第10話 はじめてのまほう
この話の前に投稿し忘れた話があります。
先にその話を読んでいただけるとありがたいです。
「『魔法創造』セットアップ」
蒼人形に教えられ合言葉を唱えた瞬間自分の周囲が淡い碧に包まれた。
【キーワードにより起動したため只今からセットアップを開始します。】
頭の中ではなく周囲の光からその機械音は聴こえてきた。
【0%……13%………29%………52%…………エラー発見、対象者のデータに相違点あり。バックアップ起動。対象のデータの差異を修正。問題解決。
セットアップを続行。
60%……78%…………92%……100%
セットアップ完了。
魔法創造プログラムを発動します。】
言葉が発せられた次の瞬間目の前にタッチスクリーンが現れた。
【初めましてこんにちは。私は操作説明のため一時的に起動されている『魔法創造』音声プログラムです。
説明終了時点でこの音声プログラムは機密維持のため強制アンインストールされます。
説明プログラムを続行しますか?】
機械音声なのに聞き取りやすいがこれはチュートリアルのようなものだろうか?確かに使い方は分からないかったが教えてくれるとは思わなかった。
続行するためタッチスクリーンの右下にあるyesをタッチする。 ちなみにスクリーンにも説明の文章が流れている。
【続行を認証された為、説明を開始します。
これは魔法創造プログラムです。このプログラムは魔法では無いためあなた以外は使用できません。】
「魔法ではない?どういうことだ?」
【これはあなたの存在に組み込まれたプログラムです。発行者によって魔力とそれの無限ストック器官をダウンロードされた際同時にダウンロードされたものです。
それでは操作説明を開始します。
それではまず最初にタッチスクリーン型か思考入力型かを選択してください。
設定にて変更可能ですが説明ではタッチスクリーン型で行います。】
どうやらタッチスクリーンだけではなく思考による入力も出来るらしい。
他人に見られたくないときはこれにするべきか。チュートリアルを誰にも見られないように人目のつかないところに着いたのだろう。蒼人形の計らいだったのか?それはないな。
【次に創りたい魔法の情報を入力してください。創造出来ないものにはエラーと表示されます。
見本として『火球』を創ります】
スクリーンに情報が打ち込まれていく。
火、球、操作のこの三つだ。意外と少なくて済むようだ。
【思考入力型では魔法のイメージで創ることも可能です。
そして魔法を自分の知識を使って作成したい時はは一覧画面で魔法の陣、式、呪文等をを見ることが出来ます。
呪文等の魔法の形式は自由に変更可能です。】
画面が自動的に開いて一覧が表示される。一番上には『火球』だけが載っている。
説明されたことが出来るかどうかをスクリーンを弄って確かめる。別に異常はなく簡単に動いた。
【一覧はこのプログラムによって作成されたものが表示されますが自ら学んだ魔法を入力することによって一覧に追加できます。
後は自分で弄ってお確かめください。
以上で説明を終了します。】
その言葉と同時に周りの光は消えてスクリーンだけ残った。
「それじゃあちょちょっと作っていきますか」
『火球』があるので『水球』も作ってみる。
入力を終わらせ完了ボタンを押すと一覧に魔法が追加されていた。
それにしても1つ疑問がわく。
「魔法ってどうやって使うんだ?」
魔法は作れたが肝心の使い方が分からない。
魔力の存在が自分の中にあるのは分かるがどう扱うのだろうか?
一覧にある『水球』を開いて呪文を確かめる。
「一応魔法陣もあった方が良いのか?」
床に石で魔方陣を書き写してその外に立つ。
その後そこで魔法の簡単そうな呪文を選び唱える。
「我、世界に望む 命を司る世界の涙を『水球』」
すると体から何かが吸い取られる感覚がしてきた。恐らくこれが魔力なのだろう。
そして魔方陣が光りそこから水の球が浮かんで、落ちた。
「ハァッ?」
魔方陣にしたのが悪かったのだろうか。選択を間違えたな。
まぁ魔力の感覚も掴めたし次は魔法文と呪文を使ってみるか。
魔力を指から少し出してそのまま文章を書く。これは文章と呪文が一式の様で唱える呪文が違った。
「我、契約文を捧げ 大地に平伏す涙を飲み干す」
呪文が終わると同時に手の先に水球が表れ手の動きと連動して動くようになってる。
「ほぉ……」
これが魔法か。先程吸いとられた魔力と同じだけ使ってみたがさっき出来たのより小さいから方式によって必要な魔力の比が違うのだろう。
少し飲んでみたがピリピリして純水のようだった。
飲み水にするにはミネラルなどを加えた方が良いだろう。
しかしこれでは獣を相手にするには無理がある。
これから獣たちと殺しあいになるのだから手段はあった方が良い。武器とかも作れるのだろうか?
「『魔法創造』起動」
今度は設定を変更し思考入力型で試してみる。
これは魔法を想像して魔法名を唱えれば良いんだっけ?
「名前考えるのは面倒くさいな適当でいっか」
イメージを強くするため魔法を創造するときにも呪文を唱える。
「我は世界の武器を造り弄ぶ者 世界を壊し生物を殺す者 世界を救い生物を守る者なり 我が魔力を生贄に其れを叶える力を与えよ 『魔法創造』発動」
「ぐぁあっ」
体から大量の魔力が吸いとられ体が立つことを許されない。体が干からびてしまう感じがする。
ついさっき異世界に来る前に蒼人形にやられたのと逆だ。
押し込まれて潰されそうになるのではなく抜けていって潰されそうになる
魔力が足りなかったのだろう体の力が抜け完全に言うことを聞かない。
異世界に来たばっかりでストックがまだ足りてなかったのだろう。完全に早計だった。
魔力の回復率が高かったためかすぐに魔力が生まれるがそれと同時に奪われる。これでは判で押したようないたちごっこのシーソーゲームだ。これで死にはしないだろうがこの隙を他の生物に見付かったら格好の餌だ。
見付かったら間違いなく終わるよな……
「グゥルルルル」
「嘘だって言ってよ……」
口は禍の門とは良く言ったもので入り口から狼が入ってきた。もしかしたらこの洞穴の主だったのかもしれない。それかも今から使う予定だったのか。
狼はまだこちらには気付いてないかもしれないがあっ今気づかれた。
魔力はまだ吸いとられている。が先程よりか楽になってきている。魔力の吸収率が遅くなっているのか?そんなはずはないだろう。今だって吸いとられてる感覚は変わらない。だったら回復が早くなっているのか?それは……あり得なくはない。しかし何故だ?
分からないことは今は諦める。そんなことより目の前にいる敵だ。これをどうにかしなくてはいけない。
体の調子は最悪。どうにか動かせるまでには回復したがそれでも戦闘出来るかを問えば否。
走り回るのも三分が限界だ。
体力的には余裕だが気力がない。魔力が奪われて体がダルい。
だが、もしも調子が出るまで魔力が回復したら?集中を保てるようになったら?『魔法創造』が終わったら?
どうにか勝てるし生きられるだろう。「くっそう、最初ぐらいは全快で闘わせろよ!!」
そんなことを言っても誰も聞き入れちゃくれないだろうが自分を鼓舞するために声を張り上げる。
「しょうがねぇ。遊んでやるよ駄犬よぉ!!」
次話は戦闘です。
結構難しいものですね。




