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アンノウン ~その者、大いなる旅人~  作者: 折田要
一の代価から十の結果
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340.歩みを早める者達

 自国は午後の4時頃。

 シン達はチャチャと相手した後、カミコとの謁見を望む。だがカミコは急用との事で急遽謁見の時刻を午後になった。待っている間、シン達は昼食がてらに客間にて案内されてそこで待機する事になった。

 食事をした後、シンはさり気無くサクラが所属している組織についてを探りを入れるも、アンリはシンが何を言うのかを予測できていたせいか、思うような成果を得られずに終わった。

 そのまま時間が過ぎてカミコとの謁見の時間になって謁見として用意された客間に向かい、各々は座敷の上に座ってカミコとの対面した。

 そしてこの国でサクラが所属している組織に顔を出す事になった事と、大陸に行く事になった事を直接伝えた。


「なるほどのぅ・・・ならば終わり次第、大陸に戻るがよい」


「はい、痛み入ります」


 案外すんなりと承諾する事に正座しているシンは眉を顰めた。


「堅苦しくせんでもよい」


「・・・ワタシが王族だからで?」


「それもあるが、帥が日本人との子であるという事に興味があるのじゃ」


「「「!」」」


 堅苦しい挨拶をするサクラにカミコは笑いながら崩しても良い事を伝える。その事にサクラは自分が王族である事を理由でそう言っているのかと考えた。

 だがそうではなくサクラが日本人との間の子である事を理由だった。

 その事にシン達は驚いていた。ただ一人を除いては。


「この場であるから正直に申そう。帥達が「アレ」に入っている事、目的も妾は重々に承知しておる。それ故にサトリを泳がしておるのも許しておる」


 その言葉にサクラは眉間に僅かに動かした。


「・・・シンの事を狙っているのでございますか?」


 シンの事、つまりは日本人であり、かなり()()()人物に当たる。それ故にシンの事を狙っていてもおかしくない話ではある。


「・・・姿勢を崩しても良いぞ?辛かろう?」


 話を逸らすのかと勘繰ったサクラは目元が鋭くなり始める。そのタイミングを見計らったように


「・・・遠慮なく」


 と言ってシンは正座から即座に胡坐をかいた。


「シン・・・」


 その様子のシンにサクラは疑問が混じった小さな溜息交じりの声を上げる。


「これは飽く迄も俺の想像だが、俺もサクラも、それからサトリも・・・ここに集っている人達全員はこの世界において大きな影響力を与える人物じゃないのか?」


 崩した姿勢にシンはそう言う。


「・・・・・」


 黙ったままシンの話を聞くカミコは持っていた扇子を開いてシンの話の続きを耳を傾ける。


「俺に限っての話じゃない。だからサクラにもこの国の生まれのサトリもアンリも・・・」


 シンが言っている事に反応するかのようにカミコは開いていた扇子を閉じた。同時に


「確かに当たっているのぅ」


 と答えた。


「カミコ様はこの事について知っていたのですか?」


「承知しておる。更に言えば、帥以外の者達の事情により国を跨ぎ、集いの場に身を置く事もサトリから聞いておる」


「・・・!」


 その一人、サトリだった。


「~♪・・・」


 明後日の方向へ向いて口笛を吹いて誤魔化すサトリにサクラは


「・・・・・」


 無言の圧をサトリの方へ送っていた。


「それにマエナガの話からアンリの事についても僅かながらも知っておる」


 その言葉を聞いたサクラはアンリの方を向こうとした時、アンリは先に口を動かした。


「この国の情報網はかなりの腕前だからね。私の事については僅かに出している。それ以外は何も言っていないよ」


 確かにアカツキの衛星からの目から見て、実際モミジやクレハが動いている事は明白だ。その上、他にも上空からでも分かりにくい位の諜報活動らしき動きをしている事から、オオキミ武国の情報網は甘く見る事ができないのは間違いない。


「妾は期待しておる。国を跨いで集っている者達が集い、大きく事が変わる様を、な」


 カミコの言葉を聞いたシンは目元を細めて


「・・・カミコ様が言う「違和感」と関係があるのですか?」


 と口にした。

 その言葉を聞いたカミコは扇を開いて口元を隠して


「・・・白日の下に明かされた時は申そう」


 と目元を鋭くしてシンを睨み返すように見ながらそう言った。言い出す事が出来ない「何か」と言える事があるからか、そう言うカミコにシンは


「分かりました。その時まで」


 と答えた。


「うむ」


 その言葉に納得したのか扇を閉じてそう答えるカミコは腑に落ちたような顔になる。その様子を見たシンは大陸側に何か自分達が考えている以上の「何か」が動いていると考えた。


「以上じゃ。帥達がこの世界の「歩みを早める」存在である事を改めて知ってもらう事が出来ただけでも十分と言えよう」


 カミコの言葉を聞いたシンは目元を細める。


「「歩みを早める」・・・」


 オウム返しにそう呟くシンの頭に過るのは、仕方ないとは言え、自分からアスカールラ王国に技術提供をしてしまった事だった。

 自分から提供した技術は正直な話、正確に再現できるとは考えていない。複雑な構造、形のパーツがあるから作り上げるのはかなり難しいと考えている。例え再現できたとしても大量生産ができないだろう。

 特にショットガンはこの世界からしてかなり複雑な構造と複雑な形のパーツが多い為、製造生産はかなり困難だろう。

 そう考えているシン。

 だがカミコのこの言葉を聞いたシンは高を括っていた事が酷く大きな間違いを犯しているのではないかと焦燥感が胸の内で煽ってくる。


「努々忘れる出ないぞ?」


 念を押すこの言葉が酷く圧し掛かるような重みを感じた。


「はい・・・」


 重みを感じたシンはカミコの言葉を受け止めて胸の内に深く刻み込む様に肝に銘じた。シンの返事の言葉を聞いたカミコは


「ふむ・・・」


 目元を少し細めて納得したような声を吐き、コクリと頷いた。


「話はここまでとしよう・・・。後は帥達で今後の事についてを決めると良い」


 そう言い渡されたカミコ以外の全員は態度や礼、言葉で返事する。全員の返答は「YES」だった。その様子を見たカミコは扇を口元に当てて


「少し早いが夕餉とせい」


 と呟く様にそう言う。その言葉にシンとサクラは


「「・・・頂きます」」


 と同時に被り、お互いに顔を見合わせた。

 その様子にカミコはクスリと笑う。お互いに見合わせたシンとサクラは少しの照れ臭さと何で同時と言わんばかりの表情になっていた。

 そして、別室に移動してカミコと共に全員で夕食を楽しんだ。



 この時シンは深く刻む様にして肝に銘じたカミコの言葉を本当の意味を知る事になるのはそう遠くなかった。

という事で「一の代価から十の結果」編・・・と言うべきか章と言うべきか、一先ずここまでとさせて頂きます。

ここまで読んでくださった方々からしてなんだこのタイトル?、とか、「一の代価から十の結果」っていうのはどういう事だ?、と思ったでしょう。

端的に申し上げますと、以前に手に入れた、誰と誰が邂逅した、事柄に遭遇した、と言った事が今後においてどうなるのかのさわりだけの話をしようとしていただけの事です。

もしそぐわない形でしたらタイトルを変える事になると思います。

混乱された方々には申し訳ありませんでした。


今後は次章での「アンノウン ~その者、大いなる旅人~」の根幹となる部分や本格的に大きく話が動く面が多く出てくる予定にしています。

ですのでプロットを考えながら執筆活動に入ります。

また、ほぼほぼ休憩無しに仕事と執筆活動をしていましたので最近じゃ思うような話が出来ていません。その上、仕事等でプライベートが思うように取れなかったという事から一旦休みを入れるという事で投稿頻度が大きく落とそうと考えています。

そう言う事ですので楽しみにされていた方々には申し訳ありませんが投稿頻度一月につき最低でも1話、最高でも4話位に下がります。恐らく4話はかなり厳しいので3話が限界だと思いますので、どうか御了承くださいますようお願い申し上げます。

本当に申し訳ございません。


一先ずは今章はここで終わりとなります。

今後とも「アンノウン ~その者、大いなる旅人~」をよろしくお願いいたします。

ここまで今章と後書きを読んでくださりありがとうございました。

次回をお楽しみに!


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