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386.一泊

今回は短いです。

「割とすぐだったな」


 それは馬、コクヨウに乗ってから日が落ちて黄昏時のことだった。その頃に目的地である場所が見えていた。


「どうするボス?そのまま入るか?」


「いや、少し時間をずらそう。このまま入れば馬にしては早く来たと判断するだろ」


 アカツキの問いに山向こうの夕日が落ちていく様を見るシンはそう答える。


「なるほどな。なら一晩近くで明かすか?」


「そうしよう」


「・・・そうか、なら早めに隠れるような場所を探さねぇといけねぇな」


「どういうことだ?」


 その言葉に眼を鋭く細めるシンは改めて周りを見回し、気配を感じるかどうか等をして警戒した。


「断定はできねぇが、ボスの後をつけてる奴が複数人いる」


「・・・気配がないのは遠いのか?」


「ああ。一人高台代わりにデケェ所の頂に登ってボスを視認して旗のようなもので指示を出している」


 それを聞いたシンは目を大きく開いた。


「そこまでするのか・・・」


 シン自身はこの世界ではどこかの国の大物としている存在ではない。ましてや人一人程度ではそこまで大きな脅威ではない。

 それゆえに自分一人、人一人にここまですることに驚く。


「それから、これから向かう目的地から複数人出て法学としてボスの方へ向かっているのを確認した」


 それを聞いたシンは眉間にしわを寄せる。


「挟み撃ちか・・・」


「ああ」


 立ち止まって3秒ほど間を置いてから


「・・・なら、一晩明かすのはなし。目的地に向かう」


 と結論に至った。


「早めに着いたのはコクヨウのおかげさまでってことにするか?」


「ああ、ちょっと無理があるかもしれないがな」


 馬の最高時速は60㎞ほどだ。かなり早い乗り物などがあれば怪しまれないが馬で目的地に着いたというのは時間と速度の面から見て正直怪しまれる可能性が十分にある。だからあまり早く目的地に着くのは無理がある。

 ここで言い訳になる方法がいる。何かないかと考えようとした時アカツキから提案が来た。


「だったらボス、今からいう所に向かえばどうにかできるかもしれない。コクヨウ、指示を出す」


「承知しました」


「どこに向かうんだ?」





 日が完全に暮れて薄明るさが徐々に消えていく時分。その頃に丸太で建設された一軒家の前に2人の老夫婦がある人物を対応していた。


「まぁまぁまぁ、ずいぶん濡れているわねぇ」


 シンだった。シンの体は濡れて冷えていた。ポタリポタリと滴り落ちる水滴の頻度の多さから見てついさっきまで水に浸るようなことをしていたことになる。


「何だ、川遊びでもしたのか?」


「川に流されて、ここまで来たんだ」


 首を横に振りながらそう答えるシンに小さなため息をつく主人に夫人は


「道のりに来なかったの?」


 と心配そうに尋ねた。


「途中で用を足そうと道から外れたんだが、思いの外離れすぎて迷ってしまって、川を辿ったら・・・」


「ハマったのか?」


 代わりに答える主人の言葉にシンは頷いて


「自力で上がった時にここが見えて」


 その言葉に老人は大きくため息をついた。


「なるほどのぉ」


 そう答えた主人は近くにかけていた毛布をシンに放り投げた。


「ほれ」


「ありがとう」


 頭に掛かった毛布を手に取ったシンはそう言って濡れた頭を拭き始めた。主人はシンの奥の景色を覗いて


「少し遅いし、ここで泊まっていくか?」


 とシンに訪ねた。


「え、だが少し先まで行けば・・・」


 確かに目的地はコクヨウで一気に行けば辿り着く。だが体は冷えている。いやシンはその程度では問題ない。そんな理由ではない。

 到着時間の問題だ。おそらくだがここで目的地に到着しても早いだろう。ここ近辺で一旦留まる必要がある。だから人との関わりを持たない方向で野宿するつもりだった。

 だがまさか向こうから泊まらないかと言ってきたことに驚いた。こうした田舎のような集落等ではシンのような余所者にはあまりいい顔しない。だからここで宿泊の提案することに驚いていた。


「いや、日の入りが早くなる時期になっておる。それに服を乾かす必要があるだろう?」


 主人の言っていることは正しい。だから変に断ると怪しまれる。だからここは


「・・・確かに。わかったよ、お言葉に甘えて」


 承諾の選択を選んだ。


「それが良いわい。話し相手がおってわしらも僅かな暇つぶしができるしな」


 そう言って主人と夫人は家の奥へと入っていた。その様子を見ていたシンは入ろうとした時、アカツキから通信が入った。


「ボス、追手の連中諦めたのかすぐに引いていったぞ」


(すぐ・・・?)


 通信内容を聞いたシンは僅かに眉を動かした。いくら他人の家に入ったからと言ってこんなにもあっさりと引き下がるのか。


「どうした、入らんのか?」


 そう考えていた時、主人から声が掛かった。その声にシンは


「ああ、失礼した」


 と返してそのまま家に入っていった。


コロナの後遺症で頭痛を持ってしまい、かなりの痛みが来ている時が多くなって集中して執筆が思うようにできなくなってしまいまして、今回のように短くなってしまうこともあります。

また、投稿頻度も大きく減ってしまう場合もあります。

こんな調子ではありますがよろしくお願いします。

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