行こっか?
数年前の話だ。主婦のKさんは普段は霊感なんてまったく無かったそうだ。
そのKさんが不思議な夢を見た。
最初、Kさんは家族と一緒にいた。みんなで義母の家の玄関口に建っていたのだ。玄関のチャイムを押すと義母は普段の格好で出てきた。みんなそろって義母の前に立っていたが、義母はKさんを見るとその前に立って
「じゃあ、行こっか! 」
そう言って、Kさんの手を引くのだった。Kさんは
「うん! 」
と答えると素直にそれについて行った。玄関を入ると景色が一変した。吹雪が吹いている、家の中なのに。しかし、特に疑問にも思わずに義母と二人で吹雪の中を歩いた。義母の背中をとぼとぼ追いかけて行くと、あたりは真っ白になった。次に気がつくといつの間にかKさんは夏祭りの中にいた。
「Kさ~ん 」
気が着くと、そう言って手を振る息子のママ友達が、遠くに見える。“あれ~? みんないたんだ? ”不思議に思ったKさんはふと立ち止まった。
「Kさ~ん、こっちこっち 」
Kさんはその声にこたえた。はっと、目が覚めると汗だくで布団の中にいた。
「その時ね、高熱を出して、三日くらい寝込んでいたの。三十九度くらい。今思えば、私、精神的にだいぶお義母さんに頼っていたから、その気持ちがあって呼ばれたのかもしれないわね 」
Kさんが熱を出して寝込んだのは四十九日を過ぎてからだったが、ちょうど四十九日当たりには旦那さんがやはり高い熱を出して寝込み、その後に祖母に生き写しだった娘も四十度の高熱が続き入院までしていたのだ。
ちなみに、お義父さんはいまだに元気に暮らしているそうだ。