アイシャとアギス
神威が魔力のイメージで悩んでいる頃、アイシャとアギスは、まだダンジョンへ入っていなかった。
「今日から1週間お主を鍛えるが、まずはお主がどれ程の強さか分からない、それだと教える事も出来ないから取り敢えず、わしに打ち込んでこい、わしは回避か防御しかせんから遠慮なく来い!」
アイシャは、言われたとおり武器を構えアギスに打ち込み出した。アイシャは、短剣を使い素早さのある攻撃をする、それに対してアギスはアイシャの身の丈程ある大剣を使い一撃一撃威力のある攻撃を繰り出す。
アイシャはアギスに手数の多い攻撃を繰り出していた、だがアギスはそれを自分の大剣で全て防いだ。
「はぁ…はぁ…、アギスさんの守り硬すぎです、それにその大剣頑丈すぎませんか…」
「そりゃ、この大剣は斬れ味より頑丈さを重視しているからな」
「それじゃあ、斬る時はどうするんですか」
「その時はわしの魔法で斬れ味を増させているのじゃ」
「魔法ですか?」
「ああ、わしは風の魔法を少しばかし扱う事が出来るのでな、斬る時は刀身に風の刃を纏わせているのだよ」
「なるほど、そうゆう風な事も出来るのですね」
アギスは、大剣の刀身に風の刃を纏わせて斬れ味を上げている。しかしアギスこの技を簡単にしている様に言っているが実際はそうでもない。
そもそも、魔法とはイメージを魔力で現象かさせている物である、その為多少なりとも時間が掛かるのだが、アギスはそれを一瞬で行い更にそのイメージを留めたまま相手と剣を交えているのである。
一般人から見ればアギスも充分バケモノである。
「アイシャ、お主は取り敢えず体力を付けろ、お主の長所である素早さはランクで云うとCランクにも匹敵する早さを持っている。だが体力が少ないせいでその素早さもすぐに落ちやられてしまう。そうゆう事がないようにちゃんと体力はつけておけ」
「分かりました」
「それじゃあ、今からダンジョンに入るが外と違った環境だったりするから気をつけておけ」
「はい!」
そして2人は、魔法陣に乗った。
「ここがダンジョンの中ですか……」
アイシャは、初めて来るダンジョンに少し緊張している。
「アイシャ緊張するのはわかるが落ち着いて行けよ、いざって時に体を動かせるようにしとけ」
そして2人は奥へと進んでいった 。
しばらく歩いているとある物を見つけた。
「これは……ゴブリンの死体?」
そこにはゴブリンの死体が落ちていた。
「なぜこんな所に?」
「カムイがやった後かもしれんな」
「あーそうかもしれませんね、でも首が落ちて死んでいるのはわかりますがなぜ外傷のないゴブリンが死んでいるのでしょうか?」
「カムイの奴早くから威圧を使えるようになっているな」
「どうしてわかるんですか?」
「過剰な魔力を込めた威圧をぶつけると相手がショック死するんだ」
「それで外傷がないのですね…」
「だがこの方法で相手を殺すのは相当相手との力の差がないと無理なことだからカムイはゴブリン程度なら威圧で殺せるほどの強さを持っていって事か……」
「カムイさんが本気を出したらどうなるんでしょうね」
「気になるが知りたくないな」
「確かにそうですね」
2人は神威の話を話し終わった後次の階層へと行く魔法陣を探しに歩き出した。
しばらく戦闘が続いてアイシャが目に見えて疲れが出ている。
「アイシャ、そろそろ疲れてきただろ今日はもう戻るぞ」
「はぁ…はぁ…、分かりました……」
そして2人が帰ろうとしていると背後から声を掛けられた。
「アイシャーアギスさーん」
2人は後ろを振り向くと神威が歩いて来ているところだった。
「あ、カムイさんちょうど今帰るところなんです」
「ちょうどいいタイミングみたいだね」
「そうみたいですね」
「カムイその様子だと威圧を制御出来る様になったみたいだな」
「はい、何とか制御出来るようになりました」
「そうか、しかしよくこんな短時間で出来るようになったな」
「それは俺の中でも魔力のイメージがはっきりしていたからだと思いなす」
「なるほどな、普通の人間なら数週間かかる事なんだがな……」
「それは元いた世界に似たような話があってそれをイメージしただけですから、そのへんは運良く出来たって事で」
「そうゆうことにしとくか」
そして、今日あったことを話しながら3人は、来た道を戻っていった。