255.何という事だ
上手く保存が出来ていない状態で話の方を投稿してしまった様でしたので改稿致しました。
先に読んでしまった方々には申し訳ありませんでした。
もう一度読んでもいいと考えていましたらどうぞご拝読ください。
今度こそ大丈夫だと思います。
多分・・・
今のシンは白い糸で拘束されていた。おまけに馬車に乗らされてこの国の王城へと向かっていた。
「・・・・・」
左右にはアルバとサトリが座っており、簡単には逃げられない様になっていた。目の前には左からステラ、サクラ、アンリの順に座っていた。
そんなシンは小さな溜息をついた。
ギュウキの一件が解決し、そのまま町まで戻ったシン達は一先ず、体を休める事にした。当然シンの事をご執心のサクラは事が終わってすぐにシンを糸の魔法で監視を再開していた。
因みにシンは今回に関しては逃げずに大人しく捕まった。
と言うのはここで変に逃げてもサクラは権力ある者だ。シンの事をレンスターティア王国では訳あって追っている事を伝えるだろう。サクラがこの国に来た時、ここまで制限もなくすんなりと行動が出来たのは恐らくレンスターティア王国とオオキミ武国とは友好関係である可能性が高い。そうなればオオキミ武国は同盟等の関係で間違いなく協力して、指名手配されるだろう。米を求めているシンにとってかなりの妨げになる。
それを避ける為に敢えて捕まる事にしたのだ。
逃げるチャンスがあるとすればそれは間違いなく海だ。
シン達はそのまま国外へ、サクラの故郷のレンスターティア王国へと戻る事になっていた。当然船で戻る。シンはその時に海に飛び込んでそのままオオキミに戻ろうという算段を立てていた。シンの身体、BBP化によって泳ぎも恐らく恐ろしく速いはずだ。深く潜ってそのままオオキミの方へ戻れば再び行方をくらませる事が出来る。しかも海であれば逃げ場がないと踏んで恐らくサクラの警戒も緩む。また、一旦出向してしまえば国から出ていく事になる。つまりシンが逃げた時、もう一度オオキミ武国に入国するには再手続きが必要となる。十分かどうかまでは微妙ではあるが間違いなく時間稼ぎにはなる。
だからその時だ。
その時を狙って自分とサクラを分断を図る計画だった。
ところが事態は一転した。
ギュウキの件の解決から3日目の朝の9~10の時、事態は大きく変わった。
何故、現状がこうした事になってしまったのか、事の発端は前日に遡る。
「召喚状?」
素っ頓狂一歩手前の声でオウム返しをするサクラ。それに答えるのは
「はい。それもこの国の王であるカミコ様からで・・・」
この国の役人だった。
それは突然の訪問だった。サクラ達が泊まっている宿に突然役人が尋ねて来て、サクラに召喚状を手渡してきたのだ。
「・・・・・」
役人の口から出てきた言葉。
カミコ。
それはこの国の最高責任者、実質王権を握っている人物、それが「カミコ様」。
その単語を聞いたサトリは顔を逸らした。
「・・・・・」
その様子に気が付いたシンはジッとサトリの方を見た。そんなシンとサトリとは余所にサクラはここに来た役人に用件を詳しく尋ねていた。
「ワタシ達に何の用かついては?」
役人は大きな声で「はい!」と返事をして
「ギュウキを撃退について詳しい事を「オオミヤコ」の・・・そちらで言う所の王都の「コウジョウ」・・・王城の方までお越し頂きたく申し上がり参りました」
と説明した。その事を聞いたサクラは
「城まで・・・か」
少し苦い顔をした。
サクラはレンスターティア王国で必要とする人物シンをむざむざこの国の人間に知らしめる事等したくはない。知らしめればシンの能力を知った者達はどうにかして手に入れようと動きに出る。
そんなライバルが増やすような真似はしたくはない。
はっきり言えば断りたい所。
だが相手は王族の人間だ。変に断ればとんでもない非礼に当たる恐れがある。
当然この国の立場ある人間であれば正当な方法でこの国に入国していれば、サクラの身分等すぐに分かる事だ。
因みにレンスターティア王国とオオキミ武国とは国交はあるが、海路の危険性等々の交通面の問題がある為、年に2~3回程しか交流出来るか出来ないか位の頻度の為、実情お互いの事についてそれ程知ってはいないのだ。
また、ギュウキの件についての事情聴取は国からもギルドからも来ていたが、事件後処理と言う後始末等々があった為、後日報告という事になったのだ。
最悪の場合国際問題にまで発展する可能性も十分にあり得る。
それは避けたい所。だからサクラは
「確かに承った。明日にでも動けるようにする」
応じる他無かった。
「ありがとうございます」
応じてくれた事に嬉々とする役人。
この様子だとかなりの重責を肩に載せられていたのだろう。
その反動なのかホッとしたような安堵の顔をしていた。
そんな役人に対してサクラは手で顔を覆いたくなる心境になっていた。
同時にシンも考えていた脱出する算段が水の泡に帰してしまい、眉間に皺を寄せていた。
そして当日、シンが逃げ出さない様に厳重な形で城の方まで向かっていたのだ。
「・・・・・」
ムスッとした心境でいるシンにアカツキからの通信が入った。
「ボス、答えなくていいから聞いてくれ」
「!」
アカツキの口調からして何か問題が起きた様な雰囲気だった。そんな様子のアカツキの言葉に耳を傾けるシン。
「ボス、今後、スタッフによるサポートが一切受けられなくなった」
それを聞いたシンは数秒程間を置いてから
(は・・・!?)
思わず声を上げそうになるシンだが堪えて心の中で疑問の声を上げた。
「もっと言えばフリューによる輸送もグーグスによるワープホール移動も使用が出きなくなる」
「!?」
それは信じがたい事実だった。今の今まで何かしらのサポートを受けてきたシンにとってはかなりの痛手だ。ショックを受けるシンに更に追い撃ちを掛けるかのようにアカツキの通信は続いた。
「当然だが、フリューの輸送やグーグスのワープホールが使えなくなったという事はグーグスやリーチェリカ、ディエーグを派遣する事も出来ない」
アカツキの言葉を聞いたシンは
ハァ~…
大きく溜息をついた。
「どうかしたのか?」
シンの様子に気が付いたアンリが声を掛けた。
「大方、逃げようと考えているが、中々思いつかなくて苦しんでいるんじゃないのか?」
と軽口を叩くサクラの予想とは裏腹にショックを受けるシン。そんなシンの様子を知っているかの様に宥める様な口調で他の報告をするアカツキ。
「一応、ナビや通信は出来る。だが直接的な支援が出来ないと思ってくれ」
その内容を聞いたシンはショックで落ちていた何かが少し抑えられた感覚になる。お陰で焦りの様な物が少し減ってアカツキの言葉に耳を傾ける。
「詳しい事は後で説明するが、支援が出来なくなった理由は深刻なエネルギー不足だ」
その言葉を聞いたシンは目元を細めた。
(エネルギー不足!?)
意外な支援不可能の原因に驚くシンは変わらずポーカーフェイスだった。だが、僅かな反応は隠す事が出来ず、それに気が付いたのはこの馬車の内部にいる全員だった。
(拙いな、深刻なエネルギー不足が問題だとすれば、復旧がかなり長い可能性がある・・・)
ジンセキでの主なエネルギーが電気だ。それが深刻なエネルギー不足という事は支援、つまり兵站が一切受けられないという事になる。こういう事になれば現地で、特に長期の戦闘や過酷な環境になればどうにかして対処しなければならなくなるという事になる。更に言えばエネルギー不足によるものが原因でワープホール移動が出来なくなる。つまり事実上支援がない上にジンセキに変える事が出来ないという事だ。
そこまで考えに至ったシンは苦虫を嚙み潰したような心境になる。
そんなシンに
「若~」
リーチェリカの声が耳に届いた。
「若~頼んどった物は用意してんで~」
その言葉を聞いたシンは以前欲しがっていた物を頼んでいた事を思い出し、用意で来た事については少し喜びの色が心に浮かび上がった。
「そやけどそちらに送る事出来ひん今じゃどうにもできひんさかい先延ばしになるさかいね~」
分かっていた事ではあったが、改めて言われると心に来るものがある。
言わなくてもいいのに・・・。
そんな心境になるシンにアカツキから通信が入った。
「今は馬車の中の上にこれから権力あるものの所へ向かう事になるだろ?ならこれ以上は人気のない所になるという事で・・・。一方的で悪い。通信終了」
「・・・・・」
本当に一方的だった通信報告にシンは無言になった。いや、今の今まで無言を通してきていたが今回の無言は本当に無言になった。
そんな様子のシンにサクラ達は疑問符を浮かべていた。
そんなシン達はオオキミ武国の都まで向かった。
それからこちらは作者の現状報告です。
本来なら投稿時にこのメッセージが出る予定だったのですが、保存が出来ていなかったようでメッセージがもう一度執筆する事になって急いで記しました。
以前、身内が入院する程の足の骨折の話をしましたが現在快方へ向かって退院しております。
日常生活で動かす程度には問題ない上に、リハビリの話が持ち上がっています。
ですが、まだまだ油断が出来ない所もあります。
現状1ヶ月に4話程投稿の頻度でしたが、今後暫くの間もこうした頻度で執筆活動をしていく事になると思います。
色々ご迷惑をお掛けしている上に、楽しみにされている方々には申し訳ありません。
今後ともよろしくお願いいたします。