洗い物を減らしたい時
「げ、手荒れしている!」
野川咲良は自分の手を見て目が丸くなった。確かに主婦歴一年だ。三十を超え、毎日家事をしていたらそうなるだろう。特に洗い物はダイレクトに手荒れする。
という事で、料理の洗い物を減らす事にした。まずはまな板。牛乳パックをまな板の上に置いて、肉や魚を調理する。これは主婦仲間から聞いた知恵だ。使い終わった牛乳パックを洗って干し、まな板のサイズに切るだけ。簡単だ。
菜箸も減らしたい。使い捨ての割り箸を使おう。それにトングをつかってもいい。そういえば大学生の時、惣菜屋でバイトしていた時は、トングをよく使っていた。これだったら、大皿料理の時はそのまま出せるし、悪くない。
「最終兵器はホイル包みだよね!」
咲良はそう言いながら、鮭のホイル包みを作っていた。これもだいぶ洗い物が減らせる。あとは湯煎調理も良い。他、洗い物を減らす方法はないか?
そんな創意工夫のホイル包み料理が三日続いた時だった。
「いや、もう食洗機買おう!」
咲良の夫が提案した。
「え、いいの?」
「いいよ。調べたら、思ったほど電気代もかかんないでしょ?」
「やったー!」
夫の太っ腹が嬉しい。といっても、洗い物を減らす工夫は楽しかった。さすがに連日のホイル包み料理はやめるが、ちょっとした工夫は続けてみよう。
こうして咲良の家にも食洗機が設置され、すっかり手荒れも治った。