2日目とたまご 後編
アイシャ達と別れた神威は今はダンジョンのは8層に居る。
たまごが生まれるのを待つまで特にすることがないということで、今から魔法の練習をしようとしている。
「さて、練習を始めますか、取り敢えずたまごはいつ生まれるか分からないからここにでも置いとくか」
神威はたまごを自分の隣に置き魔法の練習を始めた。
初めは火属性の魔法を練習し始めた。もちろん、アギスにダンジョンで火属性の魔法を使うなと言われていたが完全に忘れている。
魔法は直ぐに使えるようになった、元から火が出る原理を知っていた神威はイメージが直ぐに固まり使うことができた。
しばらく自分の力で魔法を使えたことに感動していた。
しばらくすると一匹の魔物が現れ神威は我に帰った。
「ん?あれは……オークか?」
そこに現れたのは大きさが3m程あるのオークだ。
「折角だしこの魔法をアイツにぶつけてみるか」
そう言い神威はボールを投げる様にしてオークにぶつけた。
神威の投げた炎は、オークに吸い込まれる様に当たった、その瞬間炎は弾けオークは炎に包まれた。
オークは炎を消そおと地面をのたうち回っている、次第に体力が無くなり息絶えた、炎も消え残ったのは真っ黒に焦げたオークだったモノだけだ。
「まさか一発でこうなるとは…」
想像以上の火力に驚きながらも直ぐに落ち着きを取り戻し次の魔法の練習に取り掛かった。
一通りの魔法を使えるようなり、いろいろ試していると神威の隣から「ピキッ!」という音が聞こえた。神威はそれに気付き音のする方を見るとたまごがてっぺんから割れてきている。
そしてたまごの上部が大きく割れると中から黒曜石の様な色をした鱗をもち灼熱の様な紅い眼をした竜の子が出てきた。
「生まれた……、はっ!ボーっとしてる暇じゃなくて早くテイムしないと」
神威はテイムするために近くに寄り竜の頭に手を置き「テイム…」と呟いた、すると神威の手が光に包まれた……。
光は次第に収まり無事テイムは成功したようだ。
「はー…、取り敢えず成功したーけど、どうしようか……取り敢えず名前を考えるか」
しばらく神威は竜の子の名前を考えていた。
その間竜の子は神威の周りを飛んだりして自由に行動していた。だが神威の近くを離れることはなかった。
「よし!名前はナギアにしよう」
竜の子も名前が気に入った様で「キュイー」と鳴いて返事した。そして竜の子の名前はナギアに決まった。
「さてと、ナギアも生まれたし時間も余裕があるから、先に進むか、ナギア行くぞー」
そう言うとナギアは神威の元に来て神威の肩に乗った。
「キュイーー♪」
「……まぁいいか、別に重たい訳でもないし」
そして神威は肩にナギアを乗せて歩いて行った。
途中様々な魔物に遭遇したが神威の魔法の練習ついでに倒していった。
ナギアは腹が空いていたのか、神威が倒した魔物を時々食べていた。
深い階層に潜るに連れて魔物が強くなっていくのに流石に神威も気付き出した。
「ここまで来るとやっぱり上の階に比べて魔物も強くなっているな。それでもほぼ一撃で終わってしまうしなー」
呑気な事を考えながら目の前に来た魔物を切り倒していった。
「そう言えば、ナギアってどれくらい強いんかな?竜とは言え生まれたばかりだしなぁ…」
気になった神威はナギアに聞いてみた。
「ナギアってどれくらい強いんだ?」
「キュイー?」
聞いてみたが首を傾げられた。
「まぁ、本人(本竜?)に聞いても分かんないわな、俺もどれくらい強いか聞かれても困るしな…、さてどうやって確認しようか」
そう考えていると奥の方から一匹の魔物が歩いてきた。
「お、あの魔物は初めて見るな、どうせだしナギア!あの魔物と戦ってみてくれ!」
「キュイー!」
ナギアは、張り切って自分の方に歩いて来ている魔物の方へと飛んでいった。
ナギアが、相手する魔物はブラッディーベアーと言う魔物で、全身の毛が血のような色と、大きく発達した腕が特徴的な魔物である。
この魔物は、周りの魔物に比べ圧倒的に強くこのダンジョンのボスを除く魔物の中では一番強い個体であり、人間側の強さで例えるとBランク以上の強さになる。
どのダンジョンにも、この魔物の様に圧倒的に強い魔物が必ずどの階層にも現れる。これがダンジョンが危険と言われる理由の1つである。運の悪いものは1層目から、ある者はボスの所まで会わない者もいる。
ナギアは今からその魔物と戦うのである……。
今のブラッディーベアーには、ナギアは捕食対象にしか見えていない。それに気が付いたナギアは本物の竜の威圧を放った。
威圧に気が付いたブラッディーベアーは相手がただ自分に捕食される存在とは違うと気付き大きな咆哮と共にナギアに襲いかかった。
体格に差があるナギアはただの攻撃じゃダメージは与えられないと思い、初めは回避に専念し相手の疲労を狙っていた。
ブラッディーベアーは攻撃が当たらず怒りで段々と攻撃が荒々しく単純化している。
この時点でナギアは回避に余裕が出てき攻撃のタイミングを見計らうようになってきた。
ブラッディーベアーの方も怒りで攻撃が荒々しくなったせいで無駄な動きが増え疲労がどんどん溜まってきている。
この時神威はあることに気がついた。
(ナギアに魔力が集まっている?)
その時ブラッディーベアーが攻撃が空ぶった時に大きくよろけてしまった。ナギアはそれを見逃さずナギアは魔力を黒き炎としてブラッディーベアーに放出した。
炎の放出は数秒間続き炎が消えた時にはブラッディーベアーは息絶えていた。
初の戦闘を終えたナギアは神威の所へと戻ってきた。
戻ってきたナギアは神威に褒めてと言いたそうな目をしていた、それに気が付いた神威はナギアを撫でながら褒めた。
ナギアも自分の親である神威に褒められ、とても嬉しそうである。
しばらくして、ナギアは神威の肩の上で眠ってしまった。
「ナギアが寝てしまったし今日は帰るか」
そして神威は眠っているナギアを抱きかかえて帰っていった。