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アンノウン ~その者、大いなる旅人~  作者: 折田要
旅の準備
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32.ギアの帰還

「アンノウン」というタイトルに対して色々思う所がありまして、「アンノウン」から「アンノウン その者、大いなる旅人」に変更しました。混乱するかもしれませんが取敢えずこのタイトルで物語を進めていきたいと思っております。

急いで書き上げましたので文章におかしな所があると思います。

 アカツキを空に放ってから5日経った日。シンは昼食を皆に出していた。


「シン兄、これって・・・」


「ああ、昨日の獲物でジャークチキンを作った」



 遡る事、昨日の夕方―


 シンはダチョウの様な巨大な鳥を狩って帰っていた。枯草色の羽毛にクジャクの様に尾羽が大きく上に向いていた。ダチョウの様に退化した小さな翼に、黒みがかった灰色の足は太くて長かった。首もダチョウのように長かったが、羽毛が多かった。

 そんな鳥の胸部から大量の血を流して死んでいた。


「シン兄、このライドモアはどうしたの?」


 驚きながらナーモが聞いてくる。どうやらこのダチョウモドキは「ライドモア」と言うようだ。


「狩ってきた」


 アッサリとした返事するシン。まるで今買い物から帰って来たと言わんばかりの答え方だった。


「・・・・・」


 ナーモは目を大きく見開いていた。だが、それは驚愕した表情ではなかった。何かに怯えていたような顔だった。シンは何となく違和感を感じてナーモに尋ねる。


「どうした?」


 シンの言葉でナーモはハッと我に返る。


「ううん、何でもない・・・」


 少し取り繕う様にも見える態度で返事をした。


(またか・・・)


 明らかにナーモの様子がおかしい。実はナーモだけでなくここ数日時々皆がシンに対して・・・どこか余所余所しく、シンは自分と皆との間に何か線を引かれているような感じがあった。シンが皆に何かあったのかを訊ねようとするとより一層怖がる。だから何も言えなかった。


 何故かは分からないが少なくとも自分が原因ではないかと考えていた。今一度今まdの事を振り返る。



「・・・まぁ、取敢えずメシの用意をするか」


 結局何も思い当る事が浮かばず答えが出ない。取敢えず昼食をどうにかする事の方を優先し、準備をした。



 複数の寸胴を用意し、火にかけていた。中にはグラグラと煮えたぎった大量の湯が入っていた。その寸胴から少し離れた所の大きな木には、ライドモアの亡骸を逆さに吊っていた。すぐそばには大きなバケツとシンの姿があった。


「さて」


 ザンッ!


 BBPで刀状に変形した右手でライドモアの首を即座に撥ねる。シンは田舎の祖父から鶏の絞め方を知っていた。鶏を絞める時は、基本的に紐で吊した後に首と足首を切って血抜きをする。


 シンはそれと同じ方法で血抜きをしていた。


 ビチャビチャビチャビチャ…


 大量の血が地面に落ちる音が大きく鳴っていた。このまま血が無くなるのを待つ。



 2~3分経った頃。血が数的程度にしか滴ってこなくなってきたのを確認したシンは次の肯定に入る。


(次は湯だな)


 シンは熱を感じないBBPの両手で熱湯が入った寸胴を持ち上げる。その湯の入った寸胴をライドモアの肉に掛けていく。


 ジャバアアッ!



(次の寸胴・・・)


 今シンがやっている工程は熱湯を掛けて羽を毟っていく。この時、お湯を掛けることにより鶏の肉が締まり毟りやすくなり、尚且つ毟った羽が濡れている為に空中を舞ったりしない。ライドモアの大きさの事がある為、複数の寸胴を用意したのだ。



「・・・もういいか?」


 シンは頃合いを見計らってライドモアの羽を毟っていく。



 シンは毟りながらメニューの事を考えていた。


(この前本にあった「ジャークチキン」でも作ってみるか・・・)


 ジャークチキンとは、「ジャーク」、「ジャーキング」という調理方法が語源の、ジャマイカの郷土料理。 基本的にスパイシーな調味料で味付けされているが、単純に辛いというわけではない。ハーブ類の爽やかさ、コク深い旨味スパイス、そこに加わるチリペッパー類の刺激的な辛さのコンビネーションから生まれた味付けだ。そしてジャマイカにはたくさんのジャークチキンを売る屋台やお店があり、その店ごとに「微妙」に、時には「かなり」味が異なり、 基本のスパイスを除いて、はっきりとした味付けの定義はない。そのため今では世界中にジャークチキンを扱うレストランが存在し、今日もどこかでスパイシーな香りとともにサーブされている世界的な料理でもある。どのジャークチキンにもおいしさに個性が光り、思わず食べ比べしたくなり、自分のお気に入りの味を探してみたくなる。そんな料理がジャークチキンだ。

 シンは2日前に読んだレシピ本でそのジャークチキンを作ろうとしていた。羽を毟り終え早速ジャークチキンを作りに入る。



 シンはライドモアの内臓を抜き取り、そのまま「収納スペース」に入れる。「収納スペース」の空間では時間が止まっている為、熱いモノが冷めたり、生ものを入れても腐る等の事は無い。手ごろな大きさに切り分けた肉をまな板の上に載せていた。血の付いた服から着替え、調理道具を用意していた。


(えーとまずは・・・)


 基本的な作り方は、まず鶏肉をフォークでブスブス刺す。


 次にレモン汁と玉ねぎのすりおろしを容器に入れる。


 その容器の中に香辛料等(シンの場合はオールスパイスをスプーン2杯、タイムとチリパウダーをスプーン1杯ずつ、シナモンとナツメグをスプーン4分の1杯ずつ、塩と砂糖、胡椒をスプーン2杯)の調味料を全ていれたら、肉をよく揉む。


 全体に調味料が行き渡ったら、6時間〜丸一日ほど寝かせる。


 余談だが、残った内臓と骨は夕食の鳥ガラだしのポトフ風の野菜スープと鶏の塩釜焼きである「泥棒鶏」の内臓版に変わっていた。



 次の日まな板の上にチキンを並べ、200度に余熱した鍋で35分焼く。因みにこの時、副菜も一緒に焼いても問題は無い。最後はお皿に盛り付けて、出来上がりだ。そしてその出来上がりを現在に戻って皆に出していた。


 丁度その時だった。


「ボス!」


 いきなりアカツキから緊急の通信が入る。


「!どうした?」


 アカツキの様子からただ事ではない事だと察したシンは小声ながらも口調は真剣そのものだった。


「1時の方角から白いドラゴンと思しき生物を確認した。かなり速い!」


 それを聞いたシンはホッとした。


「ああ、それなら大丈夫だ」


「?どういう事だ?」


 何故ならそれは知っているものであれば言うまでもない存在。ギアだったからだ。

 シンはその事を説明しようとした時丁度ギアと思しきドラゴンはここに到着した。




 バサッバサッバサッ…


 上から鳥が大きく翼を羽ばたかせる音が聞こえた。そんな音がすれば当然何だろうと皆上を見る。


「あ!ギアだ。おかえり~」


 ココとニックが帰ってきたギアの存在に気付く。


「お帰りギア」


 するとナーモ達もつられる様にして気が付く。


「ただいま戻ったぞ」


 ギアがそう言って皆のいる所に翼を羽ばたかせながらそのままゆっくりと舞い降りる。草の地面である為土埃が舞う事は無い代わりに枯草が舞っていた。

 シンは着地したギアの所まで行く。


「かなりの長かったな。「用事」に手間取ったのか?」


「まぁそんなところだな」


「・・・そうか」


 アカツキの事を考えていたため「用事」について深く聞かなかった。とはいえギアの「用事」は一体何なのかについては知りたかった。


(・・・あの日ギアと戦ってから急にギアが用事っていうのは流石に不自然なもんだ。スルーしていたとはいえ俺に関わる事ならなるべくなら知りたい・・・)


 そんなことを考えながら昼食の用意をしていると


「ボス」


 アカツキが声を掛けて来た。

「どうした?」


 今はギアが皆と話している。小声で話していても傍からよく見てもボソボソと独り言を言っているように見える。


「ボス、さっきの白いドラゴンのような生き物は?」


「ああ、あいつは「ギア・バルドラ」という。そういえばまだ紹介していなかったな」


 ギアの事を紹介していなかったからアカツキがきいてきたのだとシンは思った。だがどうやらそれだけではなかったようだ。


「ボス、ギアがどこに行っていたのかが分かるんだが画像を転送しようか?」


「分かるのか!?」


「ああ、別のカメラで周辺を警戒していたら珍しいものがいたからそれを監視していたんだ」


「そうか、じゃあ早速送ってくれるか?」


「OKボス」


 アカツキそう言ってから1分も経たないうちにペン型タブレットからバイブ音がした。


 ブゥゥッ・ブゥゥッ・ブゥゥッ・


 どうやら受信したようだ。だが今開くわけにはいかない。今開けばペン型タブレットの存在が皆に知られてしまう。そうなればアカツキの存在も知られるのも時間の問題になってしまう。


「アカツキ、恐らく受信できたと思うが今は無理だ。改めてこちらから掛ける。一旦切るぞ」


「O.Kボス。通信終了する」


 ブツッ


 電話等の通信機特有の回線が切れた音がした。通信が終了したようだ。


「さてと・・・」


 シンはペン型タブレットを開くタイミングを伺いつつ皆の所へ戻る。



 ガヤガヤと話していた皆。ニックはシンが皆の方へ近づいてきた事に気が付くと


「シン兄、ギアから聞いたんだけど・・・」


「?」


 ニックがややワクワクしているような顔でシンの方を見る。


「これから町へ行くってホント?」


「・・・・・は?」


 突拍子もない事を口にするニック。するとギアが


「シン、人間の町に行ってみてはどうだ?」


 と聞いてくる。話が追い付いていないシンは皆に訊ねる。


「何の話だ?」


 シンの問いに答えたのはギアだった。


「む?それに帽子を被っているという事は今すぐどこかへ向かうつもりではないのか?いや、さっきの話を聞いておらんかったのか?人間の町に下ってみてはどうだと聞いたのだ」


 あまりにも急だ。当然のようにシンは率直に尋ねる。


「何故だ?」


「うむ、ここにいる皆にそろそろ武具を提供しては良いのではと思うたのだ」


 シンは皆の手に持っている武器を見る。


「・・・今ある武具では力不足って事か?」


「決して力不足という事ではないが、ここにいる皆は「生き方」を学ぶために戦い方を学んでいるのであろう?ならば、そろそろ武具職人との交流をして長持ちが効く武具を持たせてはどうだ?」


「・・・・・」


 確かにギアの言う事にも一理ある。今ある皆の武器はほぼ毎日使っているせいで刃こぼれや傷が多かった。しかも、今ある武器はシンの「ショップ」によって手に入れたものだ。その武器のほとんどは軽く丈夫なものが多い。だが、決して壊れないわけでは無い。この先ずっとシンと一緒という訳でもない。この世界の武器をある程度慣れさせなければ今ある武器の持ち方や癖が出てきてそれが原因で敗北してしまうことだってあり得る。

 それに、ここにいる皆は若い。この先色んな人とである事になる。農民、商人、軍人、傭兵、冒険者・・・。そういった人との出会いの経験を今させても良いとギアはそう考えていた。


(国の政治体制は・・・多分、君主政だろうけど・・・)


 また、この世界においての人間の社会についても知りたいとも考えていた。シンの考えでは向かう先々の国の政治体制は恐らく君主政だろう。だが、多分ではダメだ。国の政治体制が君主政なのかそうでないかによってはシンの行動が大きく左右される事だってありえるのだ。

 よってシンの返答は勿論


「分かった。いい加減、社会の仕組みについても知りたいし」


 頭を縦に振る返事だった。


「そうか、ではいつ旅立つのだ?」


 意外な答えを出したギア。


「いつにするのかは決めていないのか?」


 ギアなら今すぐにでもと言いそうだったために驚くシン。だがしっかりとした理由があった。


「うむ、皆の訓練も十分ではないしな。強いて言えば、ナーモ、シーナ、ニック、エリーは近いうちにでも町に行っても問題はないだろうが、ククとココがな・・・」


「・・・・・」


 確かにククとココはまだ8歳の上にナイフしか扱った事が無い。ナーモ達とでパーティを組ませるにあたって力不足だ。下手をすれば全滅という事もあり得る。


「クク、ココはもっと訓練させなければならないな・・・」


「うむ、それで其方に尋ねたのだ」


「・・・・・」


 シンは少し黙る。



 ボソリとシンは


「・・・1ヶ月」


「む?」


「1ヶ月だ。1ヶ月で皆を一人でも生きていけるようにしよう」


「1ヶ月か・・・。問題はないが、ちと厳しくいかねばなるまいな・・・?」


 ギアが流し目で皆の方へやる。するとさっきまで町に行ける事に嬉々としていた皆の雰囲気がガラリと一変。


 サ~ッ…と顔がやや青くなった。


「全員、今以上に気を引き締めて訓練に臨むようにな・・・」


 ギアが明らかに今までとは違う雰囲気を出していた。ナーモを盾にして他の皆が後ろへ隠れる。


「「「・・・・・・・・」」」


 ナーモ達は小刻みに震えていた。


(ちょっ・・・俺を盾にするなよ!)


 とナーモは心の中でツッコんでいたが誰もその事に察する者はいなかった。


今後暫くの間は今まで投稿してきた話の辻褄合わせや誤字、脱字等を直していきます。ですので、楽しみにされていた方々には大変申し訳ありませんが、次話投稿がいつになるのかは未定です。

こんな行き当たりばったりの小説ですが今後ともよろしくお願いします。

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