稚武彦命(わかたけひこのみこと)
まだ、出だし数行のみの小説です。歴史考証などもあり、下書きテスト的な投稿となってます。
「女、百襲姫の館を知らぬか?」
女が振り返ると、讃岐の浜辺にひとりの男が佇んでいた。
傍には漆黒の駿馬が控えている。
男は白色の布を巻いた頭巾、鮮やかな青色の横幅の衣、白い腰布をまとい、手足に革製の脚絆をつけていた。
旅の途中なのか、背中には編み笠と革の雨よけがあり、革の丈夫な沓をはいていた。
黒い瞳には愛嬌があり、人懐こい表情から微笑がこぼれていた。
腰に剣、右肩には矢筒が見えるが、海賊の類ではないらしく、女は安堵の息をもらした。
「百襲姫様は我が主じゃが、そなたはどこのお方じゃ?」
女は海に流れ込む川のほとりで、衣を洗っている手をとめて問うた。
白い衣に真紅の長い腰布をまとい、黒髪を後でたばね、首には碧色の勾玉の首飾りが映えていた。
瞳は蒼く、神秘的な光を放ち、神に仕える巫女のようであり、隣で白馬が川の水を飲んでいた。
『大和から来た。百襲姫はわしの異母姉になる。稚武彦命と申す』
それを聞くなり、女の蒼い双眸が大きく輝いた。
「そうか、そなたが百襲姫様の異母弟様か! 話は聞いておる」
後日談と構想は次々に浮かぶんですが(泣)
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