表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常を彩るライフハック短編小説集  作者: 地野千塩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/56

ゼムクリップが余った時

 掃除中、あまり見たくないものを発見した。


「あー、ゼムクリップか……」


 それを見つめながら、紐づいた記憶が再生中。


 このゼムクリップ、小説の投稿するときに使っていた。公募は紙の原稿募集も多い。右端で留めて封筒に詰めて送っていた。


 実に百回以上、各種賞に送っていたが、ニ次通過が最高の成績。そのうち学業も忙しくなって新卒で就職。本当は食品関係の開発もしてみたかったが、現場に行くことになり、系列の居酒屋で働いていた。


 何も思った通りにならない。特に好きなことはことごとく万年片想いで振られている感じ。このゼムクリップを見ていたら、燃え尽きた夢を思い出し、灰を眺めているような気分。


 小説の書き方の本などは全部捨ててしまったが、ゼムクリップは何かに使えると思いとって置いたんだ。


「我ながら私って貧乏性……」


 呆れてきたが、このゼムクリップどうしよう。このまま捨てるのも夢見が悪そうで。


 ネットで調べるとゼムクリップ、ハンガーにつけて使うと良いらしい。特にセットアップの服が迷子になりにくいとか。


「へぇ。まあ、私もよく靴下が片方迷子になりやすいし、靴下まとめておくのもいいかな?」


 他にもティーバックの紙の部分にゼムクリップを挟んでおくと、カップに落ちないとか。


「なるほど。こうしたらボチャっとならないね」


 ティーバックの紅茶をこの方法で飲んでみたが、確かにちょっと便利。カップの中のティーバックを落とし、箸でつまむストレスから開放された感じ。


 他にもコードをまとめたり、メモスタンド代わりにもなるという。


「なるほど。イヤホンとかカバンの中でグチャグチャだったわ」


 こうしてゼムクリップの活用方、試していたら、もう嫌な記憶はない。上書きされた感じだ。


「もう一回、好きなものを想ってもいいのかな?」


 ふと、燃え尽きた夢に火がついてしまった。すっかり灰になっていたはずなのに、小説の舞台や主人公のキャラクターが次々と思い浮かんでしまって困る。


「燃え尽きたはずだったけど……」


 全部灰になってはいないらしい。まだまだ弱火で燻ってる感じだが。


「もう一度、応募してみる?」


 ちょうど小説のコンテストの情報も得た。締切は再来月の末らしい。


 ゼムクリップでメモスタンドを作ってみた。メモに締め切りの日付も書いてみる。


「もう一度ぐらいは、夢みてもいいかな?」


 さっそくノートパソコンを開き、原稿を書き始めた。まだまだ弱火だが、もうすぐ大きな火がつきそう。そんな予感がしていた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ