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36.一瞬の迎撃

「銃」だの「兵器」だのとキーワード欄に書いておいてあんまり出ていない事に焦って急いで書きまくったおバカな作者の折田要です。勢いで書きましたので表現的に薄い部分やおかしな所があります。

「くっ・・・。(ここまで引き連れて来たのはいいが、やはり2人では無理か・・!?)」


 苦戦し、剣を構えマイナスな思考になっていたのはあのオレンジ色の短髪の女性ニニラだ。そのニニラが相方の如何にも「聖騎士」のような風貌の人物、リースに目を向けていた。


「ニニラ!私が囮なって、首の付け根を切り付けられるか!?」


「・・・・・やってみ、あっ!」


 2人のやり取りに水を差すかのようにシンが前に出た。この3人の前にはグルフ。獅子の前に肉を己の身に括り付けて出るに等しい危険な行為である事はニニラとリースは知っていた。


「ちょっとあんた・・・!」


「下がりなさ・・・」


 ヒュンッ!


 2人はシンが右手で空を切ったように見えた。


「!(右手に血・・・?)」


 ニニラが見た通りシンの右手には血が付いていた。だが、この血はシンの物ではない。


 ドッ・・・


 何かが街道沿いにある大きな木に当たった。


 ゴロゴロゴロゴロ・・・


 ニニラとリースの手前にその何かが転がり、その正体が分かった。


「「!?」」


 それはさっき2人を襲っていたグルフの首だった。


「「・・・・・」」


 ニニラとリースは唖然としていた。何故ならあれだけ苦戦していたグルフをアッサリ殺してしまったのだ。


「・・・・・」


「あ、あなた・・・」


 ニニラは絶句し、リースがシンに声を掛けようとした時、先に口を開いたのはシンだった。


「なぁ」


「?」


 シンが顎でクイッとエリー達を見ろと合図する。2人はシンが見ろと合図した方向へ目を向ける。


「・・・!」


「あ・・・」


 ニニラとリースの目にエリー達が映った時、漸く事の重大さに始めて気が付いた。


「あ、その・・・」


「あんた達・・・大丈夫?」


 その掛け声を聞いたシンは呆れて小さな溜息を吐いた。


「随分今更だな・・・」


「ぅ・・・」


「ご、ごめんなさい」


「はぁ~」


 シンは再び溜息を付いた。しかも深い溜息だった。モンスターを相手に戦っていたという事は何かしらの依頼だろう。差し詰め、「グルフが暴れている、討伐してくれ」という依頼だろう。つまり目的が金銭等の他の目的であったとしても、突き詰めていけば誰かの命を助けるために行っているという事になる。

 命を守る存在であるはずの騎士と冒険者がいくら苦戦をしていたからと言ってモンスターを人通りの多い街道にまで連れてきたのは大間違いだ。下手をすればシン達以外の関係のない人間が巻き込まれていただろう。だからシンはこの2人に対して呆れていた。


「本当に申し訳ございません、それから助けていただきありがとうございます」


「アタシはニニラ。でこっちはリース。ホントにゴメン!」


 シンは呆れていた気分を切り替えるかのように2人に質問を投げかける。


「2人は何故アレと戦っていたんだ?」


 無論「アレ」とはグルフの事である。


「アタシたちは町の近くにグルフの群れがいるっていう依頼を受けて国からの討伐隊としてやってきた騎士団と一緒に戦ってたんだよ。けど・・・」


 何か気まずそうに声のトーンを下げるニニラ。すると代わりリースが説明する。


「予想以上に多かったんです。それでやむなく撤退しようとしたときには、ほぼ・・・」


「・・・お前等だけと?」


「「・・・・・」」


 2人はコクリと頷く。他の討伐部隊は絶望的と思っていいだろう。


「・・・グルフは今何匹いる?」


()()()()()()が、今のが最後かと・・・」


「・・・・・」


 シンは眉を顰める。リースの口から出た言葉「()()()()()()」。予測だけで「最後」と言ったのだ。彼女らは憶測だけで物事を判断している。呆れてため息が出るシン。これはあまり良い状況ではない。もし残っていたら、間違いなく被害が出る。その被害が自分達に降りかかってくる事だって決してあり得えなくない。


「・・・仕様が無い、取敢えずそこまで案内してくれ。えーと、リースさんだったかな?あんたはここにいる子供と一緒にいてくれ」


 リースは数秒程考え込む間を空けて答える。


「・・・分かりました。何があってもお守りいたします」


「頼んだ」


 正直シンは見ず知らずの誰かに皆を守る気は更々なかった。だが、一時的とは言え皆とから離れるのだ。監視はアカツキに任せても問題ないが、直接助けるという事はできない。またリースをここに残らせたのには別の理由があった。リースは鎧を着ている。身軽そうなニニラと違ってリースは動きづらそうな鎧を着ている。いざ避けるという時に動けない可能性があったからだ。また、騎士風の人間がここに居れば、盗賊等の大抵の良からぬ事を考えている連中から守れると考えもあった。

 よってリースをここに残し皆を守らせニニラを案内に任せたのだ。

 シンは早速ニニラに案内を頼んだ。


「場所は?」


「こっちよ」


 当然案藍のニニラが先頭に立って先に行く。シンはその後を付いて行った。グルフが破った街道沿いにある折れた木々の奥は多くの人間や獣、さっきのグルフによって踏み荒らされてできた道があった。


「この奥に?」


「・・・うん」


 やはり、目の前で討伐部隊の仲間がやられて行く事を見たせいか顔色があまり良くない。


(まぁ、グリフがあの程度なら何とかなるか・・・)


 グルフを右手で横薙ぎし、アッサリ殺したシンにとってはもはや取るに足らない問題だった。





「ここだよ」


「・・・・・」


 案内されて、道から出た先は少し開けた場所があった。辺りに充満する鉄の匂い。間違いなく血の匂いだ。更に少し前へ歩くと鎧を着た騎士と思しき死体や武装はしているがラフな格好の冒険者と思しき死体が転がっていた。手足と言った体にあったはずのパーツが散乱していたり、身体から内臓が飛び出ていたり、四肢のいずれかが欠損していた死体がゴロゴロと転がっていた。

 その光景を見たニニラは小さな声で


「・・・ぅ」


 と漏らしていた。


「・・・聞く限りではグルフって凶暴そうとは考えていたがここまでとはな」


 ここにある惨殺体は全てグルフによるものだった。


「・・・ここにグルフは居そうか?」


 シンが尋ねるとニニラは周りを見渡す。


「いや、もういないようね・・・」


「そうか・・・」


 シンはそう言って辺りに転がっている死体の方へ目をやる。


「ここにある死体はどうするんだ?」


「取敢えず、ギルドに報告してここにある遺体を教会に収容する」


 ニニラは顔を歪ませながらそう答える。するとシンはふと、疑問に思った事を口にする。


「誰が呼びに行くんだ?俺と待っている子供らはギルドなんて知らないし・・・」


「うーん、リース・・・は子供たち守ってるし・・・かといってここを離れると魔物とか来るし・・・」


 お互い顔を向き合い、シンは浅く溜息を付く。


「・・・じゃあ頼んだ」


「うん、1時間以内でここに戻ってくるから!」


 シンは手をぶっきらぼうにヒラヒラと振りながら走って応援を呼びに行ったニニラを見送りこの場で待つことにしたシン。



 ニニラが少し離れた所でシンは小さく


「まぁ、ニニラって娘じゃ、荷が重いしな」


 と呟いた。



 ある程度ニニラが離れた事を確認したシンは開けた場所の壁となっている茂みの方へ目をやる。


「さてと、アカツキ」


「ボス、間違いなくいるぞ。それも複数だ」


「アカツキ、周辺に敵は4匹だと思うんだが、間違いないか?」


「ああ、4匹だ。どうするんだ?」


 シンは徐に「収納スペース(インベントリ)」からある物を取り出した。


「丁度試したかった所だ・・・」


 鈍く光り、黒くて長い見慣れたものが現れた。それは銃器だった。KSG(アメリカ製のブルパップスタイルのポンプアクションショットガン)に似たショットガンを取り出し左手で持つ。


「ああ、久しぶりだな・・・」


 久しぶりに銃器らしい銃器を持って懐かしく感じたシン。そのため思わずそう呟き右手でポンプを操作して弾を装填させる。


 ジャコン!


 奥の木々から巨大な影が姿を現す。


 ドス…ドス…


「グルルルルル…」


 4頭のグルフが現れてくる。


「キュイー!」


 猛禽類特有の鳴き声を森の中を轟かせる。まるでシンに威嚇しているかのように。


「夕飯はフライドチキン・・・いや、フライドターキーかな・・・」


 シンはKSGに似たショットガンを構えた・・・!


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