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アンノウン ~その者、大いなる旅人~  作者: 折田要
旅の準備
11/396

9.武器と服

 馬車から手に入れた戦利品を「収納スペース(インベントリ)」から出して皆に見せる。


「・・・・・」


 無言で戦利品を見る皆。傷ついて無い1.4mの魔法の杖2本と各種の本と書類、干し肉が入った袋、金貨が入った袋。少ない。2台の荷馬車の戦利品にしてはあまりにも武器が少ない。


「「「・・・・・」」」


 無言ではあるが何か言いたげな顔でシンを見る皆。


「ああ、この・・・これは魔法だ」


 シンは「収納スペース(インベントリ)」の事についての無言だと考えそう説明する。しかし


「「「・・・・・」」」


 それでも無言でシンの方をジーと見る皆。


(な、何だ?これ以外で聞きたい事と言えば・・・ああ・・・!)


 皆が何を言いたいのかを何となく察したシンは


「えーと、これ以外は全部俺が壊してしまった・・・ゴメン」


 と謝罪した。

 シンは「BBP」と「LP」(レーザーピストル)があるから必要は無いのだが、エリー達には身を守るうえでは何かしらの武器が必要だ。本来なら奴隷商人達が使っていた武器をエリー達に与えればいいと考えていた。

 しかし、シンの「BBP」によって使えるとは言い難かい程、武器のほとんどは刀身からスッパリ切ってしまったのだ。

 その事を皆に説明し謝る。だが、当然皆からの視線は冷たい。


(・・・しょうがない。「ショップ」で武器を買い与えるか・・・)


 そう考え、「ショップ」の画面を開く。武器のカテゴリーを見る。すると武器の種類で「銃器」のカテゴリーが目に入る。


(銃か・・・使いやすいが、この世界では見ない武器だし、与えても奪われて逆に命の危険にさらしてしまいかねないな・・・)


 構えて狙って引き金を引く。たったこれだけで相手を無力化できる。簡単で使いやすい。しかし、簡単で使いやすいからこそ、奪われて使い方を知られてしまえば自分の命の危険に晒してしまう。そんな危険があると考え、銃を購入するのはやめる。代わりに剣や弓のような原始的に近い武器を買い与えることにしたシンは不意に皆の方へ目をやる。


「そういえば、服って前のままだな・・・」


 服がいつまでもボロボロの貫頭衣なのも酷というものだ。魔力を手に入れる方法は分かった。余裕ができたシンは服も買う事にした。早速、それぞれの武器と服を買おうとする。


(子供用のサイズは・・・あ・・・!)


 服の種類を選んでいるとある事に気が付く・・・。


(しまった、下着の事忘れてた。)


 ハッと気づく。

 シンは男だから男子は問題ないのだが、問題は女子だ。

 女子の下着サイズや色、もっと言えばかなりプライベートな問題だった。


 とは言え、女子にだけ買い与えない訳にもいかない。


(拙い、どうしよう・・・)


 シンは必死に考える。





 しかし、何も思いつかず、結局どうすれば良いのか分からなかった。シンは無言のまま不意にエリーを見る。


「・・・・・」


 少し考えるが、他に方法が思いつかず「仕方がない」と内心諦めエリ-を呼んだ。


「エリー」


 シンが片手でちょいちょいと手招きをする。


「?」


 エリーは「何だろう」とシンの元へ行く。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「??」


 シンは言い辛そうにする。エリーはシンの様子に疑問符を増やしていく。


 女性にとってはプライベートな問題ではある。だが、「着る服が無い方が女性にとって大きな問題だから」とシンは割り切って小声で


「・・・耳を貸して」


 と言った。


「?」


 小首を傾げつつも耳を貸すエリー。


「あのな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 そっとエリーに耳打ちをする。


「・・・!!!」


 エリーは目を大きく見開き、口はジグザグになり、顔は紅潮し、固まる。


 シンは予め用意したノートとボールペンをエリーに手渡す。


「これで、それぞれの欲しい下着の特徴を書いてほしい・・・」


 エリーはおずおずとノートとボールペンを受け取る。


「・・・・・」


 紅潮した顔をシンの方へ向けジトーッと見る。


「・・・・・・・・・・」


 シンは目を逸らす。


「・・・・・・・・・・・・・・」


 それでもかまわずシンを見るエリー。




 小さな溜息をついたエリーはシーナとココの方へ行く。シーナに事の説明をする。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 するととシーナも


「っ!・・・・・・・・・・・・・・・・」


 エリーと同じように紅潮した顔でジトーッとシンを見る。


(俺は悪くない・・・。何も悪くなんか無いんだ・・・)


 シンは心の中で言い訳をするがその言い訳は当然誰の耳に入ることは無い。





 少し時間が経ってエリーがシンの元へ来ると女子組が着たい服のメモを差し出した。


「日本語でそれぞれの特徴とか書いたから・・・」


「分かった」


 シンはそっとそのメモを受け取る。これで何とか女性の下着のサイズを知り、手に入れやすくなった。


「それとね・・・」


「?」


 あまり表情を作らないエリーが急に笑顔になり


「くれぐれも他人のプライバシーを漏らさないようにね・・・」


 と声を低くし威圧した言葉でシンに言う。ニコリと笑いながらも目は笑っておらず瞳の奥は憤怒の色に染まっていた。


 シンは少し怖いと思った。


「け、決して漏らさないと約束するよ・・・」


 それを聞いたエリーは


「そう」


 そう短い返事して、シンの元から離れ魔法の本を読んだ。

 シンは皆がいる所から少し離れてノートの内容を確認し、服を購入する。





 予備用に2組の下着を買い、紙袋に入れそっとエリーに渡したが、


「「・・・・・」」


 エリーとシーナはジトーッと見ていた。


(そんな目で見ないでくれよ・・・)


 しょうがないとは言え、何か納得が行かないまま男子の下着を考慮し、服を買いナーモ達に与えた。


 服を買い与えた皆は女子達は洞窟の中で着替え、男子達は茂みの中で着替えた。





「キャハハハ!」


「○○、○○○~!」


「・・・・・」


 今シンの前で子供向けのアニメの「ピョコリン」というウサギがモデルの妖精のキャラクターTシャツを着て走り回っている2人の子供達。ククとココだ。シンはそんな2人の様子を黙って眺めていた。


(こういうのをシュールっていうのかな?)


 前の世界であればよく見かける様な光景だが、ここは異世界。魔法が使える世界だ。そんな世界にアニメのキャラクターTシャツを着た子供が走っているとなんだか、複雑な気分だ。



 何故ククとココがこんなTシャツを着ているかというと「ショップ」で一番安かったからだ。

 ただそれだけの理由だ。

 最初は気に入らなかったらどうしようとシンは考えていたが、杞憂だったようだ。

 2人とも気に入って無邪気に走り回っている。


 とりあえず、今は夏なので服はククとココにはキャラクターTシャツと青と赤の別々の短パンを与えた。


 ナーモには黒のTシャツとダークブラウンのカーゴズボン。


 シーナは黒と赤を基調にしたセーラー服のような半袖のジャージと黒のガウチョパンツ。「ピョコリン」のTシャツが良かったそうだが、サイズが無い。その事を伝えると残そうな顔をした。


 ニックはフードが付いた上下黒と黄色を基調にしたジャージだ。


 エリーは赤と白のフードが付いた半袖のジャージと白のガウチョパンツを与えた。エリーも「ピョコリン」のTシャツが欲しそうにしたが、サイズが無かった。その事を伝えるとショックを受けていた。


 全員黒のメンズ、レディースのサンダルをサイズごとに与えた。何故サンダルかと言うと今は夏である事が1つの理由だが、もう1つある。サンダルをまとめ買いすると安くてお得だったからだ。


(「ピョコリン」どんだけ人気なんだよ・・・)


「ピョコリン」の人気ぶりに呆れるシン。


 次に武器だ。本人たちに聞くとナーモとシーナ、ニックは経験があるそうだ。他の皆は刃物を使ったことがある程度だった。


 まず、ナーモにはハンドガード付きのマシェット(剣鉈)1本、半身を守れるタクティカル・シールド(窓付きの防弾盾)1つとハンティングナイフ1本。


 シーナには耐衝撃性ポリプロピレンのトンファー2本とククリナイフ(くの字に曲がったナイフ)。


 ニックは2本ショートボウ(短い弓)と矢30本、ハンティングナイフ1本。


 エリーには手に入った魔法の杖気に入った方を1本と魔法の教材本全冊与えた。


 ただ、エリーは刃物を扱った事が無いそうだ。同じく経験のないクク、ココと同じように短いハンティングナイフと耐衝撃性ポリプロピレン製の模造ナイフの1本ずつ与えた。


 たくさん買ったが、彼らが「生きるため」に必要な物だ。コスト何て一々気にしてられない。


「私も剣を持つの?」


 キョトンとした顔でシンに尋ねる。


「刃物を扱った事が無いだろ?それも兼ねての訓練だ。」


 彼らが「生きるため」に最低でもナイフの扱いは必要になる。物を作る時でも獲物を捌く時でも必要となるからだ。


 シンが言いたい事が何となく察したエリー。


「・・・ん、分かった」


 少し不服そうだったが、しょうがないと考えたのかあっさり承諾した。


(さて、今度は俺の「異世界語」を学ばなくてはならないな・・・)


 シンは馬車から手に入れてきた本や書類を持って言葉を学ぶためにエリーの元へ行った。


も、もう書けない・・・


追記 改善してほしい部分がございましたらご連絡ください。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 無理やり奴隷にされたパターンなのかもしれないけど…… 命の恩人に対しての態度ではないなw しかし、主人公はもう少し嫌な奴(自分本位)でも良かったような…異世界小説の主人公って性格良いパ…
[一言] 主人公が納得いかないように、読み手としても納得いかないですよね。奴隷ってこんなに図々しかった?
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