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249.責任を取れ

 嫌な冷汗が引いていつもの真である事を確認したサクラは普段の口調で声を掛け始めた。


「思い出した事がある。あの時・・・」


 サクラはロウに覚られない様に言葉最後にコソコソ話の様に続けた。するとシンはサクラの話を聞いて


「!」


 何か閃いたかの様に目を大きく開いた。その様子にサクラはそっと


「どうだ?」


 と訊ねた。

 シンは考える為に2秒程、間を置いてから頷いた。


「・・・どうせ策はない。やってみるか」


 意を決したかの様な口調にサクラは静かに頷いて


「ああ」


 と答えた。

 サクラは心に安堵が生まれた事により、自身を窺わせる余裕のある表情になる。

 シンはロウを生かす方向で動くの事になったから、牽制していた殺気を少しだけ抑えた。

 2人のその様子にロウは僅かに戸惑いを見せ始める。


「な、何だ?何をするんだネ?」


 シンの殺気に当てられて狼狽え気味に強がりに訊ねるロウ。

 今のロウは何かにビクビクと怯えるか弱い老人にしか見えなかった。


「今!」


 ドッ


 シンの掛け声に地面にある粉々になった石が吸い込まれるかのようにサクラの右手で受け取った。当然これはサクラの糸の魔法によるものだ。

 同時にシンの右側にあった石が大きな音を立てて急に消えた。まるで更に粉々に爆発したかのように見えた。だがその石の行方はすぐに分かった。何故ならシンの右手にもう持っていたからだ。


「!?」


 一体何が起きたのかが分からず一拍遅れて構えるロウ。

 シンとサクラの右手にはそれぞれ石を持っている。ロウはその事は何も知らない。ロウが彼らが石を持っていた事を知ったのは次の瞬間だった。


 ヒュンッ!


 チリッ…


 ロウの左頬に何かが掠めた。掠った所には小さな切り傷の様な物が出来ていた。


 ドッ


 足元には何かが硬い物が地面に当たった音が聞こえた。


「・・・?」


 それは石だった。2人の右手に持っていたあの石だった。

 つまり2人はロウに向けて石を投げたのだ。


(何だ?アタシとの接近戦は敵わないと踏んで石を投げたのか?)


 ロウがそう考えていた時、サクラはいつの間にか白い紐で作られた。投石器で石を投げるモーションに入っていた。


「チッ…!」


 舌打ちをしたロウそのまま飛び退き、体勢を整えようとした。


 ヒュンッ!


「っ!?」


 眼では追えるも僅かな膠着した時であれば間違いなく当たってしまうであろうタイミングに合わせて石を投げてくる。


「小僧・・・!」


 シンだった。

 サクラが投げるモーションに入ってロウが避けようとした時、体勢が崩れるからその時を狙ってシンは投げていた。

 その事に気が付いたロウは何も無い口の中で強く噛んでギリリと音を立てた。


「貴様ァァァァッ!」


 ロウは激昂して左手でサクラが投げてくる投石を受け取った。


 バシッ!


「っっっ!!!」


「っ!?」


 素手で勢い飛んでくる投石を受け取った為に激痛が走りそれなりにダメージがあるはずなのだが、激昂しているからかそれ程痛みは感じず、お構いなしにと言わんばかりに受け取った石をシン目掛けて投げようとした。その時だった。


 キリリ…!


 ピンッ


「何っ!?」


 ロウの動きが止まった。と言うより動けなかった。

 何故動けない?

 そう考えた瞬間だった。


 ヒュンッ!


 チリ…ッ


 またシンの投石が頬を掠めた。

 頬を掠めたロウは何故動けない、と言う疑問からまだ投げるか、と言う鬱陶しい感情からくる苛立ち、それを更に激昂からによる怒りが混ざり合ってシンを睨み付ける。


「・・・態とか?小僧・・・!」


 ロウは先から当てるチャンスがあるというのに外しているシンが態と当てようとしていないのではないかと考えた。


「・・・外しただけだ。次は当てようか」


 シンの物言いにロウは頭の中から何かが千切れる音が聞こえた。


「ガキが・・・!」


 ロウが更に激昂して動こうとするがまた動けなくなる。


(何なんだ!?・・・糸?)


 ロウの体が動けなくなる原因、それは糸だった。

 サクラが糸の魔法でロウの体に絡み付かせて動けなくさせていたのだ。

 今の自分の状態を見たロウはまさかと思いサクラの方へ向いた。


「・・・!」


 サクラの持っている白い紐で出来た投石器を見て自分の身体に纏わりついている細い白い糸を見たロウは顔を真っ赤を通り越した赤になった。


「小娘がぁぁぁぁ!」


 ヒュンッ!


 チリッ…


 また頬をかすめるロウ。


「・・・・・」


 その頬にはまた小さな切り傷が出来ていた。痛みで自分に切り傷が出来た事を確認できたロウは歯が粉々に砕けるのではないのかと言わんばかりに強く歯噛みしてシンを睨み付けた。


「・・・っ!」


 やはり態と当てていない。

 態と当てていないのは自分の事をナメている。

 こいつは・・・


「殺すっ!!!」


 ロウは今まで投石の仕方やサクラのバインド事を考えて明らかに自分を当てるチャンスはいくらでもあった。それなのに当てる気配がなかった。

 最早これは自分を侮っている以外、他にない。

 そう結論に達したロウは動けるチャンスを探った。丁度その時


 パッ


「!」


 サクラの糸の魔法が突如消えた。それを確認できたロウは全身に血液と言う血液を一気に巡らせて、足に一気に力を入れてシンとの距離を一気に詰めようとした。


 ドッ…!


「・・・!」


 ロウが一気に近付いていくに対してシンは冷静な目で見ていた。

 その時だった。


「アーチ・ムルーム!」


 ゴゴゴゴゴゴゴ…!


「!?」


 ロウの目の前に突如として大きな岩壁が立ちふさがった。

 詠唱の声から察するにアルバの様だった。


「次から次へと一体何なんだ!」


 イラつきの言葉を思わず口走るロウ。


「貴方様位の年で仰せならば、余り激憤を起こす事をお勧めいたしません」


 冷静かつどことなく余裕のあるアルバの声にロウは更にイラつきを覚え始めて声のする方角へ向いてイラつきの言葉をぶつけようとした。


「ジジィ・・・余計な真似してんじゃ・・・!」


 次の言葉を言おうとした時、突然


 ブバッ!


 バシャッ!


「ぐっ!?」


 ロウに黒くてネバネバした液体がバケツをひっくり返したかの様に振りかぶった。


「誰だ!?こんな・・・!」


 ロウは黒い液体を振りかけた張本人の方へ向いた時、目に映った光景に絶句した。


 ・・・・・


 振りかけてきた方角は海原の方だった。ロウのイラつきが激昂に重なる形で増えていき、勢い良く向いた時、さっきまでの激昂が嘘の様に消え去り、代わりに不安と恐怖が支配され始めた。

 ロウの目に映っていたのはギュウキがロウの方へ睨み付けていた。

 ギョロリとした黄金の目が酷く不気味でヒシヒシと敵意を感じていた。


「上手くいったのか?」


 サクラとシンは壁向こうに居り、攻撃を喰わらない様にとアルバが海側にも壁を作ってくれていた。そのお陰でロウに掛けた黒い液体、所謂墨を喰らわずに済んだのだ。


「お嬢様!」


 アルバは崖の上からサクラを援護する形で壁を魔法で形成に入っていたのだ。上から見えるお陰で崖下の様子がよく分かり、状況を的確に把握して的確に判断を下す事が出来たのだ。その為でいいタイミングでサクラ達の前に壁を作る事が出来たのだ。


「アルバ!」


 サクラはアルバに壁向こうでは一体どうなっているのかを訊ねるつもりでそう名前を叫んだ。長年の付き添いのお陰かサクラの意を汲んですぐさま状況を説明を始めた。


「ギュウキの群れがロウの方へと釘付けになっておりまする!」


 アルバの簡素な説明にサクラは大きく頷いて


「よし!」


 と口にした。

 丁度その時アカツキから通信が入って状況を説明していた。


「ボス、ギュウキの群れらしき影は徐々にジジイの方へ向かっているぜ」


 その事を聞いたシンは


「そうか」


 と呟いた。

 その呟きを聞いたサクラは自分の言葉を聞いてそう言ったと判断して、最後にロウに向けて言葉を送った。


「ご老人よ、責任を取れ」


ここ数日前、身内が入院する程の足の骨折をしてしてしまいました。その身内は高齢者です。

医者によると入院が2週間、リハビリが数ヶ月程かかります。ご高齢ですのでかなり期間が長いとの事です。リハビリしながらの生活になりますので補助が必要になり、その補助要員で付き添いになると思います。

いきなりで申し訳ございませんが4月以降の投稿頻度を大きく落とす事になると思います。

最悪の場合1ヶ月に1話と言う可能性も十分にあります。

急な事の上、楽しみされている方々には落ち込む様な報告で申し訳ございません。

暫くの間は可能な限り3~5話は更新する様に努めますが、期待しないで下さい。

本当に申し訳ございません。

今後ともよろしくお願いいたします。

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