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動物の話 盛り合わせ編

 動物を飼っているとだんだん情が沸く。こちらはこちら、あちらはあちらで何を思っているか解らなくとも関係性は生まれる。その中に不思議な事があってもおかしくはない。そんな動物がらみの話をいくつか紹介しよう。


1、亀


Sと言う友人から聞いた話。彼女は動物と怪談が好きで、私と話が合うのでよくそう言ったことで話していた。その中で、どうしても忘れられない不思議な事があるといって、この話をしてくれた。

小さい頃の彼女はマンションに住んでいた。マンションの九階だ。その時に亀を二匹飼っていたが、一匹は家の者が出かけた間に乾いて死んでしまった。これは残されたもう一匹の話だ。

何月だか憶えていないけれど、おそらく夏の事だろう。その前日は暴風雨が吹き荒れていた。台風のピークだったのだ。台風一過という言葉があるが、翌日は見事に晴れ上がり、ピーカンな空がどこまでも青かった。しかし、そんな気分を沈ませる事があった。

母が残念な事に亀がいないと言うのだ。いくらなんでもまさか! と思って、家の真下の、一階の友人に亀が落ちていないか訊ねた。もしかしたら、そこに落ちているかもしれないと思ったからだ。しかし、亀はいないと言う答えだった。そこで、本当に風に飛ばされてどこか遠くに行ってしまったのだと納得すると無性に悲しくなった。その後、些細な事で母の機嫌を損ね、ご飯と卵ふりかけの昼食を取っている時だった。その仕打ちに少しはらを立てながら、目線よりわずか上の窓に目をやった。

亀が空を飛んでいる!

そこはマンションの九階である。窓の外はベランダもない。そこに一匹の亀が浮いているのだ。

「亀! 亀! 」

叫ぶ彼女に驚いて、母がそちらに目を向けると、彼女も驚いた様子だった。そこで幻覚ではないと改めて確認すると、たまたま近くにあったインスタントカメラで浮いている亀を写真に撮った。三枚くらいは撮ったろうか? 夢中でシャッターを切っていると亀はふっと消えてしまった。

その後、二人であれはなんだ! 亀型のUFOか! などと話し合ったが、結局亀が最後のお別れに来てくれたのだろうと思っている。ちなみにカメラの中身はその当時、ほかに飼っていたハムスターなどは写っていたが、肝心の亀の部分は確実に撮影したにもかかわらず現像されなかった。


2、猫

 Mさんの愛猫が死んでまもなくの話である。


なぜだか最近(当時)お風呂場のコンクリートの上に、へんなシミが出来る。おかしいなぁ? と思って何度も洗うのだけど、浮いてくるのだ。原因はわからない。しかし、その染シミは日に日にはっきりして猫の形になっていく。

そんなある日、家に帰ると普段いない妹が家に帰っていた。妹はソファーに寝そべって、なんだか具合が悪そうなので、訊ねると

「頭が痛い 」

と言って、ぐったりしていた。そこでふと風呂場のシミの事が頭に浮かんだと言う。

さてはと思って

「お前、なんか猫の事でしていないか? 」

そう切り出してみた。妹はしばらく考え込んでいたが、

「そういえば、猫のお骨をまだ持っているわ 」

ああ、それだ! いつまでも手元に置かれていてはきっと成仏できないのだろう。そう思ったNさんは

「それ、墓に入れろよ!」

と諭して、猫の遺骨を墓に納めさせた。すると妹の頭痛は治り、それからと言うもの風呂場のシミも出なくなったということだ。


3、犬


これもやはりMさんの話である。


Mさんの家で以前、飼われていた犬の一頭は毎年命日になると帰ってくるそうだ。だから、普通、命日にはその犬が餌を食べていたあたりに、餌と水を供えておくのだが、その年はみな忙しくて、ついつい忘れていたのだそうだ。

そんなことを忘れて家に帰ってみると、何もいないはずの場所から犬の鳴き声が聞こえる。それはいつも餌をやっていた場所だった。

“ああ、もうそんな時期か ”

そう思い出して、餌を供えると犬の鳴き声はぴたりと止んだ。



4、豚


 これは私の体験。

 友人のアパートでごろごろしながらコーヒーを飲んでいたときの事、込み入ってまったく物が動く余地がない部屋なのに、部屋の隅から隅へと何かが動く気配がした。友人は台所でちょっとしたお茶菓子を探していたが、彼のいたずらでもない様だった。まあ、気のせいだろう。そう思って、お茶菓子を持ってきた友人と二人で談笑していたが、しばらくするとまたがさごそと気配がする。

なんだろうとちょっと注意していると“ぶーぶー ”と豚の鳴き声がするではないか!


“ぶーぶーぶーぶーぶー ”


そして、時折それが部屋の隅から隅に動いていくのだ。

「あ、やっぱり聞こえるよね? なんだかこの前から出るんだよね豚 」

事もなげに友人は言ったが、私はすこし怖かった。なぜなら友人は沖縄出身だったので、ウワーグワーマジムンじゃないかと思ったからだ。あれに股をくぐられると死ぬと言うけれど、もしそうならこんな狭いところでえらい事だ。けれど友達は

「いや、そんな危ない奴じゃないと思うよ。ときどき体がだるくなる事があるけどさ 」

と言っていた。結局、豚は二時間近くぶーぶー言ってその後は静かになった。その後しばらくは遊びに行くと鳴き声を聞くことがあった。


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