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幽霊アパート後日談 

 いきなり後日談とは何事かと思う方もあるだろう。私は中国武術をやっていて、たまたまのことだが、おなじ団体に所属しているIさんは心霊体験に関する漫画を幾つも描いている方で、自身も体験豊富な方だ。そのIさんが以前書いた漫画の中に幽霊アパートの話の後日談ということで、このタイトルなのである。

 これは師爺(つまり、先生の先生)の八十のお祝いに一緒に中国へ行った時、心霊談義になった時に聞いた話。

 以前、彼氏が住んでいたアパートがいわゆる幽霊アパートで、その中のある部屋に入居した人はすぐそこを引き払うか、ちょっとおかしくなってしまうのだった。彼氏さんも最初その部屋にいたのだが、体調を崩して向かいの部屋に移ったのだ。その後、ある男性が入居したが、誰かが覗くといって隙間と言う隙間を目張りして、やはりおかしくなってしまった。後に解ったのだが、幽霊アパートには東から西に霊が通る通り道があったのだが、その通り道に例の部屋があったのだという。当然、その部屋には誰もすまなくなって、自分たちもやがてそのアパートを引き払った。というのが大体の話の流れである。

 だが、この話にはもっと大きな枠があったのだ。

 さて、幽霊アパートがあるすぐ近くにバイク屋があったのだが、そこの奥さんが痔になった。始終痛くてしょうがないと大層辟易していたが、ある日嘘のように治ってしまった。痔なんていうのは放っておいて治る病気ではないし、どうしたのだろうと思って怪しんでいると、バイク屋の奥さんは、ある時を境に神様が降りてきて病気を治してくれたと言い出したのだった。

――そんな事があるだろうか?

疑問に思ったが現に奥さんはもうぴんぴんしていたし、病院に言った気配もなかったのだ。まあ、病気が治ったのはよかったのだけど、それ以来、そこの奥さんは少し変わってしまった。突然“手かざし ”ができるようになったと言っては、近所の人を集めて病気治しを始めだしたのだ。住宅街の真ん中でいきなりそんな事をはじめたのがものめずらしかったのか、ちょっと評判になった。

Iさんの彼氏はその店にちょくちょく出入りしていたので、そんな話をIさんに話したのだった。Iさんはその話を彼氏から聞いて、ちょっと引っかかる事があった。

「それ、あのアパートの裏手でしょ? 」

どうもきな臭い。だって、あの霊道はあのアパートから円を書くようになっていて、バイク屋もその途中になるんじゃないのか? Iさんは彼氏に“もし何かしてあげるといわれても絶対やっちゃ駄目、そんなに簡単に個人に力を貸す神様なんて怪しいから。もしそれが本当ならなにか低級な霊の仕業だから ”と念を押した。彼氏は今までにIさんがそう言ったことに関わるのを見ていたし、彼女が言うならそうなのだろうとそれっきり関わる事はなかった。もちろんIさんもだ。

 それから、しばらく何事もなく時間は過ぎていき、その話を忘れた頃、そのバイク屋から不審火が出た。住宅街の真ん中にあった事もあって、バイク屋夫婦はそこには居づらくなって出て行ったそうだ。夫婦の行方はわからない。Iさんの言うには低級な霊の中には人の痛みや苦しみ、妬みなどのネガティブな感情を好む者がいるが、実はそこの奥さんはぢになる前に団なの浮気問題で相当参っていたらしく、そんなところにぢになり、霊道を通るそう言った霊のいい餌になってしまったのではないだろうか?


 また、Iさんが一時仕事を一緒にすることになった人の中で、自称霊能者の人がいて、なにかとIさんにちょっかいをかけてきたことがあった。その男は妙に尊大で傲慢な性格だったが、なにが原因か人相がどんどん悪くなりついには顔が歪んでしまった。Iさんはなるべく相手にしないでいたが、その彼がやはり幽霊アパートの住人だった。そも、そのアパートの入り口の部屋でIさんの彼氏が酷い目にあったのが原因で一連の幽霊アパートの騒ぎに繋がるのだが、その男は元々彼氏が住んでいた部屋の並びに住んでいたのだった。彼はいつも見える見えると言ってなにか獣のようなモノを見ては霊感があると証していたが、Iさんにはその男の顔がどんどん彼の言うモノに近づいているように感じられたという。もしかしたら、彼には本当に霊感があったのかもしれない。なまじ感度が良かっただけに強烈な影響を受けてしまったのだろう。他にもこのアパートに入居していた彼氏の友人はなんでか立て続けに病気になって何度も腹を切ることになったり、目張りの部屋に入居した新しい住人も何かにトリツカレタヨウニ陰気になってしまったりと気味の悪いことが続いた。


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