392.遺留品
今回短いです
学生証を見ると明らかに年代が分かる。フタバはヤマンバギャルをしていた。このファッションは1990年代後半から2000年代前半にかけて流行した、ガングロメイクと派手なファッションが特徴だ。1990年代後半から2000年代前半どれだけ低く見積もっても15年~20年位前になる。彼女は40歳でこの世を去った。
(40歳でこの世を去った・・・)
シンはあることに気が付きヴヴストの方へ向いて
「伯爵、失礼だが年齢は?」
と尋ねた。
「今年で58になる。あいつが生きておれば60になっておったな」
「!」
これではっきりした。大きなずれがある。現代世界とこちらの世界が同じ時代だとすれば1990年代ならフタバは生きていることになる。だがそうではなくて、随分前に逝去している。当時40歳だ。その上、生きていれば60歳だ。だとすれば年代のことを考えれば明らかに大きなずれがある。
「・・・!俺は西暦2000年生まれだけど、2人は?」
「え?2000年・・・」
「俺も・・・」
「そうか・・・」
シンは慌てて自分と同じ時代なのかどうかを2人に尋ねた。これだけズレがあれば2人とシンがいた時代が違う可能性も十分にある。そうだとすればまだ確定ではないが2人がいた元いた、現代日本の同じ時間に戻れるのは困難であるだろう。
しかし2人の答えが自分と同じであることに胸をなでおろした。
「やっぱり、来てる人はいるけど、時代がバラバラだね」
「うん、話聞く限りじゃ40年前の話だし、来ている人が全員が同じ年ってこともないか」
「グラフとかにすれば比例しているかどうか位は分かるんだろうけど、データがないから何とも言えないな・・・」
話を聞く限り、何となく予想がついていた。この世界に来る日本人の時代背景がバラバラであること。幸い、自分達は同じ時代の人間であるから何とも言えないどことない安堵が心に染み渡ってきていた。
「他にも日本人が居れば分かるんだけどなぁ・・・」
透が呟いた時、ふと頭に過った人物がいた。
(後でサクラにもソウイチロウさんのことも聞いた方がいいな)
サクラの父親は日本人だ。建築家で変な・・・個性的、で斬新なデザインの屋敷を建てていた。少なくとも建築関係の資格を取っていることと、デザイン面で大学を卒業をしているのは間違いないだろう。但しあまりにも斬新すぎるデザインの屋敷を建てているせいで何年位から来たのかが分からない。
ソウイチロウはもういないから、日本人に関わる情報はサクラしか知らないだろう。どこかのタイミングで聞こうとい考えた。
「あ、これってガラケーってやつだよね」
「ああ」
パカッ
フタバの遺留品の中でケータイがあった。そのケータイは折り畳み式でパカパカ開くタイプで外面には大量のラメシールが貼られており、何かしらのキャラクターのストラップが大量に付けていた。
開いた時の特有の音が鳴って画面を見た。画面は真っ黒で何も映らなかった。
「・・・・・」
ポチ・・・
「電源」というボタンがあり、そのボタンを長押しした。すると
ヴ~ッ…!
「あ、点いた」
画面が白く光って当時のケータイの会社名が表示されて起動した。
「案外充電が残っているんだな」
バッテリー残量が42%だった。正直、よく使っている人間ならかなり使って10%もないだろうと覚悟していた。だが思いのほかかなり残っていた。おかげで何か残されていないか調べる時間が多くあった。
しかし、問題があった。
「えっと、これどうやって操作するんだろ?」
「メニューってどれだろ」
シンたちの世代ではスマホが主で、ガラケーはあまりなかった。だから操作方法が分からなくてしどろもどろになってしまってしまう。お陰でアプリタップするだけですぐ何かしらの機能やサービスを扱うことができる。だがガラケーは予め入っている機能を使用して追加ができない。その上、操作方法が番号キー以外のボタンをゲームコントローラーの十字ボタンを押すような形で操作して必要な機能を選んで押して始めて扱える。
「確か・・・これ、真ん中のボタンを押してメニューを開くはず・・・」
「あ、できた」
メニューからメモという機能を探す。
「当時の人ってすごいよね、ボタンに表示されている事って一部のことしかないんでしょ?ボタンは他の機能があるってことを知っていて使いこなしていたんだから・・・」
「だよな。これにインターネットも使えるようになっていたんだし」
「いや、これは多分インターネットは使えない。多分より古い機種だと思う」
「そうなの?」
そうした会話をしながらメモを探し当てたシンはメモ機能を起動して中の内容を見た。と同時にインターネットが使えるかどうかも探している際にインターネットが使えるかどうかも見ていた。万が一インターネットが使えるならばそれに通じる何か便利な機能があったのならもう少しフタバのことを知れるのではないかと考えたのだ。
ただ、この考えは実は充てにならない。インターネットが使えるケータイでも重くて起動が遅いし、画面が小さい。しかもスマホのようにスクリーンショット機能がないから記録して残すにしても紙とペンが必要だ。だから当時からあまり活用していなかったことの方が多い。
「ああ、それに・・・」
メモ機能を起動させて内容を確認した時、あることに気が付き、言葉を続けてガラケーの画面を2人に見せた。
「え」
「何これ」
画面を見た時思わずそう呟いてしまった2人。透はガラケーを手に取って改めて内容を見て眉間に皺を寄せたり、小さな声で「ん~」と唸ったり、首を捻る表現のものばかりだった。
「フタバさんって宇宙人?」
「文字化け?」
「暗号・・・」
そう表現している3人。だがそう言ってもおかしくない。メモの機能に入っていたデータにはこう綴られていた。
⊇れカゞ言売めナニ人、└⊂゛うカゝ⊇σまま糸売(ナτ言売ωτ゛レまUレヽ