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アンノウン ~その者、大いなる旅人~  作者: 折田要
旅の準備
33/396

31.最高の相棒

上手く文章で表現できずに苦戦している哀れな作者、折田要です。


上記にある様に今回の文章はかなり自信がありません。

後に改稿しますのでお見苦しい部分がございましたらご一報ください。

 訓練が終わり、シンは本を読む時間を作る為、午後は自由時間としていた。自由時間となった午後の皆の過ごし方は様々だった。ナーモとニックは組み手していた。シーナとククとココはかけっこ等して遊んでいた。エリーは魔法の本を読んでいた。シンは目的通り「ショップ」から武術関連の本や体力アップに関する本等を手に入れ読んでいた。


「シン兄、この本何?」


 そう声を掛けてきたのはエリーだ。エリーも本を読んでいたからかどんなに内容の本を読んでいるかについて気になって声を掛けた。


「ああ、「生物の技術」っていう本だが?」


 シンが手にしている本の表紙をエリーに見せる。「生物の技術」と言う本の内容は、一言で言えばバイオミメティクスの事について詳しく紹介している。

 バイオミメティクスとは、直訳すれば「生物模倣」。詳しく言えば生き物が長い年月を経て 進化し、優れた機能や体構造を持ち、人間はこれらを模倣し、技術開発やものづくりに生かす事の総称。


 シンは「ショップ」のカテゴリーの書籍について探して目に留まったのがこれだった。シンは自分の身体が「BBP」であるため自分でしか使えない技やデザインがあるのではないか。進化の過程で洗練された 生物の優れた「機能」に学べばBBPの変形で新しいデザインの何かヒントになるかもしれないと考え手に入れた。


「何でこんな本を読んでるの?」


 エリーは素直な疑問をシンにぶつける。


「・・・ここから新しい技のヒントがあるかもしれないと思ったからだ」


 シンは正直に答える。


「ふ~ん・・・」


 エリーは納得できたような、できないような返事をした。だがシンは気にも留めず読み続けた。


(この世界に現実の武術があると考えるべきだな。ならば、俺にしかできない技を作り上げるしかない)


 シンはギアとの戦いで「発勁」らしき技を受けた事を思い出していた。もし、この世界に現実世界の武術があるとしたらこの世界なりに進化していてもおかしくない。

 そこで、武術の基礎学習と皆の訓練をしながらシンだけのオリジナルの技を開発しようとしていた。エリーは體術に興味を示さず魔法の基礎の本を読む。




 1時間近く経った頃。「生物の技術」を5分の4まで読み進めていた時の事だった。何の前触れもなくアカツキが声を掛けて来た。


「ボス、ちょっといいか?」


 アカツキの声はシンの首に装着している通信機に送られてくるのだが骨伝導でシンに伝わる。そのため周りはアカツキの声など聞こえないのだ。シンはそっと本を閉じる。


「向こうで技の実践してくる」


 そう皆に言い残し森の奥へ行った。





 シンは移動しながらアカツキとの交信をしていた。


「どうかしたのか?」


 当然何を聞いてくるのかシンは分かっていた。


「何故子供らがあんなに?」


 遥か上空から地上の様子の事が分かるアカツキはシンの後方に誰もいない事を確認した。今しかないとばかりにエリー達の事を聞いてきた。シンは淡々とエリー達の事の経緯と今置かれている状況をアカツキに説明していく。






 ヒュッ!


 ビュンッ!


 バッ!


 拳で突きを出したり、蹴り技を鋭い音を立てながら空を切っていた。その技を出していたのはシンだった。シンはシャドウボクシングの様に先程読んでいた本で学んだ技をそれぞれ試していた。


「・・・つまりエリーは転生者で他の皆と一緒に奴隷にされそうになっていたと?」


 先程まで技を実践しながらアカツキに今までの経緯を説明した。そして今アカツキは聞いてきた話を纏めて改めてシンに問う。


「そうだ」


 アッサリとした返答するシン。


「どこの世界でも物騒な所はあるんだな」


 率直な感想を述べるアカツキ。実際、シンがいた世界でも国々や各地で紛争はあるし、「ブレンドウォーズ」では更に酷い世界だ。どんなに住んでいた世界を比べても危険な場所はどこにでもあるという点では変わりなかった。


「それに前の世界じゃ考えられない事だってある」


 アカツキはその言葉に対して色々と考える。シンがいた世界では魔法が無い。また、「ブレンドウォーズ」では魔法はあるがこの世界では異質なものだ。実際「収納スペース」や「ショップ」、「自動開発」等「ブレンドウォーズ」では最初から使える魔法でもこの世界では見た事の無いオーバーテクノロジーそのものだ。明らかにシンの存在はイレギュラーの様なものだ。迂闊な事をすれば碌な事に遭わない。ならば、せっかく使える「自動開発」でA.I搭載の人工衛星を開発しシンが少しでも有利な立ち位置を確保しようと考え実行に移した。アカツキは数秒の間で考えシンに尋ねる。


「・・・それで俺を作ったのか?」


「まぁ、それも一つの理由だな」


「他にもあるのか?」


 シャドウボクシングのような動作を止め静かに話す。


「・・・アカツキこの世界にとって俺は何だと思う?」


「・・・少なくともイレギュラーな存在だな」


 アカツキは一晩で無数の目で可能な限りこの世界を観察し分析した。この世界の文明は中世に近い世界で魔法が発達した世界であると、それがアカツキの見解だ。大まかとは言えシンの科学と魔法が合体したような技術は現実世界でもこの世界でも異常である事には変わりないだろうという判断だ。


「ああ、だがイレギュラーな俺でも誰かの助けがどうしても必要になるんだ。俺がどんなに優れていようと、異常な力を持っていたとしても結局、俺は人間だと思う・・・」


「・・・・・」


 シンの言葉に対して何のアクションを起こさず、また考えず、ただ黙って耳を傾けた。


 シンの口調が更に真剣になる。


「それでアカツキ」


「?」


「改めて聞きたい事がある」


「・・・・・」


 シンは少し深呼吸して


「お前から見て俺は何だ?」


 とシンはアカツキに訊ねる。アカツキはしばらく考え込むように黙る




 数秒程間を置いてからアカツキから音声が入った。


「ボス、俺は、「アカツキ」はA.I、つまりは人工知能だ。人間から作られたものであり、決して神や悪魔によって作られたわけでは無い。ボスは「自動開発」によって俺を作ってくれた。ここまでやれば流石に人間離れも良い所だ」


「・・・・・」


 今度はシンが黙って耳を傾けた。


「人間であるアンタにだ。もしアンタが、自分の事を「神」とか「悪魔」とか言っていたら少なくとも俺はアンタの為に動かない。むしろ全力で止めに入る」


「・・・・・」


 シンは何も言わずアカツキの話の続きを聞いていた。


「まぁ・・・その・・・何が言いたいかというと・・だな・・・」


「・・・・・・・・・・」


 急にしどろもどろの答え方をするアカツキ。そんな答え方でもシンは真剣に耳を傾けていた。


「・・・ボス、アンタは人間どうかという前に、アンタはアンタだ。人間か人間じゃないかとかはそういう問題じゃないんだ。そして、俺はあんたの判断により動く。ただそれだけだ・・・!」


 上手く言葉がまとまっていないからなのか、しどろもどろになったのか、人工知能とは言え照れと言うものが芽生えたからしどろもどろになったのは定かではない。ただそんな答えにシンは穏やかな声で答える。


「・・・そうか」


 ホッとした。自分自身のプレイヤーと現実の自分が混ざり合った存在は受け入れていたものの、他の物から見てどう思われるのだろう。下手をすれば世界が敵に回るんじゃないかと不安になっていた。しかし、アカツキの「アンタはアンタ」。今まで悩んでいた事に馬鹿馬鹿しくなり、気分が軽くなった。その言葉に心が救われた、は流石に大げさだが、のどに魚の小骨が引っ掛かる様な心のしこりが取れた気分だった。


 そんな中アカツキはシンの様子を見て


「ところでボス、さっきから何故武術の練習を?」


 と疑問を投げる。シンが何故武術を会得しようとしているのかが分からなかった。「BBP」によって強化されたシンなら大概の事は対処できるはず。何にも関わらず「武術」を会得しようとしているのかアカツキには理解ができなかった。


「ああ、さっきエリーにも言ったんだが、俺の「BBP」で全て対処できるわけじゃない無いだろ?それで、「BBP」で変形して戦わざる得ない事になっても少しでも有利にしたいからな」


「成程、それで武術を・・・。ボス、それはボクシングか空手か?」


 アカツキの見立てはある意味正解だった。しかし、武術の種類は違っていた。


「いや惜しいな。これは「ジークンドー」だ。他にも「野球」「古式泳法」「柔道」「合気道」「居合い」「剣道」「フェンシング」「フリークライミング」「フリーダイビング」「パルクール」「功朗法」「システマ」「シラット」「クラビー・クラボーン」「組討術」「相撲」位かな。それらを短期間である程度会得したらオリジナルの技を編み出そうと考えている。」


 聞いた事があったり、聞いた事が無いスポーツや武道の名前を、技の実戦を止め、指を折りながら名前を挙げるシン。


「・・・そ、それは大層な事で」


 アカツキはシンの試そうとしている武術のレパートリーの多さに驚き若干引いていた。その上オリジナルの技を短期間で編み出そうともしているのだ。驚かない方がおかしいだろう。


「・・・俺はこの世界で自由に生きたいからな」


 シンプルではあるもののシンの言葉から決して気軽に口に出したようなものではない。


「・・・ボス、俺は何があってもアンタをサポートするぜ」


「・・・そいつは心強いな」


 シンは薄くではあるか穏やかな笑みがこぼれた。


こんな小説ですが今後ともよろしくお願いします。

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