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殺人鬼J村くん。  作者: うずら
3/13

危女もとい鬼女

星さんの独白はスルーしても問題ありません。

 女性は星円さんといいました。


「私、殺人鬼の大ファンなんです!」


 星さんは目をキラキラさせながら、ズイッと迫ります。

 J村くんは顔を歪めながら、ビクッと後ずさりします。


「生の殺人鬼に会えるなんて感激です!」


 それから星さんは唾をペッペと飛ばしながら、自分がいかに殺人鬼を愛しているのかを語りはじめました。


「私が殺人鬼に興味を持つようになったのは中学生の時です。きっかけは、サンフランシスコのゾディアック事件でした。当時はまだシリアルキラーなんて名称も定着していない時代で、そのあまりの猟奇性に・・・・・・」


 星さんはまだ語ります。


「・・・・・・しかしその頃の私はまだ恐怖心に捕われたままで、純粋な視点を持ち合わせていませんでした。ターニングポイントになったのは、ご存知かの名著『F〇I心理分析官』に触れて、犯罪心理学への理解を深め・・・・・・」


 星さんはまだまだ語り続けます。


 初めのうちこそ真面目に聞いていたJ村くんでしたが、次第にそわそわし始めると、チェーンソーを拾い、靴紐を結び直し、足元の雑草をブチブチと引っこ抜き始めました。


 やがてJ村くんが地面にヘノヘノモヘジを書き始めた頃になって、ようやく星さんの話が終わりました。


「とまあ、そんなわけです。わかってもらえましたか?」


 J村くんはコクコクと頷きます。


「うん、もう嫌というほどよくわかった。星さんは殺人鬼が大好きなんだ」


「はい! なので私とお付き合いしましょう」


「へ?」


 J村くんは耳を疑いました。


「いまなんて?」


「ですから、私とお付き合いしましょう」


 J村くんは戦慄しました。

 初対面の相手に、それもチェーンソーを持った殺人鬼に交際を申し込むなんて、まともじゃありません。異常です。


「せっかくの誘いだけど・・・・・・」


 J村くんが迷わず断ろうとすると、


「まさか、断ったりしませんよね?」


 星さんの目がスッと細められました。

 その眼光はさながら獲物を追い詰める殺人鬼です。


「ヒィッ!?」


 J村くんが情けない声を漏らします。

 怖くて仕方ありませんでしたが、背に腹は変えられません。後で後悔しないためにも、勇気をふりしばって宣言します。


「お断りしま・・・・・・」


 しかしまた途中で遮られてしまいました。

 星さんがJ村くんの手を手を取り、握手でもするかのように握り締めるてきたのです。


 ギリギリギリギリ


「痛い痛い痛い!」


 J村くんは思わず叫びます。

 でも星さんは一向にやめません。


「さっき、私を襲おうとしていたよね?」


「・・・・・・」


「これって殺人未遂なのかな?」


「うっ・・・・・・」


「そういえば、この通りの先に交番があったよね?」


「っ・・・・・・!」


 J村くんの視線がキョロキョロと宙をさ迷います。

 きっと目にゴミでも入ったのでしょう。冷徹な殺人鬼は動揺なんてしないはずですから。


「それで返事は?」


 星さんがニッコリ笑いながら、とどめを刺すように尋ねました。


「・・・・・・こちらこそ喜んで」


 カの鳴くような声でした。



虫のカが漢字で出てこなかったので、カタカナにしました。わかりづらくてすみません。

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