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神と人と竜と  作者: 赤竜帝
51/53

秘密と過去

再投稿です!


ではどぞ(っ´∀`)っ

「・・・・・・ん・・・んん・・・?」


「あ!カムイさん、目が覚めましたか?」


 神威は目を覚ますとアイシャが駆け寄ってきた。


「んん・・・・おはよう・・・」


「はい、おはようございます。と言っても外はもう暗くなっていますけどね」


「外がどうなってるのかわかるのか?」


「こっちに来れば分かりますよ」


 アイシャは笑みを浮かべながら神威に手を差し出した。


 神威はアイシャの手を掴み立ち上がった。

 手を握ったまま神威はアイシャについて行き、壁の方まで来ると今まで無かった筈の扉が壁にあった。


 神威は扉の存在に疑問を持ちながらも、レシィーがアイシャや自分の姿を結界で姿を見えなくしていたのを思い出し、同じような原理なんだろうなと考えた。


 扉を抜けると中はそれなりに広く、他の部屋もいくつかあるようだ。

 そして山の中、地下にあるはずのこの部屋の天井の一部からは空を見ることが出来た。


「おお!すげー!」


 神威は天井のすぐ下まで駆け寄った。

 アイシャの言う通り、空は暗くなっており、星を見ることが出来た。

 どうなっているのか気になり、天井に手を伸ばそうとすると後ろからレシィーに止められた。


「それは繊細だから壊さないでくれよ?

 まあ、そんな事よりアイシャはカムイにあのことを言わないでいいのか?」


 レシィーはアイシャを見ながら微笑んでいた。


「そうです!

 カムイさん!こっちに来てください!」


 そう言いながらアイシャはカムイの手を引き家の外、巨大な扉の前まできた。

 そして、神威の前で習得することの出来た魔法を見せた。

 アイシャは水属性の魔法を使い、空気中に浮かぶ水の塊を変幻自在に操作をした。まだまだ戦闘中に使う事は出来ないが、それでもつい最近まで全く魔法を使えなかったアイシャが自在に水を操っているのだ。今後の成長も充分期待出来る程である。


 それを見ながら神威は関心している。神威も魔法は使えるがハッキリ言って精度は良くない。広範囲に対しての魔法が得意だが、単体に向けての魔法や、今アイシャがやっているように自由に動かすのは苦手である。

 まともに出来て、レシィー戦の時のような刀を使っての直線状に放つ攻撃だ。刀をつかなければ神威の正面ほぼ全体が攻撃範囲になってしまう。


「ちゃんと魔法を使えてる。魔法ってすぐにこんなに使えるようになるもんなんですか? 」


 神威は後からゆっくりとマグカップを片手に歩いてきたレシィーに聞いた。


 すると何かを飲もうとマグカップを口に近付けた所で手が止まった。

 レシィーはそのまま困ったようにし、少し唸りながら何か小声で呟いている。


「これはカムイには言うべきか否か・・・」


 レシィーの様子に神威は少し疑問に思った。


 そしてレシィーは何かを決めたように頷いた。


「カムイ、アイシャの事について話がある。アイシャに聞かれたくない、家の中で話そう」


 神威にだけ聞こえるような小さな声で言った。神威はそれに対して無言で頷いた。


 レシィーはアイシャに、「魔法になれるため暫くそのまま魔法を維持させていろ」と言い、アイシャがこちらに来ないように、かつ自然に二人だけで話をできる環境を作った。


 二人は家の中に入り、奥にある個室に向かった。


 部屋は簡素な造りになっており多くの本棚と最低限の机と椅子しかない。


「この部屋は普段使わない部屋でな、少々ホコリっぽいかもしれないが我慢してくれ」


 そうは言っているが机や椅子にはホコリなど無くキレイに掃除がされている。


 レシィーは部屋の奥にある本棚から1冊の本を取り出し、神威とレシィーは机を挟んで向かい合うように座った。


「さて、話すとは言ったが未だにどれくらい話していいものか、どのくらいまで話していいものか悩んでいるのだ。この事を話してしまうと今後アイシャに対して見方が変わってしまうかもしれないからだ。

 私としてはそんな事あって欲しく無いのだ・・・」


 レシィーは黙り込みどうするべきか考えているようだ。

 それに反して神威は自分の考えをすぐに言った。


「アイシャに対しての見方云々に対しては大丈夫ですよ。

 例えアイシャが何だとしても俺が愛したアイシャには変わりないですからね。結婚しても未だに敬語で話す真面目って言うかちょっと固いところや、俺がナギアと手を繋いだりしてると本人は気付かれて無いつもりでもヤキモチ妬いてるのがバレバレな所とか、そのへんも含めて全部愛してますよ。

 それに俺自身も真っ当な人間かと聞かれたら考える部分もあります。ナギアも人間の姿をしているだけで本質は竜ですからね。いまさらアイシャが何であっても、驚きはしますけどそれだけで今までとはなんにも変わりませんよ」


「よくもまあそんな恥ずかし事を平然と・・・・・・、それにしても夫対して未だに敬語とは我が娘とは言え後で言ってやらんとな」


 そう言いながら昔の自分を思い出していた。種族は違えど周囲のものには決して知られないように愛しあった相手のことを。例えそれが禁忌であったとしても。


「うわ、めっちゃ恥ずかしいこと言ってんじゃん!って!我が娘ってレシィーさん、アイシャのお母さん!?」


「ずっと黙っていたがそういうことだな。といっても産みの親ってだけで実際アイシャを育てたのは兄のカイゼルだ。会ったことはあるか?」


「会ったことありますけど・・・」


 まさかアイシャの母親だとは思わず、急に緊張してきた。


「今更緊張してどうする。今まで通りで構わん。

 それより本題に戻ろうか。いくつか伝え無ければいけない事がある。ひとつづつ消化していくか。

 一つ目だがカムイは悪魔を知っているか?」


「悪魔?名前は聞いたことはありますけど、説明しろって言われたら困りますね」


「一般的にはそんなもんだろう。

 悪魔って言うのはこの世界とは別の世界に存在し、肉体は無く魔力と精神で構成されてると言われている。

 私達は大昔に悪魔を召喚しようとしたのだ。

 この本はその召喚方法が書かれている」


 そう言いレシィーは神威に本を手渡した。

 本は所々神威が読めない字があるが、飛ばし飛ばしで読んでも大まかな内容を理解することが出来た。


 初めに、肉体を持たない悪魔の為の憑代が必要となる、これは誰でも言いわけではなく闇の適性を持つものが必要となる。当時は今に比べ奴隷が多く、闇の適性を持つ者を見つけるのも難しい事ではなかったようだ。

 次に、多くの人の魂と魔力が必要となる。精神と魔力で出来た悪魔は魂で精神の安定、魔力で魔力の安定をしている。これは強い悪魔を求めるほど多く必要であり、これも多くの奴隷で代用していた。


 これだけで、この悪魔の召喚にどれだけの命が失われてきたかが容易にわかる。神威は静かに読み続けた。


「当時の私達は自分達の知恵や力を試したく、この地下で様々な実験を日々繰り返していた。人道に触れる事だろうとだ。

 その過程で寿命を伸ばし、肉体を若い状態で保つ事が出来るようになったのだ。その時から私達は更に狂い出したのだ。

 今までは時間のかかりすぎる実験は避けていたのだ、人間にも寿命の限りがあるからな、実験途中で死んでしまう事は非常にもったいない事だと思っていたからだ。しかし寿命が伸び時間の概念が薄れてきたのだ。枷の外れた猛獣の様に欲望のままに実験をするようになったのだ。

 そして悪魔の召喚に至ったのだ。初めは魔物や動物を生贄と使い召喚していたがどれも望むほどの成果を得られなかった。やはり魔物や動物では器が小さく下級の悪魔しか召喚することしか出来なかった。その下級悪魔も使い魔として外の世界の情報を手に入れるために使っていたのだがな。

 そんなことをしながら何十年もの月日が経ったある日、私達以外にも悪魔の召喚を使用としている国がある事が分かったのだ。その国はで何回か人での実験をしているらしくな私達はその国の経過を観察したのだ。

 そして、その国は召喚に成功したのだ。一人の闇の適性と何百ものの生贄たちでだ。その時私達は使い魔を介してリアルタイムで召喚の様子を見ていたのだ。

 召喚は順調に進み、遂に召喚した。しかし異変が起きていたのだ。本来は憑代となった者の肉体は乗り移った悪魔の望む姿になる筈だ。しかし憑代となった者は姿を変えずにその場に居たのだ。そして、すぐ側にはただならぬ魔力を持つ男が居たのだ。私達はそれが召喚した悪魔だと直ぐに理解した。周囲の生贄の数が減っておりその肉体を使ったのも分かった。しかし何故憑代を使わず生贄を使ったのか分からなかった。そうこうしているうちに周囲にいた国の兵士達や研究者は殺されていき、私達の使い魔も殺されてしまい。ここからの状況は分からないのだ。ただその後直ぐにその国に再度使い魔を送るとそこは元の面影もなく死屍累々としていた。

 ここで召喚を諦めていれば良かったものを私達はあの国の者達が弱かっただけで自分たちなら悪魔を制御出来ると思ったのだ。実際この後、人を使った召喚をし成功し悪魔の制御も成功しているのだ。

 その後も何度も召喚を繰り返し悪魔の数を増やしていった。

 その時私は悪魔の管理をしていたのだ。そして様々な悪魔を見てきた、力持つ悪魔となれば言葉を話す者もいた。そしてあろう事か私は悪魔達に情が移りつつあったのだ。ここは詳しく話す必要はないな。結果的には一人の悪魔と恋に落ち、この研究所から二人で逃げだし、数十年間外の世界で暮らし、二人目の子どもが出来た。しかしその頃には私の夫の悪魔はこの世界に留まるのには限界が来ていた。私もそれに何となく気付いていた。そして夫と別れを告げ、カイゼルにまだ小さいアイシャを任せ、罪を償う為にここに帰ってきたのだ。しかしその頃にはここもこの有様だ。だが昔の研究の後は残っている。それが世界に広まらないために私はここで今まで門番をしていたのだ。

 と、まぁ長くなったがこれが私達と悪魔との関係だ。この話を聞いて分かると思うが、アイシャとカイゼルは人間と悪魔とのハーフだ。しかも人間と言っても肉体改造をした私の子どもだ。寿命とかは遺伝するケースとしないケース二つある。二人はどうかわからない上、悪魔の血も入っている。寿命とかがどうなっているか全く分からん」


「この事はアイシャは知りませんよね」


「もちろんだ、しかしカイゼルは知っている。そして二人にはしっかりと悪魔の力も受け継がれている。ただそれを制御するのは容易なことではない。カムイがこっちに帰ってきた時私とアイシャが倒れていたのはアイシャの悪魔の力が暴走し、私がその力を封印したのだ。

 アイシャは魔力の放出のしすぎ、私は魔力の使いすぎで気絶していたのだ。アイシャは結果的に魔力の扱いを覚えて良かったのだが・・・」


「アイシャの悪魔の力の封印は完璧じゃない?」


 神威の的確な言葉に頷いている。


「その通りだ。なんせ一人で即興でやったからな。」


「それじゃあ、次にアイシャの悪魔の力の封印が解けたらどうすれば良いんですか」


「それに関しては封印の仕方を神威に教える。私達が気絶している間にあんなに強力な結界を張れるのだ。直ぐに覚えることは出来るだろう」


「え・・・、確かにあの結界は俺が張ったものですが、俺であって俺じゃないって言うかなんて言うか」


 レシィーにアリスの事を話してはいけない気がしてどう説明したものか困っている。


「俺であって俺じゃないってどういうことだ?」


「いや、なんでもないです」


 神威は大人しく封印の仕方を教えてもらう事にした。


 苦戦しつつも何とか覚えることが出来た。そして、途中アリスが神威の体を借りて使った結界の使い方が分かることに気が付いた。いわゆる身体が覚えているってやつであろう。


「これでアイシャの事は任せれるな、頼んだぞ」


「わかりました。ですがアイシャにはこのことを言わないんですか?」


「今更言ったところでしょうがないことだ。アイシャにはカイゼルから両親は何かしらの理由で死んだと伝えられているはずだろうし、それに今は二人の家族が居るのだ。私のせいで寂しい思いをさせてしまった分、幸せにしてやってくれ」


 言い終わるとレシィーは立ち上がった。


「そろそろ戻ろうか、あまり長いと怪しまれるかもしれんからな」


 神威にこれ以上何も合わせないようにするかの様にそそくさと部屋から出ていった。


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