第6話 暴走ウサギ
ナイトメアがノワール・レイヴァースとして聖マルグリット女学院に入り込んで一週間が経過していた。
その間、グラハムはナイトメアに特に指示を出す事なく、情報収集に徹し、その為、ナイトメアは学院でお嬢様を演じていた。
ナイトメアにとっては地の性格を抑えなければならなかったが、慣れれば以外と楽しく、この一週間で随分とお嬢様キャラが板について来ている。
その日も午前中の授業を終え、ナイトメアはクラスで親しくなった友人3人と学食に来ている。
「明日から課外授業だけど、ノワールさんは用意は終わっているの?」
ナイトメアを含めた4人組みの中で黒い髪をストレートに伸ばしていかにもお嬢様と言った風貌の東月子がそう言う。
月子はナイトメアのクラスの委員長と生徒会の副会長を務めており、4人の中のまとめ役である。
「ええ……」
「私、外壁の外に出るのって初めてなんだよね」
ナイトメアが笑顔で返事として、理定真実がそう言う。
真実は茶髪のボブカットで大きな丸い眼鏡をかけ、首からデジタルカメラをぶら下げている。
学院一の情報通を自称し、唯一の新聞部の部員でもある。
「でも、危険じゃありませんか? 外壁の外に出るなんて」
「この課外授業は毎年この時期に二年生はやっているけど、魔獣に遭遇したと言う話は聞かないな」
不安そうな演技をするナイトメアに佳澄颯がそう言う。
颯はボーイッシュな感じの少女で陸上部のエースだ。
「そうなんですか?」
「そうね。私も聞いた事はないわ」
「この辺りで魔獣は殆ど見ないって話だよ」
ナイトメアはその話しを聞いてホッとしたような態度を取る。
少々、腑に落ちない点はあるが、3人に聞いたところでナイトメアの納得のいく答えが帰って来ない事は明白である為、その事を聞く事なく、昼食を終え午後の授業を受けた。
授業を終えたナイトメアは他の三人は放課後も部活や生徒会の仕事がある為、寄り道する事なく拠点のマンションに帰宅していた。
部屋のリビングの机でグラハムは火のついたたばこを咥え、ノートパソコンに向かっている。
朝、ナイトメアが学院に行く時もノートパソコンのに向かっていた事から、今日は一日中同じ事をしていたのだろう。
「帰ってたのか」
グラハムはナイトメアを一瞥すると再びノートパソコンの画面に視線を戻す。
「何か進展はあったのか?」
「無い。当分は情報収集に徹するしかなさそうだ」
「そうか。私は明日から一泊の課外授業に出るから帝都にはいないぞ」
ナイトメアがそう言うと、グラハムは手を止める。
「ああ……あの自殺行為イベントか」
「友人の話によれば過去に魔獣と出くわした事がないらしい。どう言う事だ?」
昼食の時の話の腑に落ちない事はそれだった。
課外授業では帝都の外壁の外の森で一泊する事になっている。
外壁は魔獣から街を守る為に設置された物で外壁の外に出ると言う事はいつ魔獣と遭遇してもおかしくは無い。
その為、グラハムは課外授業を自殺行為イベントと皮肉っている。
「ここに来る時に俺もおかしいと思って少し調べたが、この辺りに魔獣は不自然なくらいにいない事が分かった。ここ十数年で魔獣が目撃された報告がまるでない」
「あり得るのか? そんな事が」
魔獣が現れてから都市と都市を移動する時に地上からは魔獣に遭遇する危険性がある為、都市同士は地下で繋がっておりそこを移動するのが当たり前となっている。
陸路で移動する時は必ず召還者の同行をつける事が常識だ。
グラハムとナイトメアは帝都に来る際には移動時の警備の薄い陸路で帝都まで来ている。
その道中で二人は一度も魔獣と遭遇していない。
ナイトメアは運が良かった程度にしか思っていなかったが、グラハムは少し不信に思い、目的の傍らで少し調べた。
その結果、帝都の周りには魔獣は全く目撃例がない事が判明した。
それもあってか帝都では一部を除いては魔獣に対する警戒心は殆ど無く、一度も魔獣を見た事がない住民もいるほどで対策は全て超常現象対策局に任せっきりと言う状況が続いている。
「なぜだかわからんが実際にあり得てるんだよ」
何故、帝都の付近には魔獣が存在しないのかまではグラハムも調べがついてはいないが、魔獣がいない事だけは純然たる事実であった。
「成程……ならば、私の出番はないと言う事か」
「ナイトメア、分かっていると思うが目立った行動は慎めよ」
ナイトメアは魔獣に遭遇した時は自分の出番であると言うが、グラハムは目立った行動は慎めと言う。
それはつまり、魔獣に出くわした時には学院の生徒を見殺しにしろと言う事だ。
「分かってるさ。私はお前の学生時代しか学生と言うのを知らんかったからな。自分が実際に体験してみたら存外面白かったから、友など必要ないと断言出来る私もそう言う気の迷いもするさ。たまには友情ゴッコも悪くないとな……だが、友情を蔑ろにして来た奴が友情に目覚めるのは死亡フラグだ。まぁ、私は死なんけどな。私にとって学院の友人は私達の目的と比べれば天秤にかけるまでもなく、目的の方が優先だ。それを間違えるつもりは毛頭ない」
ナイトメアはグラハムの学生時代でしか、学生と言う物を間近かで見た事は無い。
それ以外ではフィクションの世界でしか学生生活を見た事がなく、現実の学生生活などつまらない物だと言う印象しかなかった。
しかし、実際に学院で学生生活をして見て以外と面白いと感じるようになっていた。
以前は友達など必要はないと思ってもいたが、今ではそうでもないと思うようにもなっている。
それでも、ナイトメアはグラハムと自分の目的の方が重要でその為なら、月子達を切り捨てる事は出来る。
グラハムはナイトメアが自分に嘘をつく事は無いと分かっている為、目的の邪魔にならない程度なら自由にさせている。
学院で友達を作ろうとも、目的の前に切り捨てる事が出来るのであれば文句は無い。
「なら良い。だが、いざと言う時は問答無用でお前を呼び出すからな」
「心得ているさ」
当分の間は動く事は無い為、一日くらいナイトメアがいなくとも目的に支障はなく、戦闘になったところでグラハム一人で事足りるとは思うが、最悪の場合はナイトメアを呼び戻す必要も想定しておく必要がある。
ナイトメアもその事は重々承知でもしもの時は言われなくとも戻ってくるつもりでいる。
翌日、ナイトメアは帝都から数キロ離れた森林地帯に課外授業で来ていた。
今では外壁に囲まれ人為的な自然にしか触れる事が出来なくなってしまっている為に人口的ではない自然に触れさせる為にと毎年、この時期にこの場所で課外授業として一泊で泊まり込みの授業を行っている。
森林地帯には昼ごろ到着し、事前に持ち物にあった弁当で昼食を済ませたらすぐに夕食の準備と今夜の寝床のテント作りに入っている。
ナイトメアは月子、真実、颯と同じ班でナイトメアと月子が夕食のカレー作りで真実と颯はテントを組み立てている。
「上手ね。ノワールさん」
月子は野菜を切るナイトメアを見てそう言う。
ナイトメアは野菜を寸分違わない大きさで切っており、皮も透明に近いくらいの薄さで向いている。
「ええ……得意なんですわ」
ナイトメアはデスサイズ以外の武器もある程度使いこなす事が出来、包丁やナイフの類も扱える。
その為、野菜の皮を薄く剥いて寸分違わぬ大きさに切る事など造作もない。
「月子さんもお上手ですわよ」
「私は家が厳しいから花嫁修業でやらされているの」
月子の家の東家は帝都でも名高い旧家である。
その為、月子は幼い頃より東家の人間として恥ずかしくない教育を受け、料理もその中に含まれている。
「でも、和食は得意なんだけど、カレーを作った事はないのよね」
「それなら私は得意ですのよ」
ナイトメアはグラハムと共に世界中を飛び回る事も多く、その中で野宿する事も多い。
そんな時に食事の担当は大抵はナイトメアに押し付けられている。
その為、ナイトメアは料理も出来き得意料理は魔獣の丸焼きと並んでカレーだ。
「助かるわ」
「困った時はお互いさまですわ」
そうして、ナイトメアが主導でカレー作りは進む。
カレーが完成する頃には日も傾き、テントの方も完成している。
他の班も準備が整った班からすでに夕食を食べ始めている。
「へぇ……ノワールが作ったのか、中々おいしそうだ」
「月子さんが手伝ってくれましたからですわ」
「私は殆ど何もしてないわ」
実際、月子はナイトメアの指示で大半はナイトメアが作ったのだが、ナイトメアはお嬢様キャラ的に謙遜しておく。
「勉強や運動だけでもなくて料理も出来るのかぁ……その上可愛くて完璧だね」
「そんな事ないですわ」
ナイトメアは転校早々のテストで満点を取り体育の授業では颯にも劣らない運動能力を披露している。
普段はグラハムが頭脳労働でナイトメアは性格的にも頭を使う方ではないが、高校生レベルのテストなら余裕で満点を取る事は出来る。
運動に関しては召還獣を相手に肉弾戦が出来るだけあって普通に運動するだけでも高校生レベルを遥かに超えている為、体育の授業では精一杯手を抜いていたが、それでも高校生レベルでは十分に凄い運動能力であった。
「私の部の部長もノワールに興味を持ったみたいだから、スカウトに来るかも知れないな」
「ここまで完璧だといろいろと取材したくなって来た今度お願いしても良い?」
「そんな……私なんか……(私が完璧など当に分かり切っている)」
「そんな事ないわ。ノワールさんは凄いわ」
一瞬、暗い表情をするが、ナイトメアの話題に気が言っている為、誰も気づく事は無った。
夕食も済ませ、後は寝るだけであったが、ナイトメアは月子と共にテントから結構離れたところを散歩していた。
寝る前に月子がナイトメアを誘ったからだ。
「それで私に話しとは?」
「大した事じゃないのよ。ノワールさんは勉強も出来て運動も出来る。その上料理まで上手なんですもの。何か秘訣とかがあるのかなって思って」
「そんな事は無いですわ。私は普通にしているだけですわ」
ナイトメアがそう言うとうっすらと月子の表情から光が消えていく。
「そう……」
「そろそろ。戻りましょう。明日も早いですから」
ナイトメアは月子に背を向けてテントの方向に歩きだす。
すると、後から殺気を感じてナイトメアはその場から飛び退く。
先ほどまでナイトメアのいた場所に黒い影が飛びかかり、地面を抉っていた。
「どう言う事ですの? 月子さん」
ナイトメアが月子に問うが、月子の顔から精気は無く、ぼんやりとナイトメアを見ている。
(どう言う事だ? これが月子の本性? 違うな。原因はアイツか)
月子の様子がおかしい理由は自分を攻撃して来た黒い影にあるとナイトメアは予測する。
黒い影は立ちあがる。
全長は3メートル程の大きさで頭部は黒いウサギではあるが、二足で足り上がり、燕尾服を着ている。
(これは魔獣ではないな。月子の召還獣か? 馬鹿ハムめ。聞いてないぞ)
グラハムもナイトメアの交友関係は勝手に調べている事はナイトメアも十分承知の事だ。
その中で月子が召還者だと言う事は聞かされていない。
グラハムが意図的に話さなかったのか、グラハムも知らなかったのかのどちらかだ。
前者は召還者と言う自分達の計画の障害になりうる存在の事を意図的に隠す理由は無い為、除外する。
後者のグラハムも知らなかったと言う可能性も、腑に落ちない。
この手の情報収集でグラハムの目を掻い潜って召還者である事を月子も東家も出来るとは到底思えない。
となれば、答えは一つだ。
月子は黒ウサギを今回初めて召還したと言う可能性だ。
そう考えると辻褄は合う。
(さて……どうするか)
グラハムからは目立った行動はするなと言われている。
だからと言って、この場で月子を始末することは容易だ。
しかし、真実や颯はナイトメアと月子が二人で散歩している事を知っている為、その後が少々面倒な事になる。
ナイトメアがどうするか考えていると黒ウサギは両手の爪を伸ばしてナイトメアに切りかかって来る。
(意外と早いな)
黒ウサギの攻撃をかわしながら、ナイトメアは黒ウサギの動きをそう評価する。
黒ウサギの攻撃はそれなりに早い。
少なくともナイトメアが日本に来て戦った召還獣の中では静乃に匹敵する速さだ。
静乃の場合は機動力の高い事の多い雷属性の召還獣の影響だが、黒ウサギの属性はまだ分からないが雷を帯びている訳ではないので、このスピードは黒ウサギの元々のスピードなのだろう。
(だが、私の本気のは程遠い。全力を出すまでではないか……初めての召還でこれほどの召還獣を出したんだ。長時間は出せないだろう。逃げ回っていれば勝手に自滅する。そうなれば騒ぎは大きくはならない……だがなぁ……)
召還獣を召還していられる時間は個人差はあるが、能力の高い召還獣程、召還者の実力が伴わない場合だとすぐに消える事がある。
月子は今回初めての召還であると考えると黒ウサギを出していられる時間は短いだろう。
時間切れになれば黒ウサギは消えて、月子も力尽きて倒れるだろうが、死にはしない為、殺すよりかは後が楽になる。
「そんな事は私のプライドが許さないな」
格下相手に逃げの一手を打つ事はナイトメアにとっては屈辱だ。
その為、ナイトメアはデスサイズを召還する。
「少し痛いかも知れんが、私に刃を向けたのだ。命を奪わないだけ有りがたいと思えよ。月子」
ナイトメアは黒ウサギに突っ込んでデスサイズを振るう。
だが、黒ウサギは高く跳躍してかわした。
そして、空中で自分の周囲に複数の火の玉を出して、ナイトメアに放つ。
火の玉はナイトメアの周囲に降り注ぐが、ナイトメアはデスサイズを回転させて火の玉を打ち消す。
「余り、騒ぎを大きくしたくないんだ。少しは空気を読んで欲しいんだがな。クロウサよ」
ナイトメアの言葉を無視して黒ウサギは両手に炎を纏い降下しながら、ナイトメアに殴りかかる。
「全く……火属性の召還獣は攻撃力が高いから正面から受けるのは馬鹿のする事だが……避ける訳にも行かんのでな」
普通なら簡単に避ける事が可能な一撃だが、火属性の召還獣の特徴は高い攻撃力にある。
この攻撃をかわして地上に当たった場合はその衝撃で大きな音が発生し、最悪テントにいる学院の生徒に気づかれる恐れが出て来る。
只でさえ、黒ウサギが火を使い、気づかれる危険があるのにその危険を更に増やす訳にはいかない。
その為、ナイトメアは落ちて来る黒ウサギにに対して自分も飛び上がり、黒ウサギが勢いに乗る前に黒ウサギの腕を掴み、黒ウサギを自分の下に持って来る。
黒ウサギとナイトメアの上下が変わったところでナイトメアはデスサイズで黒ウサギの首を刎ねる。
首の切り落とされた黒ウサギは消滅し、ナイトメアは空中で回転しながら地面に着地した。
「これで終わりっと……」
黒ウサギが消滅すると月子は糸が切れたかのように倒れる。
「ヤレヤレ……これは私が運ばねばならんのか」
ナイトメアはそう言いつつも月子とテントまで背負っていく。
月子をテントまで運ぶと真実達に疲れて眠ってしまったと適当な事を言って月子をテントに寝かすともう少し散歩をすると言って一人になると、大きな木に上り、座り込むのに丁度良い枝まで登ると木に背を預けて座り込む。
座り込んだナイトメアは携帯を取り出すとグラハムに電話をかける。
「どうした? 俺の声が恋しくなったか?」
「言ってろ。少し気になる事がある」
「またか……」
以前のセイントの一件でも同じ事を言われて仕事が増える事になった為、グラハムは電話の向こうでうんざりしているが、ナイトメアが気になった以上、耳を傾けない訳にはいかない。
ナイトメアは先ほどの事をグラハムに説明する。
「それでお前は何が気になると言うんだ?」
「月子の召還したクロウサだが、初めて出したにしては能力が高過ぎる」
普通なら、初めて召還獣を召還した時は外見はどうあれ、戦闘能力は大した事は無い。
だが、月子の召還した召還獣は日本では最強クラスと言っても良いだけの戦闘能力を持っていた。
それがナイトメアには気になっていた。
「もしかしたら、月子はマクスウェルの民かも知れん」
「それはない」
ナイトメアの意見をグラハムは即答で拒否する。
「確かにマクスウェルの民ならば、始めての召還で高い能力を持った召還獣を召還する事も可能だろう。だが、東月子のその時の様子を見る限りでは召還獣は暴走している。もしも、彼女がマクスウェルの民であるならば召還獣を暴走させる事はまずあり得ない。あったとしたら、お前でも手こずる筈だ」
「確かに……」
ナイトメアの言うように月子がマクスウェルの民と呼ばれる者だったとすると、初めての召還で高い能力を持った召還獣を召還することはあり得ない訳ではないが、同時にマクスウェルの民ならば自身の召還獣を暴走させる事などまずあり得ない。
ナイトメアの話しを聞く限りでは月子は召還獣を暴走させていた可能性が高い。
暴走とは召還獣が進化した事により、能力が大幅に向上する事によって召還者が召還獣の能力を扱えきれなくなった事により起こる現象で、マクスウェルの民は進化した召還獣を暴走する事なく扱える唯一の存在だ。
そのマクスウェルの民でも完全に暴走を防げる訳ではなく、マクスェルの民の召還獣あ暴走した場合はナイトメアでも全力を出して苦戦するか、最悪勝てない場合も考えられる。
「帝都にマクスウェルの民は俺以外に静乃と宮乃の三人しかいない事は確認済みだ。その月子とやらの調査はすでにやっているがマクスウェルの民である可能性は完全にゼロだ。それにマクスウェルの里以外でマクスウェルの民を探しても見つかる訳がない。静乃と宮乃の姉妹はその中でも例外中の例外だって事はお前も知らない訳がないだろ」
「そうだったな」
マクスウェルの民である可能性は絶対にないと言うのなら、月子の召還獣の暴走の原因は特定出来ない。
「そもそも、初めての召還で召還獣をすぐに進化させるとは考え難い」
「同感だ。召還獣を進化させて自滅する召還者も殆どいないのに初めての召還で暴走させるとか才能でも説明が出来ん」
暴走自体、滅多に起こらない為、状況を繋ぎ合わせると必ずどこかでどこかの要因を否定する事になる。
「そうだな……どうも面倒な事になりそうだ。メア、お前の方で調べといてくれ。俺は俺でやる事が多いからな」
「ちょっと待て! それはお前の領分だろう!」
二人の間ではグラハムが頭脳労働でナイトメアが肉体労働と言う役割分担がされている。
その為、ナイトメアは情報収集は苦手だ。
「言った筈だ。俺は忙しいとな。けど、そっちも無視する訳にもいかなさそうだからな。そんな訳だから、お前はそっちの調査を任せる。俺も暇な時は手を貸す」
「だからと言ってだな……私がそう言う事が苦手なのはグラハムも知っているだろうに……」
「俺はお前を信じているよ」
グラハムは都合の良い事を言って電話を一方的に切る。
「あんの……馬鹿ハムがぁぁぁぁぁ!」
一方的に電話を切られた上に面倒な事を押し付けられたナイトメアは周囲を気にすることなく叫んだ。
そろそろ感想とか欲しいな……