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アンノウン ~その者、大いなる旅人~  作者: 折田要
旅の準備
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25.再度試す

 シンは理解に苦しんでいた。その理由はギアが放った言葉だった。


「シン、其方ともう一度一戦を交えたい」


 シンの返答はシンプルで当然なものだった。


「・・・・・・・・・・・・・は?」


 数秒間を置き、一言ではあるが明らかに理解に苦しんでいる事が分かるものだった。


「・・・何を言ってるんだ?」


「そのままの意味だぞ?」


 素直に聞いてみたが、ギア空の返答はさっきの通りだ。シンともう一度一戦を交えたい。ギアは確かにそう言った。


「何故だ?」


 流石に身構えるシン。


「其方、この世界に来てそう時間は経っておらんだろう?それなのに成長が早いと思うてな。それで改めて其方に挑みたいのだ」


「・・・・・」


 ギアは自分が考えていた事をシンに話す。嘘で事を偽ってもバレた時ややこしくなり、下手をしたらシンを敵に回す事になると考えた。嘘で事を進ませるよりもシンとの信頼を保つために正直に答えるギア。


 考え込み沈黙するシン。




「・・・分かった、受けて立つ」


 ギアの思惑を踏まえた上で、今の新たに変わった自分の実力はどんなものかを知りたいため再戦を受ける事にしたシン。


「うむ、では皆に迷惑を掛けぬ、何もない場所へ参るか」


 シンは頷く。



 皆がいる所とは300m離れた場所。そこも直径40mほどの円に沿った平らな原っぱだった。因みにシンがアカツキを打ち上げた場所ではない。


「ここで良いか・・・」


「そうだな・・・」


 お互いとの距離は5m程。まず先にギアが構える。右手を前に出し左手は拳を作り、腰に当てるような形で構える。始めて戦った時と同じ構え方だった。それに続くようにシンも構える。右足を前に出し掌を方と同じ高さまで出し、左手は左腹部の少し前に出す。それがシンの構え方だった。


 お互い目を鋭くさせて目を細める。お互い、どんな技を出してくるのかと腹の探り合いが始まり、まるで時が止まったかのように膠着する。



「・・・・・」



「・・・・・」



 ヒュワッと風が靡き・・・



 風によって周りにある木の葉っぱの一枚が取れ・・・



 ヒラヒラと・・・



 地面に落ちた―


 その瞬間、お互いカッと大きく見開いた。ボクシングの試合のゴングが鳴ったかの様にその一戦が始まった。



 ドッ!



 先に攻撃を仕掛けてきたのはギアだ。地面が抉れるぐらい地面を強く蹴って、シンまで一気に距離を詰めより回し蹴りをする・・・!


 ヒュン!


 頭すれすれの所を屈んで躱した。シンは引かずそのままギアの横腹に一発拳を入れる。


 ビュッ!


 急いで重心を移動させ身体を捻り僅かに攻撃を躱す・・・!


「ぬうっ・・・!」


 一筋縄でいかない事にもどかしさに思わず声を漏らすギア。


「ちっ・・・」


 これならいけると思った攻撃を躱した事にイラつき舌打ちするシン。


 ギアは両足が着地した瞬間シンとの距離を開けるギア。何とか詰め寄って攻撃したいのは山々だが、ギアの強さがはっきりと分からないため無理に距離を詰めずその場で待機するシン。


(やっぱり、難しいな・・・)


「むぅ(かなり早くしたのだがあれを躱すか・・・)」


 再び膠着状態が起きる。



「・・・・・」



「・・・・・」



 お互いの腹を探り合っていた。


(・・・ならばあれで決めるか)


 ドゴォッ!


 何か閃き先に攻撃を仕掛けるたのはまたしてもギアだった。

 踏み込みが強すぎて地面が砕けていた。再びシンの所まで距離を詰める。


「!?」


 一気に距離を詰めたギア。シンの腹を殴りに掛かる。


 ドンッ!


「・・・っ!」


 即座に両腕でガードするシン。だが、


 ズクンッ・・・!


 後から胴体の中心部分が何かに当たり、突き抜けた様な衝撃を受けた。


(何だ・・!?)


 シンは何故衝撃を食らったのかは何となく理解していた。


(これはまさか・・・発勁!?)


 小説や漫画、ゲームなどに出てくるあの発勁だ。しかし、この発勁は現実でも起こすことができる事はシンは本で知っていた。


 発勁とは中国武術において力抜きと体重移動によって威力を出す方法の事。拳、肘、肩 足裏、膝、腰、背中など、習熟すれば身体のどこからでも短距離もしくは相手にくっついた状態であればエネルギー伝達が起き、相手にダメージを与える事が出来る。但し、門派によって違うため詳しく事ははっきりとは分からない。

 ただ、これは気や魔法と言った類では無く力学的なものである。

 投擲運動の一種のオーバースローならば広背筋群→三角筋後部→上腕三頭筋→肘から指先までの筋群が連続して運動するためその部分を鍛える。

 それと同じように中国武術でも発生させた運動量の減少を少なく、確実に伝達させるためその経路を鍛える。体得できれば野球選手がオーバースローするように発勁ができるようになる。

 最近ではそのエネルギーを測定した際、持続的にエネルギーを伝え、体当たりに近い波形である事が分かった。そのため、体内へのダメージが大きい。


 だが、シンにはそれは通用しない。いや正確にはダメージは受けるが、頭部と胴体の皮膚と筋肉、毛髪以外は「BBP」化している。つまり臓器は「BBP」化しているため、強い衝撃を食らうと鋼鉄のような頑丈さになるためダメージは食らわない。


「・・・・・ペッ」


 シンの口から血を吐き出す。


 シン自身に全くダメージを受けていないわけでは無い。実質ダメージを受けたのは胴体の筋肉と血管である。だが臓器は「BBP」化している為、臓器へのダメージは全くない。全身の骨も「BBP」化しており、骨の役割に強化血液を作ることができる。強化血液は血小板等の身体の傷などを癒すための役割を持った成分が強化された血液の事だ。そのため、身体の損傷も数秒もしない内に回復する事ができる。


(前の様な人間の身体だったら完全にアウトだったな)


 ギアの体の大きさで発勁の衝撃を受ければ脳震盪のような感覚に見舞われフラフラになり、内臓はメタメタに破壊され、吐血は尋常じゃない量だっただろう。人間の身体であれば間違いなく深刻なダメージを負っていた。

 しかし、「BBP」化のおかげで大した問題では無かった。


(ぬぅ・・・。あれが効かんのか?)


 あまり効いていない事に何となく感じたギアはシンから再び離れ体勢を整える。

 シンはあまり効いていないとはいえダメージを負った。そのため、ギアが次にどう動くかが分かるまで動かないでいた。


「・・・其方の身体は何とも面白いものだな」


 ギアは口ではそういうが実際は格闘術で手を打った手段が効かなかった事に対してと余裕の無さと焦りが出ていた。


「そう思うなら御ひねりくらい出せよ」


 ギアの軽口にシンはこう返答する。


 お互い再び膠着状態が起きる。



 ダッ!


 今度はシンがギアに向かって何か思いついたのか、突っ走りギアめがけて強力なドロップキックを食らわす。


 ドゴッ!


「ぬっ・・・!」


 あまりにも強い衝撃でよろめく。


 シンは宙返りをして素早く両足で着地した瞬間、今度は渾身のストレートパンチをギアにお見舞いする。


 ボゴッ!


「ぐぉ!」


 ドスン!


(何という力だ・・・!)


 ギア自身にはダメージは無い物のよろめきから立ち直れない状況。その上シンからストレートパンチを食らったため仰向けにこけてしまう。4mの巨体。その分それなりに重いはずの体重のある自分自身が地面に伏した事に驚くギア。


 シンはその時を狙っていた。


(確か相手の片手を取って・・・!)


 高校1年の時体育の授業で柔道を習っていた。その時受け身とある技を習った。


 すぐさま両手でギアの片腕をとり、シンのの両太腿の間にその腕を挟み込んで固定し、両足首は、相手の反対側の腕を挟むように絡める。そしてシンの両膝を絞め、相手の肘辺りをしっかりと挟み「てこの原理」を応用して技をきめた。


「ぬっ・・・!」


 柔道の腕挫十字固をギアにかけたのだ。


「ぐぉおお・・・」


 ギアは苦しそうにもがく。本来人間の力程度であれば問題なく力技で抜け出せられる。だがシンの人間にしてはありえない力できめられていた。


「勝負あったな・・・!」


 シンは勝ち誇った様にギアに向けて言う。


「「参った」と言え」


「~~~~!」


 ギアは抵抗するがシンの力と完全に固定された腕挫十字固できめられていたため身体が起き上がる事が出来なかった。つまり、ギアがこの状況抜け出す事はほぼ無駄だった。


「もう一度言うぞ?「参った」と言え!」


「~~~~~~~・・・。分かった、「参った」・・・」


 漸くギアは降参を認めた。

 シンはやっとギアから勝負らしい事をして初めて勝ったのだ。

今回は勢い任せの執筆投稿ですのでまだまだ改善するべき部分がございます。またしばらくの間は今まで投稿してきた話のを修正していきます。

いつ次話が投稿できるのかは楽しみにしている方は申し訳ありませんが未定です。また改善してほしい部分がございましたらご連絡ください。

こんな小説ではございますがどうかよろしくお願いします。

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