第5話 危険な出会い
突然だが現在窮地に立たされてる。冷や汗は止まることを知らず恐らく足も無様に震えてしまっている。藁もすがるような気持ち(嘘)で訪ねたが藪から蛇どころか得体の知れない化物に見付かってしまったようだ。
「それで?」
感じるのは動揺と恐怖、2つの感情が自分の中で渦巻いてるのが分かってしまう。人生の中で必ず抱く感情がここぞとばかりに警報をならす。まるでこの為だけに存在するかのように。
そして本来なら関わるはずの無い化け物(人間)が軽々しく、感情を押さえ込めるように口を開く。
「お前が……」
……どうしてこうなったか。時は30分程前に遡る。
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「失礼します」店(事務所?)に入るときにでる言葉じゃ無いだろうが気分的には学校の職員室や入社の面接の様な感覚だ。
ここにはそんな重苦しい印象がここにはあった。
部屋には中心に接客用だろうテーブルとソファーが、奥には会社とかで良く見かける事務用机が置かれている。横には用途、ジャンルを問わず世界中の本が所狭しと本棚を圧迫している。
そんな普通のようで異常な空間の中でも一際目を引く二人の男女が立ちずさんでいた一人は気だるそうにもう片方は楽しそうに微笑みながら、それでも残念そうな顔で話している。
「ほらぁ、ハッキングしてでもゲームの広告に貼り付けてといて良かったじゃねーか。客が一人釣れたぞ」
「まさか本当に来るとは思いませんでしたよ。あんな怪しいものを信じる人がいるとは予想外ですよ。残念なことに賭けは私の負けですね。掛け金安く設定してたとはいえホントに残念です。」
「そこまで俺に負けたのが嫌なのかよ……」
「そんな訳では無いですよただ財布が軽くなるのが嫌なだけで勝敗には興味無いですよ。いやいや、お金が無くなるのも嫌ですけど自分のものが相棒とはいえ他人に渡るのが耐えられませんしそもそも必ず勝てるはずの賭け負けたことが何よりも辛いんですよ。そんなことより客の対応しなくて良いんですか。すごい困ってますけど」
「ほとんどお前のせいだろ。すまないな、いつもはまだまともなやつなんだが金と賭けに関しては性格悪いからな。」
苦労してるようで……
「楽しくやってるけどな。それより一見さんのようだが依頼内容はなんだ。あと先に言っとくがタメで良いぞ」
やっと本題に入れるな。
「依頼と言うより訊ねたい事なんですが「敬語」すみません。それでは失礼して……教えてほしい場所がある。」
「場所?」
「場所と言うかは人ですかね。武術を学べる所で武器なども使えればありがたいです。あと敬語になってるのは見逃して下さい。」
人に対しては目上だろうが目下だろうが敬語になってしまうのは癖みたいなものだしね。
それにしても眼鏡の人は話に入らないのだろうか?こっちの方が交渉得意そうなのに
関係無い事を考えていると相手の目が胡散臭そうな可哀想な子供を見るようなものになっていた。
「なんでそんな事をする必要がある。この平和ボケ小国日本で戦闘術なんて必要ないだろ。」
「龍矢、せっかくの客なのにそんなこと言ってはいけませんよ。どんな理由でさえ理由には変わらないですしね。」
いくら理由が異世界に行くためだとしてもね。
そうぼやいて話を止める。
なるほどさっき話していた人は龍矢と言うのか。龍矢さんが話して眼鏡の人が纏めるって感じなのかな?
……ってあれ?今何かおかしな事言ってたよな。
「なんだそう言う事か。だったら学びたくなるよな。それなら依頼者とやら、聞きたいことがある。」
空気が一瞬で軽かったものから重苦しいものものに変わっていく。
「お前が」
頭の中で警報がガンガンなり響きはじめた。次に言われることを聞いてはいけないような錯覚に陥ってしまう。今なら引き返せる。引き返せなかったら酷い目にあう。証拠もなくそんなことを確信してしまう。
なぜこんなとこに来てしまったのか。なぜここを知ってしまったのか。そんな思いが頭の中で絡み合いぐちゃぐちゃにしていく。
非情な事に時間は止まることを知らず次の言葉を聞いてしまう。
「『不安定因子』か?」
異世界に行くまでには主人公の名前とタイトル決めちゃいたいですね




