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オタクな僕の日常  作者: みはね
5/8

5日目 可愛い後輩と。

 馬鹿兄貴からキモ兄貴に昇格して数日経った頃。

 僕は昼休み、七原が呼び出しを食らってて、夢華も河上たちとバスケをしていて、更に柚木も読書に集中していて暇だったので、適当に校舎を散歩していた。

 

 …たまにはこうして学校で一人でいるのもいいもんだな。

 できればラノベとかマンガを読んでいたいけど。


 そんなことを考えながら歩いていると後ろの方からたったったったっと、走っているらしい足音が聞こえて来た。

 なんとなく僕は誰だか気が付いていたが気付かないふりをしてみる。


 たったったったっ


 どんどん足音が近づいてくる。


「せんぱーいっ」


 飛びついてくるのを僕は直前で横にかわし、そいつは顔面からズシャーっとヘッドスライディング。

 摩擦で顔が真っ赤になってるんだろうな。


「大丈夫か?」


 そこまで心配はしていないが、一応心配してみる。

 声をかけるとそいつはぱっと起き上がり、真っ赤な顔を近づけて大声で喋る。


「大丈夫なわけないじゃないですか!顔、痛い、痛いです!なんで避けるんですか!先輩のばかっ!」

「それだけ大声出せるなら大丈夫だ。全然元気じゃないか」

「うー…」


 こいつは中学のときからの後輩、日夏(ひなつ)だ。これは苗字である。

 僕は中学生の頃から陸上部に入っていて、日夏も陸上部だった。今も陸上部に入っている。

 背がちっこいくせに意外と足が速いすごい奴だ。

 そして貧乳である。髪の毛はセミロングな感じでいつも耳の辺りの位置で二つに結んでいる。

 で、結構可愛い。僕のストライクど真ん中。

 だけど、恋愛対象として見ることはない。

 なんていうか…妹、みたいな?あの妹よりも妹みたいな奴だ。うん。


「んで、どうかしたのか?昼休みまでトレーニングか?精が出るな」


 そう言うと急に日夏は摩擦で赤くなっていた顔を更に真っ赤にさせて変な顔をした。


「せっせせせ精が出るだなんて先輩、えっちです!スケベで変態です!」

「は!?おまえは何を勘違いしているんだ!?」

「だ、だって、先輩が出す精って…その……い、言えないです!純粋なウチには言えないです!」

「精が出るって言葉で、そんな風に反応してる奴は純粋じゃねぇよ!」


 はぁ…。こいつは本当に馬鹿だ……。

 なんで変に反応するのだろうか。

 話してて楽しいのだが、後輩とこういう変な会話になるのはちょっと嫌だ。


「で、おまえは結局どうしたんだ?昼休みまでトレーニングか?」

「なんで先輩、同じ言葉繰り返してるんですか?」

「おまえが精が出るって言葉に反応して話が進まなかったからだろうが!」

「えーとですね、別にトレーニングしてたわけじゃないですよ?暇だったんで適当に歩いてたら、えっちでスケベで変態でムッツリな先輩が歩いてたんで、声をかけて飛びつこうとしたんですっ」

「なんか余計な言葉がかなり入っているような気がするんだけど…」

「失礼しました。エロオーラむんむんな先輩でいいですか?」

「よくない!全然よくない!てか君はそんな先輩に飛びつこうとしたの?おかしいでしょ!」

「そうですね。あの時のウチは頭がおかしかったのかもしれません」

「なんか急に冷静なキャラになってる…?」

「冗談はさておき!そういう先輩はなんでこんなところにいたんですか?」


 どこからどこまでが冗談なんだろう…。

 できればえっちでスケベで…からだと思いたい。


「俺も日夏と一緒で暇だったから、適当に散歩してたんだ」

「そうなんですか!すごい偶然ですね!暇人同盟でも組みましょうか?」

「別に俺はいつも暇なわけじゃないぞ?」

「ウチだってそうですよ?」

「じゃあなんでそんな同盟組まなきゃなんだよ!」

「同盟ってのは勢いで組むものじゃないですか!日英同盟だって勢いで組んだんだし!」

「絶対に違う!歴史の勉強ちゃんとしなさい!」

「ウチは歴史をとるつもりはないのでしたくありませんっ」

「そうきたか…」


 まぁこう言ってるのは冗談だと思うけど。

 歴史をとらないっていうのは本当だとしても、歴史についてはちゃんと勉強していただろう。

 この高校は県のトップ校なのだから。

 だから七原や河上や日夏みたいな馬鹿に見える奴でも県内で考えれば、トップクラスなのだ。

 どうせ県だから全国で考えればそれほどではないけど。


「ところで先輩、もう夢華先輩には告白したんですか?」

「!?」

「はぁ、その様子じゃまだみたいですね。夢華先輩モテるんですから、早くしないと誰かにとられちゃいますよ?」

「待て待て待て!別に俺は夢華のこと、好きでもなんともないぞ!?」

「ウチに遠慮なんかしないでください!ウチは…先輩が幸せになれるならそれでいいんです。あの時のことは、一生忘れませんから……」

「俺とおまえはどういう関係なの!?あの時っていつだよ!?」

「あ、先輩。ウチ、次移動教室なんでした。なのでそろそろおいとまさせてもらいます!では、また部活で!」

「え!?ちょっ!?変な気持ちにさせたままどっか行くなよ!」


 なんで僕の周りには話を聞いてくれない人が多いのだろうか。

 言い終わった後には足の速い日夏はもう見えなくなっていた。

 

 大体なんで僕が夢華のことを好きってことになるんだ?

 確かに夢華は顔立ちは綺麗で、身体は程良い細さで、頭は良くて、小学校からやってたからバスケはめちゃくちゃ上手くて、話してて楽だけど…。

 ってあれ?好きになる要素ばっかじゃね?


 ……いや。僕が夢華を好きになるってなんか想像できないし。

 付き合ってる姿とかも全くと言っていいほど想像できない。

 

 よし、このことは忘れよう。


 そんなことを考えていたら、後輩と楽しく喋っていた昼休み終了のチャイムが鳴った。

 別に僕は移動教室というわけではないので、ゆっくりと教室に戻ることにしたのだった。

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