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178.痛痒

1/15に投稿した話で前書きを書いていたと思っていたら、昨日何も無かった事に気が付いてすぐに執筆した作者です。

改めまして・・・お待たせしました。

それからここまでお待たせした事と前話の前書きが無かった事をお詫びいたします。

申し訳ありませんでした。

 

 ドーン…


 ドーン…


 本来なら自然の住人達は朝日の光を感じて起きてくるものだが、先にこんな聞き慣れない爆音を耳にして起き上がってしまったのだ。当然その音のせいで辺りにいた小鳥達は大空の彼方へと消えていった。


 ガシャッ!


 持っているKSGモドキのポンプアクションで弾を薬室に送り込むシン。


「・・・!」


 ドッガァァ!


 それなりに太いはずの木々が砕け散って、スピードを緩めたのは4mの大きなボールの様な形をした土塊だった。


「・・・・・」


 シンはサッと銃口を土塊の方へ向ける。

 するとその土塊は大きな切れ目が浮かんだ。


 ググググググ…!


 カパァ…


 土とも石とも違う何か軋む様な音を鳴らし、ボール状の形から姿を現す。


 シャアアアアア…!!


 それは体長鱗の表面に土や石を張り付けた目の無いツチノコだった。


「こいつ蛇か・・・!」


 シンが何故こんなモンスターとの戦闘になっているのか

 遡る事日の出が差し掛かった時の事だ。






「このまま真っ直ぐ行けば問題無いんだな?」


「ああ、村の距離まで2km先になるが、俺のナビ通りであれば敵と思しきのには遭遇しねぇと思うぜ」


「そうか」


 新月は太陽と月が重なる位置になった時に起きる現象だ。その為、実質新月の夜でも光はある。

 その為、アカツキは新月の夜であったとしても可視光線と近赤外線が僅かにでもあればその光を拾ってカメラに映し出す事が出来る。

 また、急な光量の増加が起きたとしてもすぐに見えるように調節ができる様に出来ている。その為、新月の夜の衛星映像でも十分なまでに見えるのだ。


「かなり時間がかかるとは思うが安全だぜ」


「分かった。それよりも近くに・・・この先に気配がある」


 シンはBBPによって視線や気配、何よりも危険を感じる等、所謂第六感が恐ろしく強い。丁度この先に生きている何かの気配を感じた。


「この先に?了解、注視する」


 アカツキはそう答えながらナビを続けていく。するとアカツキはある事に気が付きシンに声を掛ける。


「ボス、その先50m程先に大きな岩がある」


「確認した」


 夜目の利くシンは暗闇の中でその大きな岩を視認できた。確かにそのまま50m程進んで行くと大きな岩があった。


「(岩というより、土塊だな)岩の所に気配がある。確認してくれ」


「了解」


 シンとアカツキがそんなやり取りをした時の事だった。


 ビシッ…


「ん?」


 バキバキバキ…!


「!?」


 突如大きな岩が急に動き出した。どうやら気配の正体はこの岩そのものだったようだ。


「何だ、そいつ!?」


「分からない!けど敵である可能性が高い!」


 シンはそう言うと持っていたKSGモドキを構え始めた。当然銃口の先は大きな土塊。

 その土塊からヒョコッと小さな尾の様な物が出て来て土を蹴った。


 ドゴッ!


「なっ!」


 その瞬間、土塊は転がってシンに向かってきた。


 ゴロゴロ…!


 シンは咄嗟に避けて銃口を改めて土塊の方へ向けた。転がる土塊はシンが避けた事を察知したのか転がりながら体勢を立て直そうとシンの周りを体当たりの時と比べてゆっくりと周っていた。


 ゴロゴロ…


 ドンッ!


 バキンッ!


 シンは今だ!と銃口を土塊に向けて発砲した。撃った銃弾の種類は鹿撃(バックショット)だった。

 だが、被弾したが対して効果が無い様だ。被弾した場所が体の硬い部分だったようだ。


「やっぱり効かないか・・・」


 音からして明らかに聴いていない事にそう呟きながらポンプアクションをした。


 ガシャッ!





 土塊・・・ツチノコの様な大蛇はまた転がる体勢になる為にまた体を丸め始める。


 シュ~ッ…


 グググッ!


「またか!」


 シンは咄嗟に薬室部分にある弾の切り替えレバーを操作してKSGモドキを撃つ。


 ドンッ!


 バキャン…!


 だが、被弾したツチノコは怯む事無くシンに向かって転がる。どうやら被弾した箇所が致命的では無い様だ。


 ゴロゴロ…!


「チッ…」


 サッ!


 シンは横に跳んで避けた。


(鹿撃(バックショット)どころかスラッグ弾すらも効かないのか・・・!)


 スラッグ弾とはショットガンで使う弾の事で、本来は複数の弾頭を発射するところを一つの大きな弾頭を発射する弾の事を言う。スラッグ弾の別名は熊撃ちと呼ばれ、他の弾では一つ一つの弾頭が小さく命中しても貫通せず威力を発揮することが難しいクマやイノシシ等に対して使用される。

 また立てこもり等でドア破壊・・・正確には蝶番、ドアのロック部分を壊すの場合においてもよく用いられているセイフティースラッグと言う弾の種類もある。

 今回使用したスラッグ弾はライフルドスラッグという狩猟用スラッグ弾だった。


(被弾したとこが致命的じゃないのか、それとも骨に当たったのか・・・)


 確かにスラッグ弾は威力は高い。距離が適正であればライフル弾よりも上だろう。だがそれでもクマやイノシシの頭部に当たったとしても効かない場合がある。いや、正確にはかすめると言った方が良いだろう。威力がある分、かすめるだけでも十分すぎるスラッグ弾でも、頭がい骨が非常に丈夫で首の骨の構造や筋肉の関係で衝撃を緩める事により、この程度では効かない事の方が多い。

 だが、特殊ではあるが相手は蛇である。それ故に骨は丈夫だが細くて筋肉の方が多いはずだ。それ故に骨が丈夫過ぎて効かないというのは考えにくい。つまり致命的なダメージを与えられなかったのだろう。


(こうなるんだったら他の銃を持ってくるんだった)


 狩猟用の銃弾で大型の獣専用の特徴として人はおろか動物を確実に殺し切るという面においては優秀だ。人に当たれば風穴が開くだけでは済まない。はっきり言えば破裂する。対人面でも対獣面でも十分な威力を誇っている。

 そうした理由でKSGモドキの2本のチューブ式弾倉のどちらにも大型獣専用の狩猟弾丸が込められている。


(何にせよ、今装填している銃弾では倒し切る事は出来ないな)


 パチッ…


 カシャ…


 そう判断したシンは薬室部分のレバーを操作して薬室にある弾を直接込める。


 ガシャッ!


 ポンプアクションをして装填を完了してツチノコの方へ向けた。


 ドンッ!


 ゴンッ!


 撃った瞬間と同時にツチノコの体に小さくも爆発が起きた。

 それはフラグ12だった。

 フルオート機能を持つ散弾銃、AA12用に開発された小型対装甲弾で被弾した瞬間小さな爆発が起きる。

 ロケット弾のように発射後展開する尾翼によって安定した軌道を確保する為かなりの距離まで届く事が可能だ。通常のショットガンでも使用可能だが、サイズの関係で威力が限定される為、大量に連射可能なAA12以外では実用性は低い。

 だが効果があるかどうかについて知りたい今のような場合であれば十分だ。


 パラパラ…


 ポタポタ…


 ツチノコの体から表面にあった鱗や土や小石が崩れ落ちて爆発による抉れたような傷ではなく、撃たれたような大きな穴が開く形で傷が出来ていた。その傷から血がタラタラと流れ出ていた。


 シャ~…!


 体を丸めつつ蛇独特の威嚇の音を出すツチノコ。どうやら効果的だったようだ。

 だが、失敗していた事もあった。


「こんな事になるなら、もういくつか持ってくればよかったな」


 シンは大型獣専用銃弾で事足りると考えていたから、他の弾丸はフラグ12があと1発、フェレシェット弾が3発しか持ってきておらず残りはバックショットとライフルドスラッグの5発ずつしかなかった。何故ならどちらも実験用に使うつもりでいたからという事と、大量に持ってきて銃弾一つ落とす事で銃弾の仕組みを知られる恐れがある。だからあまりたくさん持ってきていなかったのだ。

 また、チューブ弾倉に入っていないから一々直接薬室に入れる必要がある。その為手間取ってしまう。

 明らかな火力不足だ。

 いや、例え火力があったとしても相手は自然に生きる生き物であればこれが最善とは言えない。

 何故ならたとえ狙撃されて心臓が射抜かれようとも喉を裂かれようとも頭をかち割られようとも、半身真っ二つになっても、ほんの数秒「生きて」「動け」という本能があれば彼らは数十mの距離を駆け抜けこちらを押し倒して殺しにかかるだろうからだ。

 そして恐らくそれは高確率で起きる。何故なら命を懸けているのだから。

 故に狩猟と言うものは命懸けなのである。


「て、事は今ある銃弾だけでって事か?」


 現状をカメラで鑑みたアカツキはそう呟く。それに気が付いたシンは


「アカツキ」


 と名前を呼ぶ。


「すまねぇ、ボス。まさかその岩が生き物だとは思わなかった」


「気にするな。こいつは擬態がかなり上手いかったからな」


 アカツキにフォローを入れつつ現状の打破を考えるシン。そんな時アカツキから声が掛かる。


「ボス、この近くに海岸線がある」


 シンが降り立ったのは海岸線近くの森だ。シンが向かう村や町は海に面している為、海岸線に沿って向かう方が分かりやすいからだ。

 だが、何故こんな状況でアカツキがそんな事を言いだしのか赤の第三者であれば分からないだろう。

 しかしシンは理解していた。


「なるほど」


 シンがそう答えると突然走り出した。それに気が付いたツチノコは追いかける様にして尾で地面を蹴って転がりだした。


「アカツキ、崖の方角!」


「いい感じのが10時の方向の先120m!付近に誰もいない!」


「分かった!」


 シンはそう答えると走るスピードを上げた。それに気が付いたツチノコは転がる毎にリズムよく地面を蹴ってスピードを掛ける。シンとツチノコとの距離は追い付かれもせず、見失わない速さで走っていた。

 どちらもスピードを上げた事で崖へ到着するまでの時間はあっと言う間だった。

 森を抜けるとそこは高さ十数mの断崖絶壁だった。当然シンはすぐに止まる。

 だが、後ろからはツチノコがスピードを上げて追いかけてきている。


「・・・・・」


 シンはツチノコ方へすぐ向く。もう既に目の前には転がるツチノコの姿があった。


 ゴロゴロ…!


 スッ!


 シンは咄嗟に避けた。

 狙い通りツチノコはこのまま断崖絶壁から真っ逆様に落ち・・・


 ゴロゴロゴロンゴロンゴロゴロ…!


 なかった。

 ツチノコは体の軸を傾けたのか車がドリフトする様にカーブをして断崖絶壁から落ちない様に防ぎ切った。その上転がる事で体勢を立て直し、止まった。

 シンとの距離僅か6m程。ツチノコと崖との距離僅か1m程。

 ツチノコの尾によってスピードを上げて転がればシンへの体当たりは間違いなかった。





 スッ…


 万事休すに見えるこの状況。

 シンはKSGモドキをツチノコとの方へ向け引き金を引いたままポンプアクションした。


 グッ…


 ドンドンドンドン!


 シンのKSGモドキから機関銃の様に弾丸が発射された。


1月入って早々しなければならない事が山積みになっておりましてその件もあって小説の方が更新できませんでした。大変長らくお待たせてしました。本当に申し訳ございませんでした。

今後の予定としては今まで投稿してきた話の修正作業に入りつつ次話を執筆しようと考えています。なるべく早め早めに投稿する様に致しますが、1ヶ月に数える位が限界です。あまり期待しないで下さい。

次回は1/30に投稿する予定です。


多分・・・。

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