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359.おはよう

コロナにかかって時間かかりました。すみません。

 

「・・・意外とお腹が減らないね」


「むしろこれ以上食べると気持ち悪くなるかも・・・」


 そう呟きながら小さくケプッと噯気を吐き出す2人にシンは軽く注意をする。


「本当に何か食べようとかは考えるなよ?食べてもいいのは板チョコ一枚とか、キャンディー数個とか、ドライミート3、4枚とかで我慢しろ」


 その説明を聞いた2人は眉間に小さく皺を寄せた。


「これ、どれくらいまでお腹がすくんですか?」


「一応、一本につき一食分だから、昼食時までだ」


 質問する葵の目が少し大きくなった。確かにいくらお腹が減らないが売りのエネルギーバーでもここまで持つというのは珍しい。


「すごいですね」


 食べ盛りの年頃の若者からすればエネルギーバー1本など物足りない。運動部など部活に入っていれば物足りないだけでは済まないだろう。そうであるにも関わらず、本当に1本食べただけで他に食べたくなる位に満腹感を得ている。

 だから2人とも驚いていた。


「栄養面とかは?」


「ビタミン、ミネラル、鉄分、タンパク質、炭水化物、脂質・・・とにかく人間一食分の摂食以上の高い栄養価はある。ここで食いしん坊だからと言ってどんどん食べてしまうと逆に体調不良になる」


 答え始めに「えーっと」と付けながら答えたシンに透が更に尋ねた。


「どういう目にあるんですか?」


「特定の栄養を過剰摂取するから、吐き気に嘔吐に頭痛、腹痛、満腹中枢に係わる神経の異常を来たして場合によっては過食症か拒食症のどちらかの摂食障害を引き起こす」


 答え始めに付け足す言葉が今度は「確か」と呟きながら答えたシンに2人は


「・・・・・気を付けます」


「・・・・・」


 反応を示して若干青い顔になって静かに頷いた。

 透は生唾を飲み込んだ。味良し、栄養(なかみ)良し、満腹(まんぞく)できる内容であるからに食べ盛りの透からすれば「もう一本」と考えていた節があった。

 だが、さっきの説明を聞いた時、すぐにその考えを改めた。

 下手に()()に手を伸ばすのはやめよう、と。


「それよりも向こうはこっちがどれだけ早く来ているのかなんて知らないはずだ。だから向こうが来たことを確認したら、すぐに動くぞ」


「念のために確認するのですが、これをするのは飽く迄も航空技術を持っている事を相手に悟らせないようにする為ですよね?」


 切り替えるシンの言葉に2人も同じく切り替えて会話に参加する。


「ああ。仰々しいがこうでもしないといけないと考えている。ゴメンな、合わしてくれて」


 シンの軽い謝罪の言葉に2人は軽く首を横に振った。


「所謂パワーバランスってやつですよね?多分出回ったら拙いっていうのは何となく分かります」


 葵がそう言うと透が「それに・・・」と繋ぐように話に入った。


「俺らはシンさんにお世話になってますので、せめてこれくらいは・・・」


 自分達が助けてもらっている上に自分達の身の上の件で動いている事で気にしている。


「そこまで気にしなくていい・・・。日本人の誼と思ってくれ」


「はい」


「・・・・・」


 葵は静かにウンウンと頷いた。





 あと僅かな時間が経てば夜明けの光が差すかどうかの時間帯。そのせいで少しずつ暗さが消えていき薄明るさが「明るい」と言う単語に成り代わっていく時間帯。


「時間かかるな」


 当然現時刻は早朝も良いところ。だから朝早くと言ってもまだまだ時間がかかる。だから時間が余っている。だからなのか会話を切り出してしまったのは。


「相沢、君は」


「透でいいですよ」


「・・・じゃあ、シンでいい。ぎこちないだろ?」


 何となくぎこちない会話の様子だったシンにフランクで接するように切り出す透の言葉に甘えたシンもそう切り出す。


「うん、それで?」


 スムーズに話を進める様にアッサリとした口調で話し始める透にシンも葵も乗っかった。


「どれくらいの時間待てるんだ?」


「2時間くらいなら」


 その答えにシンはウンウンと頷いた。


「何で待っていたんだ?」


「ジェットコースター待ちで」


 その答えを聞いたシンと葵は共感していたからか、小さな声で「ああ」と呟きつつ、ウンウンと頷く。


「かなり待った方だな」


 透は「うん」と声を出して頷きつつ


「どうしても乗りたくて粘ったんだ」


 と答えた。何となくではあるが納得のいく答えだった。


「そうか、葵は?」


「っ・・・私?4時間」


 自分に声がかかるとは思ってもいなかったのか、言葉に一瞬詰まって答えた葵。透は自分の倍の時間で待っていた事がある葵の事実に少し目を大きくした。


「4時間?何を待っていたんだ?」


「アーティスト」


「アーティスト?何の?」


「「HIASOBI」」


 その言葉を聞いて流石に納得がいった。


「「HIASOBI」って最近流行っている?」


「そ。推しのアニメでハマった」


 葵の言う「HIASOBI」とは「ST」(share TVの略でシン達がいる現代世界の有名で大手の動画配信サービスの事)で一躍有名になった女性アーティスト集団の事だ。当初は動画投稿だけで再生回数に応じての広告収入で活動していたのだが、話題が話題を呼んで今ではドラマやアニメなどのOPやED、テーマソングを手掛けるようになった。

 余談だが、葵の「推しのアニメ」が切欠にワールドツアー開催決定して、現在活動中だ。


「なるほど。2人はあとどれくらい待てれるんだ?」


 会話に参加したものはいいが正直葵の言う「推しのアニメ」はあまり知らないのだ。と言うのは、シンがブレンドウォーズが切欠にこっちの世界に来る前にはそんな「推しのアニメ」は無かったからだ。

 いや、と言うよりも先に知りたかった事があるようだった。


「試したことはないから分かんないな」


 と言いつつも透の口調からしてどことなく待つ事に自信がなさそうな印象がある物言いだった。対して葵の答えは


「何時間でも」


 とキッパリとした答えだった。その答えを聞いたシンは


「そうか。やはりか・・・」


 と呟いた。その事に葵は


「何?」


 と口調強めに聞いてくる。何か探りを入れているようだったからか、試されているように感じたからかは分からないが不快だからやめてと言わんばかりの口調だった。


「いや、大した事じゃない。ただ・・・」


 不快にしてしまった事に申し訳なさと、ちゃんとした理由を言おうとするシンだったが、丁度その時、気配とアカツキの通信が入った。


「・・・・・」


 突如無言になるシンの様子を見ていた2人は眉を顰めた。透は違和感を感じて気を張り、葵は不愉快そうな顔から何かあると感じ取ってすぐさま周りを警戒で気を張った。


「どうした?」


 違和感を先に感じた透は先に尋ねた。後から警戒した葵はすぐさま想定していた事を口にした。


「来た?」


 星の柱のメンバーがもう来ているのではないかと考えてそう尋ねた。透はその問いにもう来たのかと更に警戒を強める。

 だが、シンの次の言葉で


「ああ、俺達の後ろにな」


「「っ!?」」


 向こうが上である事を思い知らされる。

 向こうが指定されていた指定地から離れた、シンが指定した場所は木々に覆われており、とてもではないが向こうからでは分からない場所ではあった。

 だから、向こうからでは猟人等山や茂みに覆われた環境に慣れている人間であればすぐではないものの時間かけて分かる程度の場所に陣取っていた。

 であるにも関わらず、腰かけていた3つの岩の後ろから


「おはよう。ほんとに()()()()だね」


 挨拶が聞こえてきたのだ。それもイヒメの声だ。


「・・・おはよう。こっちでは三文の徳だからな」


 シンはそう答えてそっとイヒメの方を向いた。

コロナにかかって一応2週間以上たっていますが、症状が治まらなくて仕事も執筆活動も思うようにできなくて時間がかかっていました。

申し訳ありませんがこんな調子で執筆活動を続けていく事になりますがよろしくお願いいたします。

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