修行とキメラ
あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いします!
それではどぞ(っ´∀`)っ
扉が閉まり、アイシャとレシィーだけになった。
「レシィーさん!早速魔法の使い方を教えて頂けませんか?」
「いいぞ、だがまずは魔力の扱いからだ。さっきの戦闘から見て、自分の魔力での身体強化は出来ているようだ。だが魔法は使えない、どうしてだか分かるか?」
そう言われてもアイシャは全く分からず首を傾げる事しか出来なかった。
「まあ、ここで分かるようならとっくに魔法は使えているだろうしな。理由としては自分の魔力を体の外に出せていないからだ。
普通の人間が持つような魔力であれば自然と体の魔力を外に出す事が出来るのだが、それが出来ない。これがこの魔力の特徴だ」
「それじゃあどうやって魔法を使うのですか?」
「それはこの魔力のもう一つの特徴である。空気中の魔力に自分の魔力を混ぜ合わせ自由に扱う事が出来るのだ」
「空気中の魔力...?」
「まずそこからか、この世界には何処であろうと空気中には多かれ少なかれ必ず魔力が含まれているのだ。
それを利用している生物もいるぐらいだ、アイシャもその一つに入るのだがな。
それで空気中の魔力を利用するのにまず空気中の魔力を感じる事をできるようにならなければいけないのだが、たぶん出来ないだろうな」
「はい...できません」
「ならそれからだな、コツは自分の魔力と空気中の魔力の違いを見つけることだな。まあ、とりあえずはそこら辺に座って集中することだ」
「はい!」
アイシャは返事をした後、壁際で楽な体制で座り目を瞑った。
レシィーはアイシャが集中しだしたのを見計らってこのフロアの神威とナギアが入って行った扉に対して左側の壁に向かった。
壁まで行くとレシィーは軽く壁を叩いた。すると壁の一部が霧散し、そこには扉がありレシィーはその扉を開け中に入って行った。
その頃、神威とナギアは奥へと歩いていた。
門を抜けた先は今までの場所とは違い、道や壁は綺麗に整えられ時間の経過で風化しているとはいえ、かつて文明が栄えていたことがわかる程である。
分かれ道や階段が多く複雑になっており、迷いながら進んでいた。
途中途中魔物が多く出現し、その殆どがゴースト系やスケルトンなどのアンデット系統の魔物であり、そのどれも今までの魔物よりもはるかに強かった。
ゴースト系は壁や地面を通り抜けふことができ、また物理攻撃が効かないため魔法で攻撃するしかない。
また個体によっては魔法を使う者もおり背後から魔法を放ち攻撃してくるのもいた。
スケルトンは前回戦ったスケルトンに比べ大きく強化されており、装備がしっかりとしたものになっており、前衛後衛と役割分担も出来ており神威とナギアからすれば個々ではそう苦戦する出来ではなくても戦いにくい魔物であった。
しかし目的の魔物は未だに出てきておらず、鉱石の方もまだ全て集まっていない。必要な素材の一つはとある魔獣の角である。しかし今のところアンデット系統の魔物しか出てきていない。早く目的のものを見つけるためにも神威とナギアは奥へと進んでいった。
しばらく歩き続け、時々何も無い部屋を見つけるようになってきた。
奥に進むにつれ部屋を見つける間隔が縮まっている。
この先に何かあるかもしれないと思いながら神威とナギアは警戒しながら進んでいる。
更に歩き続け、今までとは違い金属でできた頑丈な扉を見つけた。
その扉の奥からは強力な力を二人は感じ取っていた。
わざわざリスクを冒してこの先に行く必要は無いのだろうが、この先に強力な何かがいると思うと二人は気になって仕方ない。
結局二人はこの扉の奥に行ってみることにした。
道幅は狭くどんどん地下に続いており気温も下がってきた。
奥に行くにつれ二人の緊張感は増してきた。確実にこの先になにかいる。そう確信しながら二人は慎重に進んでいる。
警戒しながら進んでいると二人はある部屋に辿り着いた。その部屋の中を見て二人は驚愕した。
部屋の中には大量の実験用のカプセルが並べられていた。そのどれにも何かしらの生物が入っていた。その中には人間までもいた。
それらを見ながら二人は奥に歩いていた。
しかし神威は奥に歩いていくほどカプセルの中にいる生物に違和感を感じていた。明らかに元の生物に無いはずのパーツがある生物が増えてきた。ハウンドフルフにリザードマンの鱗、スライム状のゴブリン、ゴブリンにホーネットの針、ハウンドフルフにゴブリンの腕。その他にも神威が見たこともない様々な魔物同士が不自然に混ざりあった合成生物が多数いた。
中には人間に人間の腕が更に増えてたり、ゴブリンやハウンドウルフに人間の腕や脚、目や口が付いていたりと奥に進むほどおぞましい姿となっていた。
そして一番奥にはこれまでのカプセルに比べはるかに大きなものがあった。
中にはこれまでのものをはるかに凌駕するおぞましいものがいた。
大きさは3mを優に超え、頭部には大きな双角と目が二つ、右腕は触手の様な物が何本も生えており、肩には人間の何倍もある脳が剥き出しで付いていた。左腕は筒状の腕になっており肩には大きなクリスタルが生えており腕の途中と管で繋がっている。
胴体には鋭い牙が覗く大きな口が縦についており胴体の殆どをその口が占めている。
下半身は人間の腕が何本も何本も生えている。
それがカプセルの中で漂うように眠っている。
「カムイ...こいつ凄く強いと思うの、どうする?」
想像以上のものを目の前にナギアが不安そうにしている。
「大人しく帰った方がいいかもしれないんだが、コイツの角と肩のクリスタルが目的の素材なんだよ。それにさっきからコイツらを殺さないとならない気がしてならないんだ」
神威はこの部屋に来てからここにいる合成生物達に不自然な殺意を持っている。そして流れる様に神化武装を使い、アリスの力を借りた。
「なんで...勝手に」
「それは私がそう促したからね」
神威が神化武装を使ったことによってアリスと会話できるようになっている。
「神威くんがさっきから感じてる殺意は私のせいなんだよ。私とは庇護する者と加護を受ける者という強い関係性があるからね。
それで私が怒ってるのはね、創造神たる私の役目は生命の創造も含まれてるの。でもね今目の前にいる生物は私の真似事をした愚かな人間の愚作だ、神の真似事をするのも飽き足らずこんなものまで作るなんて、私に対しての愚弄にも程があるよ」
口調こと普段とは大差ないがアリスから確実に強い怒りを感じ取れる。
「だからね、神威くんにはね私の代わりにここにいる合成生物を殺して楽にしてあげてね。この合成生物だってこんな姿嫌だろうしね」
「分かった。今から創造神アリスに代わってこの合成生物達を殲滅する。ナギアは何があるか分からないしここに来る時通った扉まで戻ってて」
「わ、分かった!」
普段とは代わりのない筈の神威から強い殺意と恐怖を感じナギアはこの場から逃げるように走っていった。
そして神威は目の前の巨体な合成生物に向き直った。合成生物は神威が神化武装した際の強力な魔力で目を覚ましカプセルを壊し中から出てきていた。
まだ地上に慣れてないため上手く立ち上がれないようだが、それでも素早く周りの環境に順応し起き上がろうとしている。




