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第50話

申し訳ございません。大変遅くなりました。

しかも、遅くなったのに、このタイミングでなぜこの内容、みたいな……

「東君、藤堂君、ちょっといいかね?」


 澪が修学旅行に行った日。その日の最後である機械要素の講義が終わり、講堂を出ていこうとした宏と春菜は、その講義を行っていた神野じんの教授に呼び止められた。


「なんか、僕らに用事ですか?」


「もしかして、提出したレポートに不備が?」


「いやいや。まあ、レポートに関しては修正箇所が無くも無いが、誤字とか表現の正確性とかその程度のものだ。そもそも、綾瀬教授ですら一発で修正なしでなんてまずありえないから、そこは気にする必要はない」


 神野教授の言葉に、違う意味で警戒する宏と春菜。


 とっとと博士号を取らせようという大学の思惑もあり、宏と春菜がレポートを提出している教授はたくさんいる。


 神野教授はその中の一人でしかなく、電子制御や分子構造学の教授のようにゼミに出入りしては共同研究する、もっと正確に言えば、今行っているあれこれに関して協力してもらっている、というほど親しい相手ではない。


 なので、レポートが関係ないとなると、なぜ呼び止められたのかが全く分からないのだ。


「そんなに警戒しなくても、手が空いている時に少し研究してもらいたいことがあるだけなんだがね」


「いやいやいや。そんなに簡単に言いますけど、僕らはそんな、追加で新しい研究できるほど手ぇ空いてる時間なんぞありません……」


「そうですよ。今でも去年の研究成果からの派生で、いろんなことを実験して理論にまとめる必要が出てきてるのに……」


 神野教授のかなり勝手な言葉に、全力で抵抗しつつ窮状を訴える宏と春菜。


 宏のフィールド発生装置も、春菜の酵母関係も、現在めでたく基礎理論が実証されたと認定され、世界中で研究が始まっている。


 その流れで様々な疑問点が出てきており、中には軍事に直結しかねないものもある事から、そのあたりの不安やら疑惑やらを潰すために、二人そろってせっせと実験とレポートを繰り返しているのである。


 どんな研究を振ってくるのかは分からないが、残念ながら神野教授の頼みをきけるような余裕は一切ない。


「そのあたりはちゃんと理解しているとも。私がお願いしたい事はだね、藤堂君の研究にも多少は関連があるものなのだよ」


 どうやらその程度の事は想定済みらしく、宏たちの訴えをいとも簡単にいなしながら、全く食いつかないわけにはいかない形で話を切り出そうとする神野教授。


 その効果はてきめんで、自身の研究に関連があると言われた時点で、春菜が警戒しながらも聞く態勢になってしまう。


「私の研究に関連する、というのは、どういう事ですか?」


「何、簡単な事だよ。藤堂君は、いまだにフグの毒や貝毒を持ってしまった貝を無毒化する方法が確立されていない、という事は知っているかね?」


「はい。養殖によって無毒化する方法は確立されていても、天然ものが持っている毒を解毒する手段は、まだ一部で糸口が見つかった程度だと聞いています。また、治療法も貝毒はともかく、フグの毒は発症から死亡までの時間が短い事もあって、中毒の仕組みが判明したところからほとんど進展していないとも聞いています」


 春菜の返答に、神野教授が満足そうにうなずく。


 実のところ、フグの毒・テトロドトキシンによる食中毒は、処置方法自体は確立されている。


 というのも、フグ毒による食中毒の場合、死因は神経伝達の遮断によって呼吸が停止することによる窒息死である。


 が、この時、フグの毒によって神経が破壊されているわけではなく、また毒そのものは時間がたてば代謝により分解されて無毒化され、そのまま排出される。


 なので、症状が出た瞬間に間髪入れず人工呼吸を開始し、排出されるまで人工呼吸によって呼吸を維持すれば、中毒死を避けることはできる。


 が、早いときは食べてから二十分程度で発症し、また窒息死という死因ゆえか、春菜の言うように発症してから死亡までの時間も短い。


 さらに言えば、特効薬の類を作ってもリスクが高すぎて治験を行うのも容易ではないし、あったところで中毒を起こした際に速やかに投与する、なんてことが可能なのか、という問題もある。


 これらの理由から、フグ毒の処置というのは言うは易く行うは難しの典型という方法以外、まだにしっかりとしたものを確立できていないのだ。


「そう。それなんだがね、君の酵母を使って、天然もののフグをフグ調理師以外が調理して食べることができるよう、確実に無毒化できないかと思ってね」


 神野教授の言葉に、思わず考え込んでしまう春菜。


 厄介なことに、成功すれば流通する食材が増えるという点で、春菜にとっても非常に魅力的な研究テーマである。


 フグの毒というのは貝毒と同じく、基本的に食べたエサの毒素を肝や血に溜めこんだものだ。なので、毒素を持つことがない餌しか食べない種類のフグや、生け簀の水と餌をきちっと管理して養殖したフグなどは毒をもたない、もしくは持っても命にかかわるような猛毒にはならない。


 また、餌の毒素にしても、育った海域やその年の環境次第では毒を持たないこともあるのだが、残念ながら現段階では餌の毒性を調べる方法がなく、また、血液などを採取せねば毒性検査が行えないため、実質的に無毒のフグかどうかを調理前に見分ける手段はない。


 さらに言えば、養殖物でもごくまれに餌や水の管理に失敗して毒を持ってしまったものが混ざることがあり、なかなか百パーセント安全にとはいかないのが現状である。


 そういったことから、フグは基本的に専門の資格を持った調理師以外は調理できないよう、法律で厳重に規制されている。


 これでも有毒の部分を取り除く加工したものは一般流通に乗せられるようになったり、資格があれば許可が下りた施設以外での調理が可能になったりと、ずいぶん規制が緩和された方だ。


 仮に春菜の酵母で毒の問題が解決するならば、今まで美味だと知られながら食べることができなかったフグの肝や、貝毒の発生により流通に乗せることができなくなった貝類など、安全面の問題により規制されているものを流通に乗せることができるようになる。


 それどころか、世界には同じような経過で毒をもち、特定の処理をしなければ安全に食べられないが現地では美味だと知られている生き物はいくらでもいる。


 そういったものをリスクなしで食せるようになるのであれば、これはもう大革命だと言っていい。


 一流料理人であり、食にこだわりが強い春菜が、この話を聞かされて心を動かされないわけがない。


「……すごく、魅力的です……」


「そうだろう、そうだろう!」


 あまりに魅力的な研究テーマに、素直に降参する春菜。


 春菜が食いついたことに対し、やけに嬉しそうな神野教授。


 それを見ていた宏が、素直な疑問を口にする。


「確かに食材の毒素を解毒するっちゅうんは、春菜さんの酵母の研究テーマの一つとしては通用しますけど、なんで機械要素が専門の神野教授がそんなテーマ振ってくるんです?」


「そんな事、決まってるじゃないか。私は、フグの肝が食べたいのだよ!」


「フグの肝、ですか……」


 神野教授の返事に、思わず白けた顔をしてしまう宏。


 自身の専門に何か関係あるのかと思いきや、まさかの純粋に自分が食べたかっただけ。


 悪いとは言わないが、学生に難儀な研究をさせる動機としてはどうかと思わざるを得ない。


「っちゅうか、フグの肝食いたいだけやったら、確か福井の方の漬物でそういうやつがあったと思うんですけど」


「それを私が食べていないと思うのかね?」


「そらまあ、そうでしょうねえ……」


「あれはあれでいいものだが、発酵食品だけに生のものとはまた味が違うからね。食のバリエーションという意味で、私は生のものを調理して食べられるようにしたいのだよ」


 どこまでも自分の欲望に正直な神野教授に、自分の今までの事を棚に上げて呆れたような表情を浮かべる宏。


 教授だけでなく春菜も乗り気になっている時点で、もはやこの研究を避けて通ることはできないのだが、それでも流石に自分の欲望を満たすために他所の学部の学生を使うのはどうかと思わずを得ないのだ。


 余談だが、宏が言う漬物というのは、北陸地方の一部で作られている、フグの卵巣の糠漬けの事である。


 いまだに理屈は不明ながら、フグの卵巣を一年以上塩漬けにし、さらに一年以上糠漬けにすると、どういう訳かテトロドトキシンの濃度が無害な水準まで下がるのだ。


 塩漬けにする意味についてはある程度解明されており、塩漬けで一年漬け込んだ時点でも、毒の濃度は大きく下がる。


 だが、塩漬けだけでは何年漬け込んでも完全に無害な濃度にはならない点も、かといって糠漬け以外の方法のほとんどは効果がないのに糠床の微生物が何かをしている様子がない点も、未だに理屈が解明されていない大きな謎である。


なお、宏は福井の方といったが、フグの卵巣の糠漬けは石川県の名物である。


「っちゅうか、綾瀬教授はあかんのですか?」


「既に断られているよ。キリがなくなるから、あまりそういう個別の食材については、手を付けたくないそうだ」


「ああ、そらそうか……」


 神野教授が言った理由に、思わず納得する宏。


 宏達のような学生ならともかく、天音がこういう研究に手を付けた日には、次から次へと要請がきて断れなくなるのが目に見えている。


 特に鰻やクジラあたりの絶滅が危惧されている、もしくは過去にされていた、しかも日本の伝統料理などにもよく登場する食材について、養殖なりなんなりの手段を開発してくれという話が洒落にならない圧力を伴って出てくるのは想像に難くない。


 天音の場合、こういう事に関しては、例外なく全部断るに越したことはないのだ。


「ねえ、宏君。いつになく消極的だけど、何か気に食わない事があるの?」


 食べ物がらみなのに珍しく乗り気でなさそうな宏の様子に、春菜が不思議そうに首をかしげて疑問を口にする。


「気に食わんっちゅう訳やないし、別にフグにしか使えん訳やないからええっちゃええんやけどなあ……」


「もしかして宏君、フグ嫌い?」


「あんまり食うたことないから好き嫌い言うほど印象に残ってへんっちゅうか、フグってそんなに執着するほど美味いか?」


「……ああ、なるほど。そこからかあ……」


 宏が煮え切らない態度をとる理由を理解し、思わず何度もうなずいてしまう春菜。


 本当に美味しいフグを食べたことがないのであれば、気合が入らないのも仕方がない。


 とはいえ、これに関しては密かに、結構難しい問題だったりする。


 フグというのは基本的に白身魚らしい淡泊な味の魚で、牛肉などと比べると美味しさの分かりづらい食材である。


 その上魚介類全般の傾向として、流通の問題から産地の近くにでも住んでいない限り、質のいい美味しいものを手に入れるのが難しい。


 それだけに、流通もしくは食べた店の問題で外れを引いたのか、それともフグ自体は上物だったが宏が美味しいと思わなかったのかが分からないのだ。


「とりあえず、まずは本当に美味しいフグを食べてから、この話を進めよう」


「いや、そこまでせんでもええやん。別に嫌っちゅう訳やないから、ちゃんと手伝うし」


「宏君が手伝ってくれること自体は疑ってないけど、やっぱりおいしいフグを食べたことがあるかどうかで、気合の入り方って変わってくると思うんだよね」


 どうやら引く気のない春菜の言葉に、思わず深々とため息をついてしまう宏。


 春菜の言っていることはよく分かるし、自分でも相当気合の入り方に差が出るだろうという自覚はある。


 が、ごく一部のブランド牛ほどではないにせよ、フグも基本的にはそれなりに高級な食材だ。美味しいものを食べてから進めよう、と言われて、そうしましょうと同意できるようなものではない。


 第一、フグの旬が今の時期かどうか自体が分からない。旬であるならまだしも、そうでないなら結局外れを引くことになるのではないか、という気がしてしょうがない。


「お金とか旬の問題とかは、気にしなくていいよ。この件にはスポンサーが付きそうだし、お金を出せば旬の頃に獲って冷凍保存してあるものも手に入るから」


「……いつもの事やけど、またいきなり話が大きなってんなあ……」


「私の研究だと、どうせいずれは食中毒の治療薬とかにも話が進むだろうから、早いか遅いかの違いと切り口が何かの違いでしかないしね」


 呆れを隠そうともしない宏に対し、屈託のない笑顔を見せてそんな理屈を突きつけてくる春菜。


 その笑顔を見て、抵抗の余地はないと諦める宏。


 こうして、飯がらみにしては珍しく宏が乗り気でないまま、新たな研究テーマが確定するのであった。








「なるほど。それで今日は豪勢なフグ尽くしだったわけね」


「うん。そういう事」


 上機嫌でフグのひれ酒を飲んでいた真琴が、研究テーマが決まった流れを聞いて本日の夕食について納得する。


 なお、本日の夕食は宏、春菜、真琴、深雪の四人である。


 修学旅行中の澪はもちろん、香月夫妻についても決まったのが急すぎて、残念ながら参加はできなかった。


 当然ながら達也がひどく悔しがってはいたものの、こればかりは仕方がない事であろう。


「で、宏。今日の晩御飯、どう思ったのよ?」


「まあ、美味いんは美味いわな。やっぱりそない執着するほどやないとは思うけど」


「それ、散々美味しいもの食べてきて舌が肥えてるから、とかじゃないの?」


「それもあるやろうけど、正直な話、ええ奴食わせてもらってもやっぱり、どっちかっちゅうたらフグ自体を食うより、ダシとって雑炊とかにした方が美味い、っちゅう印象でなあ」


「ああ、そっち方面」


「それ以外は唐揚げが美味いんやけど、なんかそれやったらカワハギでええやん、みたいなところがあってなあ……」


「確かにそっちの方が安いから、唐揚げにするんだったらって思うわよね」


 宏の正直な感想に、苦笑しながらうなずく真琴。


 春菜はというと、宏の感想を聞いて難しい顔をしている。


「フグってどっちかっていうと関西の人の方が好む印象があったんだけど、大阪の人なのに義兄さんは違うんだ」


「大阪の人間っちゅうても人それぞれやで」


 フグをじっくり味わっていた深雪の素朴な感想に、ややため息交じりでそう告げる宏。


 実際、山口をはじめ有名な産地が多い事もあってか、関東と関西ではフグの消費量は基本的に関西の方が多い。


 特に大阪は産地が近い訳でもないのに、人口に対するフグの消費量が多い事で有名だ。


 が、だからといってみんながみんなフグに執着しているわけではなく、なんだかんだ言っても宏のような感想の持ち主も多いのである。


「まあ、中毒のリスクがなくなって安くなる分には、悪い事ではないわな」


「そりゃまあ、そうよね」


「えっと、宏君。やる気にはなってくれた?」


「そんな執着する気ないっちゅうだけで、最初から嫌やとは言うてへんやん」


「でも、あんまり気乗りしない様子ではあったよね?」


「気乗りせえへんっちゅうか、ろくでもないことになりそうな予感がしたっちゅうか……」


 宏の言葉に、思わず黙り込む春菜、真琴、深雪の三人。


 今回特に名指しした訳ではないが、どう考えてもやたら気合が入って前のめりな春菜の態度を言っているのは間違いない。


 春菜が前のめりになると高い確率で妙な事が起こる、というのは、それこそ春菜自身も認めざるを得ない事実だ。


 なんとなく宏の腰が引けているのも、当然と言えば当然であろう。


「……今回は、一旦保留にする?」


「スポンサーついてええフグ食うてもうた時点で、さすがに何もせんっちゅうんはあかんやろう」


 春菜の提案に、あきらめの表情で首を左右に振る宏。


 どうせ金持ちの道楽の一環だろうから、今日フグを食ったぐらいで研究を強要するようなことはないだろうが、まともな神経をしていればそう簡単に逃げを打てるわけもない。


「そうねえ。というか、あんたたちを否応なく巻き込むために、スポンサーとしてさっさとフグをおごった、っていうのが裏なんじゃないかしらね?」


「義兄さんもお姉ちゃんも、そういうところは律儀だもんね」


 スポンサー勢の考えを察し、思わず遠い目をする真琴と深雪。


 どう考えても、宏達のそのあたりの律義さに付け込むつもり満々である。


「とりあえず、何するにしても、まずは毒の検出とかそのあたりが今どないなってんのかの確認やな」


「そうだね。あと、実際の研究と研究に使うフグの肝とかの管理を、どこでどういう体制でやるのかも確認しておかないとね」


「猛毒やから、流出したらシャレにならんわなあ」


「それこそ、下手したら大学の存続にかかわってくるよ」


 今までのようにいきなり何かに着手するのではなく、まずは現状と体制を確認することで意見を一致させる宏と春菜。


 毒物を扱う以上、当然の態度ではある。


「で、お姉ちゃん。そのあたりの確認終わってさあやるぞ、ってなったら、どんなことするの?」


「ん~……。まずは、難しい事を考えずに、無加工の酵母液にそのままフグの肝を浸したり血を混ぜたりして、どんな反応が出るかの確認かな?」


「せやなあ。それだけで、特に何もせんでも解決しそうな気がせんでもないけど」


「……まあ、そうなんだけどね……」


 深雪に問われて、取りあえず思いつくことを口にする春菜。それを聞いた宏の身も蓋もない感想に、なんとなく視線を泳がせてしまう。


「でも、それだけだと宏の出番はないわよね?」


「宏君には、フィールドシステムで有毒のフグと無毒のフグを仕分けできないか、そっちの方を試してもらおうかと思ってるんだ」


「やっぱり、僕に振るんはそういう方面やわなあ……」


 真琴に突っ込まれて、春菜が考えを告げる。


 春菜の考えに、天を仰ぐ振りをしながらそんなことを言う宏。


「……できるの? どうやって?」


「フグの毒、テトロドトキシンとそれを含有する有機物をブロックする設定にすれば、多分出来るんちゃうかとは思うで。かなりの回数実験して、気ぃ遠くなるほど大量のデータ採らんとあかんやろうけど」


「……ああ、なるほど。言われてみれば、フィールドシステムって指定した条件の時に指定した物質を一定範囲でブロックする、っていうシステムだったわね。その条件設定さえちゃんとやれば、特定の毒素の有無を判定して仕分け、ってのはできなくはないのね」


「まあ、やってみんと分からんから、今の段階では理論上はできるとしか言えんけどな」


「そりゃまあそうよね」


 宏の言い分に、あっさり納得する真琴。


 理論上可能であることと、実際にできるかどうかは別問題だ。


「後、今思ったんだけどさ」


「何や?」


「春菜の入れ込み具合考えたら、最終的にどうしたいっていう目標決めとかないと、メロンの時みたいなことになるんじゃない?」


「せやなあ……」


 真琴の指摘に、確かに考えておかなければ危険だと同意する宏。


 メロンに酵母にと前科がありすぎる春菜も、否定したいが否定できない様子である。


「とりあえずの落としどころとしては、鯛ぐらいの値段と流通量と手軽さで身欠きやないフグが買える、っちゅうところでどない?」


「あっ、いいかも」


「まあ、そんなところよね」


 宏の口にした落としどころに、あっさり賛成する春菜と真琴。


 それとは対照的に、深雪が何やら難しい顔をしている。


「あれ? 深雪は宏君の目標に反対?」


「反対、ではないんだけど、一抹の不安があるというか……」


「不安? どんな風に?」


「なんかこう、斜め上の事態が起こって予想外のものに予想外の成果が出ちゃって、びっくりするほど大掛かりな話になっちゃいそうな予感がしたというか……」


 深雪の懸念を聞き、思わずあきれた顔をする春菜。


 考えようによっては深雪の不安は杞憂だし、そもそもスタートの時点で深雪は考え違いをしている。


「あのね、深雪。根本的な部分で間違ってるよ、それ」


「えっ?」


「びっくりするほど大掛かりも何も、やろうとしてること自体がすでに大掛かりな事なんだから、これ以上話が大きくなったところで誤差だよ、誤差」


「……お姉ちゃん、それ『何を今更』みたいな顔でいう事じゃないよ……」


「そうかもしれないけど、あともう一つ、深雪が考え違いをしてる事があるよ」


「なんかこう、すごく開き直ってるような空気というか気配というかを感じるんだけど、何かな?」


「内容は予想できないけど、斜め上の出来事自体は絶対に起こるから、気にするだけ無駄だよ」


 どうやらうまい飯のために開き直ったらしく、春菜がそれを言ってはおしまいではないか、という事を言い放つ。


 なお、宏と真琴からすれば、春菜ですら「ようやく受け入れたのか」という感じなのは言うまでもない。


「何にしても、まずは明日、研究体制についての確認をしてからやな」


「そうだね」


 現時点で何を話したところで、明日確認すべきことを確認するまでは何も決められない。


 細かい事は先送りにする宏と春菜であった。








 そして翌日の午後。


「また、いかつい体制やなあ……」


「ここまで本気出してくるとは思わなかったね~……」


 総合工学部棟に用意されたプロジェクトの研究室に、思わずあきれたような恐れおののいているような声を上げる宏と春菜。


 それもそのはず。なぜ未使用だったのか不思議なほど広いその研究室には、二ケタに及ぶ大規模な水槽に各種検査装置に加え、電子顕微鏡に天音が発明した高度な特殊装置の数々が運び込まれていた。


 当然、水槽の中には十分すぎるほどの数のフグやら何やらが泳いでいる。


「……綾瀬教授」


 一応人前であり公の場でもあるため、おばさんではなく教授と天音に呼びかける春菜。


 その視線は、水槽を泳いでいるウナギ(・・・)に注がれている。


「フグが思いつく限りほぼ全種類揃ってるのはいいとして、なんでウナギまでいるんです?」


「一応、ウナギの血には毒が含まれてるから……」


「でも、それって今まで特に問題になってませんよね? っていうか、フグと違ってウナギの場合、毒の問題が無くても、普通の一般的な家庭の台所と主婦の腕前じゃ、そもそも捌くこともできませんよね?」


「まあ、そうなんだけどね。一応建前的には日本でよく食べられてる有毒生物、だから……」


 春菜に突っ込まれ、苦笑しながら単なる建前だと暴露する天音。


 実際、フグの毒が問題になるのは、魚の捌き方を知っていれば主婦でも調理自体はできるという点にもある。


 さすがに丸一匹の状態から刺身にするのは普通の主婦には厳しいが、薄造りにする必要がある分難易度が高めというだけでそのあたりは別にフグに限った話ではないし、毒の処理を気にしないのであれば鍋や唐揚げに使う分にはさほど難しくはない。


 が、わざわざ資格が必要になるだけあって、一般の主婦が知っている処理方法では有毒部位である内臓を完全に取り除いたとしても身に毒が回ることがあり、規制せずに流通させると家庭で食中毒が起こるリスクが高い。


 そのことを裏付けるように、素人が自分で釣ったフグを勝手に調理して食べて中毒を起こすという事故は、かなり減ったとはいえそれでも年に何件か起こっている。


 さらに言うなら、フグの有毒部位は種類によって違い、無毒のものもいれば肝は大丈夫だが身は有毒なんて種類も全身が有毒という種類もいて、素人にはなかなか判断が難しい。


 それに対し、ウナギははっきり言って「ちょっと料理が得意な一般人」程度の腕前では手に余る食材だ。


 そうなると当然のことながら、需要のほとんどが加工済みのものとなるので、わざわざ無毒のウナギを作るメリットは薄い。


「まあ、なに狙ってるかは分からなくもないけど、そっちまでやるかどうかは分かりませんよ?」


「うん、分かってるよ。適当に酵母液のプールで軽く泳がせるとか、その程度でお茶濁してくれてもいいから」


 春菜の言葉に、苦笑しつつそう妥協案を告げる天音。


 言っては何だが、天音的にはフグもウナギも割とどうでもいい。


「それにしても教授。こんなデカい部屋、なんで余っとったんです?」


「余ったというか、前回使ってたプロジェクトが三年前に企業に完全に移管されて終了になって、その後使うプロジェクトが決まってなかったの。そろそろ何かに使いたいね、って話をしてる時に藤堂さんの酵母の発見があったから、内容的に広い部屋があったほうがいいだろうって事で、その関連の何かの研究に使おうって年度末の会議で決まったんだ」


「っちゅうことは、神野教授の持ち込んだテーマは、最初から既定路線やったんですか?」


「さすがにテーマまでは決まってなかったというか、藤堂さんに一任する予定だったんだ。よもや、東君の研究もワンセットで進むようなテーマを、外部から持ち込まれるとは思わなかったけどね」


「その割には、こんなすぐに運び込めるとは思えんデカい水槽とか山盛り準備してますやん」


「そこはもう、スポンサーの食いつきがすごかったんだよね」


 宏の追及に、遠い目をしながらそう告げる天音。


 春菜から研究テーマを聞かされてすぐ、複数の筋から連絡が入って大型の生け簀や倒産した水族館の水槽のうち持ち出せるものなど、フグを研究するなら必要なのでは、と思われる機材が次々と搬入されたのだ。


 恐らく潮見メロンと例の酵母による実績から期待値が高すぎるのだろうが、農業と水産は現実的な技術系統という面だけでなく、宏たちのスキルのカテゴリーに当てはめても完全に別のジャンルである。


 春菜の体質があるので何らかの結果は出るだろうが、天音としてはスポンサーたちが期待したような結果が出るとは思えないのだ。


「まあ、今更そのあたりを突っ込んでも無意味だろうし、とりあえず今日一日は講義に出なくても出席扱いにしてもらえるようにしておいたから、機材に慣れるために適当に何か始めちゃって」


「はーい。で、さっきから私達の漫才を遠巻きに見てるあの人たちは?」


 壁際で自分たちのやり取りを唖然とした様子で見ている十人ほどの人物について、春菜が天音に質問する。


 春菜の質問に対する天音の答えは、実に身も蓋もないものであった。


「あっちこっちから送られてきた助っ人というかスパイというか?」


「……まあ、盗まれて困るような結果は出ないと思うけど……」


 天音の言葉に、一つため息をつく春菜。


 今までの経緯から考えるに、宏と春菜の許可なしで勝手に成果を持ち出しても、恐らく上手くはいくまい。


 が、上手くいかなければエビデンスという面でいろいろ言われるので、それはそれで非常に面倒くさい。


「で、春菜さん。何から始める?」


「そうだね。まずは、冷蔵庫に入ってるフグの肝を、毒素の有無と濃度の記録取ってから適当に酵母液に浸してみよっか」


「了解や。酵母液の濃度は、いつものように十パターンぐらいか?」


「うん、それでお願い」


 春菜の指示を受けて、早速実験を開始する宏。


 さすがに生物だけあって持っている毒素の量にかなりのばらつきがあるが、それを大体同じぐらいになるよう調整し、十パターンの濃度の酵母液に浸けていく。


 逆に春菜は、同じ濃度の酵母液を大量に作り、同じぐらいの毒性の試料を手早く投入してタイマーをセットしていく。


 こちらはどうやら、浸す時間を変えた場合のデータを取っていくようだ。


 十分後。それぞれ条件ごとに十個ずつ程度、全部で二千個程度の試料を作り上げる。


「春菜さんの方、最短時間はどれぐらいで考えとる?」


「ん~、とりあえず三十分ぐらいかな?」


「ほな、春菜さんの方のデータが出るん待つ、っちゅうことで、僕の方はとりあえず一時間ぐらいでチェックする予定にしよか」


「了解。ただ、多分原液だと、とっくに毒が抜けてそうな気はするけど」


「やろうなあ」


 宏が作った資料のうち、一番最後に用意した酵母液の原液を使った試料について、思わず苦笑しながらそんな予想をする宏と春菜。


 今までの研究成果から、とにもかくにも原液は毒素というもの、それも特に人体には害にしかならない類のものに対して、すさまじいまでの浄化能力を見せることが分かっている。


 はっきり言って、問題ないのがはっきりしたのなら、変な加工などせずこの酵母原液をそのまま消毒液として売ってしまった方が早いのではないか、という次元である。


 もっとも、あまりに効き目が強すぎてこのまま売って大丈夫なのかどうかが不安すぎるからこそ、春菜が日々せっせとデータ取りをしてはレポートにまとめる羽目になっているのだが。


「さて、後十五分ほどやけど、どないする?」


「宏君の方の研究も、準備だけはしておこうか?」


「せやな。とりあえず、装置の方はもう組んでくれとるみたいやから、まずは水槽の準備か?」


「だね」


 結果が出るまでの空き時間に、いつものノリでせっせと準備を進めていく宏と春菜。


 装置は組んである、といっても、元から農作業の邪魔にならないように、コンパクトサイズで設計されているものだ。


 使えるように設置するには若干面倒な手順が必要だが、設置作業前の移動はたいして問題にならない。


 なお、実験機ゆえに持ち出されて変なことに使われないように、実は組み立てと設置にあえて手間がかかる仕様にしている。


 もっとも、宏が設計開発したものなので、他人にまねできないやり方でそのあたりを簡略化する手段もちゃんと組み込んではいる。


「よし、設定完了。海水と検査機のプローブ入れたら、フィールド起動してマフグあたり入れてみよか」


「どっちかっていえば、確実に有毒で可食部が一切ないドクサバフグのほうがいいんじゃない? 実験用にちゃんと確保してくれてるみたいだし」


「せやな」


 春菜の提案にうなずく宏。


 宏が了承したのを見て、手早くドクサバフグを投入する春菜。


「うっし、ちゃんと設定通りに機能しとんな。フグがフィールドのところで止まっとる」


「念のために、海水にもちょっとテトロドトキシン混ぜよっか」


「頼むわ」


「他には……、そういえば、海水に酵母液混ぜたらどうなるんだろう?」


「ちょっとやってみよか」


 予定通りに機能したフィールドシステム。その挙動を確認するため、てきぱきと思いつく限りの実験を行う。


 そのあまりにも息の合った隙の無い動きに、手も口も出せない助っ人たち。


 彼らは指示待ちしかできないほど無能でもないが、さすがに何一つ説明されていない状況では指示なしでは動けない。


 この手の研究というのは、何も知らない人間が自己判断で勝手に行動すると、どんな大惨事につながるか分かったものではないのだ。


 なまじ有能なだけに勝手な行動をとるリスクも作業中に声をかけるリスクも熟知していたのがマイナスに働き、声をかけるタイミングを計っているうちに完全に傍観者となってしまっていた。


 このままではさすがに埒が明かないと、助っ人のうち一人が天音に声をかける。


「あの、それで我々は、いったい何をすればよろしいでしょうか?」


「藤堂さんと東君の気がすむまでは、水槽の管理とか保管関係の注意点とか確認して、データ記録用のフォーマット作るぐらいかな?」


「あっ、はい。そうします。マニュアルはありますか?」


「書類とデータ、どっちがいい?」


「両方、お願いします」


 二人の気がすむまで、という話を聞いて、各種機材のマニュアルを熟読しておくことにする助っ人たち。


 その様子を見守りながら、思わずという感じで天音がポツリとつぶやく。


「さて、この中の何人が、心が折れずに最後まで付き合い切れるのかな?」


 そんな天音の不吉な予言ともとれるつぶやきに誰も気づくことなく、機材のマニュアルや搬入された生物のリストを確認する助っ人たち。


 天音の予言が最初に現実になったのは、わずか十分後の事であった。


「……ん~……」


「なんか問題あったん?」


「30%の濃度だと濃すぎたみたい。もう全部テトロドトキシンが分解されちゃってるよ」


「ほな、僕の方の10%濃度のん、一個確認するか?」


「そうだね」


 30%まで薄めてなお過剰な毒素分解能力を見せる酵母液。その結果に対し、ある程度予測していた春菜と宏は、淡々と次の作業に移る。


「……10%でもまだ過剰やな。とりあえず、ここでいっぺん実験とめて、酵母液の状態全部チェックしてから何するか考えなあかんな」


「そうだね。一つ思ったんだけど、原液に浸してすぐ取り出したら、どうなるんだろうね?」


「それぐらいやったら、すぐできるな」


 そう言って、試験管に取り分けた原液にフグの卵巣を突っ込む宏。そのまま、三つ数えて取り出す。


「……無毒になってるね」


「このぐらいのサイズやったら、接触即分解っちゅう感じやな」


「そうだね。強力すぎて、原液は実験には使えないね」


「まあ、酵母液の方がどないなってるか見とこうか」


 あまりに強力な酵母原液の毒素分解能力に、参ったもんだとばかりに各種確認を続ける春菜と宏。


 その様子に、助っ人のうちテトロドトキシンを研究していた人物が、あまりの理不尽さに言葉を失う。


 宏達にとっては、このぐらいの事はフェアクロ世界に居た頃からよくある事だったので驚くに値しないが、普通ならこんな簡単に進むようなことではない。


「……あの、質問よろしいでしょうか?」


「なんですか?」


「その酵母液、基本的には細菌やウィルスに効果があるものだと聞いていたのですが……」


「細菌やウィルスに対する効果を調べるのに手いっぱいで、毒素までは調査が進んでいなかったんですよね。だから、今年はそのあたりの研究を開始する予定だったんですよ」


 言われてみれば当たり前の理由に、質問した助っ人が恥ずかしそうに引き下がる。


 この酵母が発見されたのは昨年末、まだ半年程度しか経っていない。


 細菌やウィルスと一口に言っても、人体に害があるものに絞っても膨大な種類が存在する。酵母液にしても基本的に研究用の設備で生産されているため、外部に供給できるぐらいには生産していても、潤沢と呼べるほどの量はまだ生産できていない。


 そうなると物量的な制約から、効果があると分かっている細菌やウィルスに絞ったとしても、半年程度ではどの範囲まで効くかを絞るのもなかなか厳しい。


 毒素についてのデータがないに等しいのも、当然の話である。


「……なあ、春菜さん」


 助っ人との話が終わったとみて、宏が参ったという表情を浮かべて春菜に声をかける。


「どうしたの?」


「このフグ、水槽の中を自由に動き回ってんねんけど……」


「えっ? ……あっ、本当だ」


「っちゅうか、結構ぶち込んだはずやのに、水槽のテトロドトキシン含有量がゼロになってんねんわ」


「……10%液を海水に混ぜただけでこれかあ……」


「60Lの水槽に250CCぐらいしか入れてへんから、濃度としてはものすごい薄いはずやねんけどなあ……」


 宏の報告は、さらなる理不尽をもたらしていた。


「念のために、捌いて毒の有無を見ておく?」


「せやな。テトロドトキシンはここでチェックできるとして、他の毒素とか持ってへんか調べるんは機材もノウハウも足らんから、礼宮研究所に回して確認してもろた方がええやろ」


「そうだね。一匹じゃ足りないだろうから、十匹ぐらいあの水槽に泳がせておこうか?」


「その方がよさそうやな。後、予備の水槽もあるし、今ここにおる生物、全部十匹ずつぐらい10%液入れて様子見よか?」


「そうしよっか」


 宏の提案にうなずき、フグをさばくのは後回しにしてとりあえず10%液を量産する春菜。


 本当なら、水槽の水を濃度10%の酵母液にしたいところだが、残念ながら必要な水槽の数が多すぎて不可能だ。


 そもそも、海水の水槽もあるので、そこまで細かな調整は専用の機材を用意しないと難しい。


「それにしても、まだ初日の昼にもなってないのに、いきなりやることが一気に増えたよね」


「これ、酵母液作るためだけの大きい工場作らんと、今の研究用設備だけやったら全然足らんで」


「そうだね。ただ、他の人に投げちゃうとすごく時間かかりそうだから、いっそ宏君がそのあたり設計してくれると助かるんだけど、ダメかな?」


「やるんはええんやけど、作ってもうたら多分特許や論文やっちゅう話になってくるし、余計やること増えて忙しならんか?」


「……あ~、そうだよね……」


「これがウルスやったら、四の五の言わんととっとと設備作ってんねんけどなあ……」


「先端技術が絡むと、色々手間が増えるよね……」


 宏のボヤキに、ため息交じりに同意する春菜。


 普通に考えれば富と名誉、両方につながる重要な話なのに、喜ぶどころか面倒くさがるあたりが宏と春菜のずれているところだが、助っ人たちからすれば衝撃的な反応だったらしい。


 周りから二人に、信じられないものを見るような視線が集まる。


「とりあえず、設計だけは今日のうちにやっとくから、どないするかは推移を見てから決めようか」


「そうだね。場合によっては、今日出てきたチェック項目のうちいくつかは必要なくなるかもしれないし」


「東君も藤堂さんも、無駄な抵抗はやめた方がいいんじゃないかな?」


 いつでもフォローできるようにスタンバイしつつ、ついでに自分の研究を進めていた天音が、現実から逃げようとする宏と春菜に突っ込みを入れる。


 宏達の現実逃避もむなしく、翌日ウナギの水槽に大量の稚魚が泳いでいるという驚愕の光景により、酵母液の量産設備開発は待ったなしになってしまうのであった。

なんでフグなのか、なぜウナギまで追加したのか、その時の心境がいまいち思い出せぬ……。

前2話がそういう話だったのに、なぜにここにきて恋愛絡みが一切進展なしなのかについてはもう、作者は突っ込むのをあきらめました。


WEB雑誌「N-Star」では、同じ作者の新作

「ウィザードプリンセス」が連載中です。

こちらの方も応援よろしくお願いします。

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[気になる点] 普通に無毒フグを買ってこればよいんでない
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