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アンノウン ~その者、大いなる旅人~  作者: 折田要
旅の準備
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プロローグ2

先程のプロローグの続きです。

 

「ここはどこだ?」


 目が覚めると周りは何もなかった。今自分が立っている所に床があるのかさえも分からない程の白い光に包まれた世界だった。俺は何が起きたのか、ここはどこなのかと、周りをきょろきょろ見渡していた。すると後ろから


「やあ」


「!?」


 俺はその声に反応しバッと後ろを振り向いた。

 そこに居たのは全身が金色がかった白い光に包まれている人の形をした何かだった。

 その人の形をした何かは喋った。


「初めまして、私は「ノルン」」


 少年とも少女ともつかない若くて美しい声。

「中性的な声」という単語があるならば、おそらくそれに当てはまるだろう。


「ああ、初めまして、俺は「黒元(くろもと) (しん)」って言います。気軽に「真」で結構ですよ。」


 何というか・・・


 うまく説明ができないがこの時の真は驚きと好奇心との謎のバランスが生まれてしまったせいなのかどういう訳か冷静だった。


 そのせいなのか真は思わず自己紹介をしてしまった。


 そして、今一番気になる事を恐る恐る尋ねてみた。


「・・・ここってどこ何ですか?」


「ここはあなたの夢の中」


「夢の中・・・ですか?」


「そう、夢の中。あなたの望みを聞きにきたんだよ」


 いきなり、非現実的な状況に陥っている中、「ノルン」という存在が言い放った言葉。「夢の中」。そして、「望みを聞く」。これらの事から真は一つの答えを出した。


(ああ、これ俺が何を欲しがっているのかで出てきたのか・・・)


 真は「欲求不満」で見せた夢だと考えた。理由はその方が辻褄が合うからだ。

 深層心理学において夢分析と言うものがある。無意識の働きを意識的に把握するための技法だ。

 精神分析学派や分析心理学派等の詳しく事は省くが、夢を脳科学等の現代の科学から理解する試みがある。

 その中で「夢は何かを欲求している事がある」のだそうだ。

 そう考えれば少し納得がいった。真がどういう訳か冷静だったのは何となく夢と悟っていたからなのだろう。


(「望み」か・・・。俺の「望み」って一体・・・。あ・・・)


 真は何となくゲームをやり終えた後のあの一言を思い出した。


「・・・もしかして、「このプレイヤーキャラクターをベースに更に改造して現実リアルに融通がきいて、俺の思い通りに改造して使える」って言ってた「あれ」?」


 ゲームを終えた時の言葉を思い出す。一字一句(多分)間違わずにノルンに尋ねてみた。


「そう、「あれ」のこと。「ベース」って言ってたけど所謂・・・そうだな、「カスタマイズ」って事でしょ?具体的にあなたはどうなりたいの?」


「・・・・・」


 真は眉間にしわを寄せ瞼を閉じ腕を組む。明らかに「悩んでますよ」というポーズをとっていた。

 実際、真は悩んでいた。いざそう言われると、具体的にどこをどうすれは良いのか分からない。考えが纏まらない。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 ・・・・・やはり纏まらない。


 真は冷静に


「すみません、考えが纏まらないので何か書くものを貸して下さいませんか?」


「え?ええ、はいどうぞ・・・」


 ノルンから手渡されたのはノートとペンだった。


「ありがとうございます。」


 ノートとペンを受け取った真の様子を見たノルンは若干戸惑いながらも真に尋ねてみた。


「さっきから気になったんだけど、君ってあまり物怖じしないんだね。普通こんな状況だったら平静でいられないと思うけど・・・」


 真はここにいるの世界は夢であると考えながら気軽にすんなりと話した。


「ああ、だってここは飽く迄も「夢の中」でしょ?どうせ夢ならいい夢を見ようと思いまして・・・」


 真は「欲求不満」で見せた夢だと判断した事だと考え「夢ならいい夢で見たい」とノルンに返答する。


「そう・・・」


 ノルンは小さな声でそう返事をした。その返事の意味は呆れでもなく、力が抜けたわけでもなく、何か意味があり気な・・・


 真はその返事の意味を深く考えることも無く、只管ノートに自分の考える「あれ」を記していった。





 時間を忘れじっくり考えつつも思いつくままに書いた真のノート。そのノートを


「これぐらいかな?」


 と呟いて、まるで友人に接するように気軽にノルンに渡した。


「はい、じゃあ中身を・・・」


 そう言ってノートを開いたノルン。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 ノートを見ると事細かくびっしりと書かれており、それが数十ページにまで及んでいた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・す、すごいね」


 数秒程間を置いてから返答するノルン。もはや、「すごい」を通り越して「呆れた」と言うのが正しいくらいだ。


「ここに書かれている事全てがあなたの望む「あれ」だね?」


「はい」


 迷いのない返事だった。その返事を聞いたノルンは静かに瞼を閉じた。


「・・・そっか、じゃあ承りました」


 そう言ってノートを持ち、先程まで、穏やかだった雰囲気が変わり、何か神妙な雰囲気に変わった。


「これから真さん、あなたは目覚めます。その時に起きる出来事は現実です。そして・・・」


 数秒程間が空いて


「ごめんなさい・・・」


 何となくノルンの顔であろう部分が少し微笑むがそれ以上に謝意を込めた申し訳なさそうな顔が見えたような気がした真。


「あの、それって・・・」


 ノルンの謎の謝意の理由を尋ねようとした途端、周りが、白い世界が強く光った。そして、真はその光に眩しさを感じて思わず目を瞑り、そのまま光に包まれていった。





「んん・・・・・」


 徐に瞼を開けた。周りは暗く、寝ていたベッドが硬かった。まるで岩かコンクリートの様な硬さだった。


 ゆっくりと上体を起こし寝ぼけていたせいかぼやけた視界を周りをキョロキョロと見渡して見る真。


 すると見慣れない光景が目に写った。


「んん?」


 周りは岩肌だらけの世界だった。おまけに真が眠っていた場所は明らかに何か石製のオブジェの様な物だった。


 そして、真はありきたりだが、最もなセリフである言葉を


「どこだここ?」


 と呟いた。普段の真の癖なのか、右手で後頭部をポリポリと掻く。


「・・・?」


 右手で後頭部を掻く時、一瞬視界にその右手が入る。その時の右手がやや黄色がかった杏子色が見えるはずだったのだが・・・


「・・・」


 そっと自分の右手を見てみる。


「・・・え?」


 真の目には漆黒の右手が映っていた。


ここまで読んでくださりありがとうございます。次は未定です。




追記 改善してほしい部分がございましたらご連絡ください。

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