する様に語り掛ける。


「・・・皆も行こう」


 シンと同様に宿へ帰るよう促すニック。そんな様子のニックにシーナは心配で声を掛ける。


「え、ニック?」


 シーナの服を掴んだニック。


「どうしたの?」


 明らかに態度が一変したニックに戸惑うシーナとネネラ。その様子に冷静にジッと見ていたエリーは小さな声で


「・・・シン兄、今回の件と関係ある?」


 と冷静にシンへ尋ねる。


「・・・・・」


 シンは静かにコクリと首を縦に振る。するとエリーは踵を返して


「帰る」


 と言った。そんな様子を見た他の皆は


「え?・・・え?」


「な、なに?」


 と戸惑いの声が漏れる。エリーはピタリと立ち止まって皆の方へ向く。


「・・・・・」


 シンと同様真剣な眼差しで皆の方へ向けていた。


「「「・・・・・」」」


 何が何だか分からないが、こうも立て続けに真剣な顔で「帰る」と言っては流石に何かあると考えが浮かんでくる。渋々ながらシン達の言う通り宿へ帰る事になり入ってきた扉まで向かうシン達。




 するとガラが悪そうな3人組の男の冒険者達がヘラヘラと笑いながらシン達に絡む。


「おいおい、やっぱりぼくちゃん達は帰ってママのお膝の上でおねんね・・・」


 ギンッ…!


「・・・!」


「・・・!?」


「・・・ぇ?」


「「「!?」」」


「「「!?」」」


 シンは「邪魔だ」と言わんばかりに強烈な殺気を3人組の冒険者に当てた。先に煽り文句を言おうとした男が諸にシンの殺気を被った為か一瞬で顔が青褪め、洪水の様に噴き出す冷汗、目を大きく見開き、体が膠着を起こしていた。残りの二人もその殺気に当てられて同様の状態になる。


 だが、その殺気に当てられたのは何もその3人だけではなかった。ギルドの中にいた全員が殺気に当てられて思わずシンの方へ向き、静かにパニックに陥っていた。

 無論シン以外の皆も決して例外ではない。不安と恐怖でシンを見る。


 シンは膠着した3人組の冒険者に


「どけ」


 と低くドスのきいた言葉をぶつける。


「は、はぃっ!」


 3人組の冒険者はササッと道を開けた。そんな様子のシンにナーモは


「シン、兄・・・?」


 シンはフイッと静かに周りを見て


「さぁ、行こうか」


 と4度目の促しの言葉を掛ける。真剣な表情で怖かった顔ではなく普段のような顔に戻り少し安心するナーモ。他の皆は返事や返答の動作もせず、ただ黙ってシンに付いて行った。


 ギィッ…


 蝶番独特の音を鳴らして、パタンとギルドの出入り口のドアが閉まった。


 シン達がギルドから出て行ったのを確認した冒険者達の内の一人が


「ありゃ・・・何だったんだ?」


 と疑問の一言だけを述べてまた更に沈黙が続いた。その沈黙は得体のしれない不気味さと、得も言えぬ不安と恐怖によって沈黙が渦巻いていた。

 そんな中、帝国ギルド支部の責任者のアウグレントは2階から冒険者達同様の状態になっていた。ただ、一つ冒険者達と違っていたのは


(・・・あれは何としてでも手に入れてみたいものだな)


 と恐怖で冷汗をかきながらも、アウグレントの野心に強欲の炎が燃えており、不気味な笑みを浮かべていた点だ。




 ギルドから出て数分。すれ違う人間が少しずつ、少しずつと減っていき、ついにはやや人通りが少ない先程の賑やかだった人通りがまるで嘘の様な静かな通りに来ていた。だがシンはそれでも通りに人がいるのを確認するや否や早歩きで皆を引っ張っていく。そんな皆歩いていく中エリーが周りの様子を見て近くに人がいない事を確認し小さな声で


「どういう事か説明してくれる?」


 と毅然とした態度でシンに尋ねた。その問いに耳を片向けていたのかややスピードを落としつつ、後を付けられていないかを確認するために後ろへ振り向く。


「・・・そろそろ良いか」


 そう呟き、歩きながらシンは一言で


「・・・ギルドカード作成の時にナーモとシーナの情報がダダ漏れになっていたんだ」


 と答える。そんな返答に勿論と言うべきか当然と言うべきなのかと、皆の反応は


「「「・・・・・は?」」」


 と一言だけの返答だった。


前書きにもありましたがこの話も勢い任せの出来合いの作品です。

もしかしたら、後々に修正するかもしれません。

また、何かおかしな箇所がございましたら作者の私にご一報ください。

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