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日常を彩るライフハック短編小説集  作者: 地野千塩


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防災したい時

 今日も推しのライブだった。楽しかった。推しさえいれば幸せ。


 野田花梨はそう思いながら、ほくほく顔で家につく。今年大学に入ってからマンションで一人暮らしをしていた。そろそろ慣れた頃だったが、ふと、マンションの掲示板を見たら、今までのいい気分が吹き飛ぶ。


 明後日、工場の関係で水道水が止まるらしい。しかも一日中だ。


「え、そんなのアリ?」


 明後日は大学もあるが、水道水が止まったことを想像すると、全く笑顔になれない。


 急いで家に帰ると、まずはバケツや空いたペットボトルに水を溜めたりしたが、これで大丈夫だろうか。


 急に一人暮らしを始めた頃の不安や頼りなさが襲ってきた。もう推しのライブなんて全部忘れてしまいそう。


 家に飾ってある推しの写真やアクリルスタンドをちらっと見てみるが、こんな時、全く役に立たないじゃないか。


「で、でも。推しだったら、こんな時どうするだろうか?」


 そう思うと急に冷静になってきた。それに今、水道水が止まったわけでもない。対策する時間がある。まずはネットで色々調べてみよう。


 動画サイトへ向かうと、さまざまな防災情報がある。簡易トイレの使い方とか、非常食の食べ方など、想像以上に情報が多い。


「へぇ。湯せんでお米とか炊けるの? カイロでパックご飯、温められるんだ? 袋ラーメンも水で作れるんだ!? って言うか新聞紙でお皿作れるの?」


 目から鱗の情報も多く、ついつい時間を忘れて見てしまった。


 翌日、一応簡易トイレを買い、ご飯を湯せんで炊いてみた。百均で買った湯せん袋に米と水を入れ、フライパンでお湯を沸かす。そこに湯せん袋の米を。十数分程度炊き、蒸らして完成。


「わ、本当にお米炊けたよ……」


 そのまま炊き立てご飯を食べてみたが、味は何の問題もない。こんな風に袋からご飯を食べるのは、ワイルド過ぎたが、ちょっとしたキャンプ気分。


 それに……。


「いつもの日常を過ごせるのって当たり前じゃなかったんだなぁ……」


 水道水、ガス、電気があるのも当たり前ではなかったらしい。


 部屋に飾ってある推しの写真やアクリルスタンドを見てみる。確かに推しがいるのもいいことだ。心の栄養になっているのも事実だが、見えないところで日常を支えてくれてる人達がいること、今までよくわかっていなかったらしい。


「うん、もっと防災してみたいかも。平和な日常があってはじめて推し活を楽しめるんだしなぁ……」


 それは明日も明後日もずっと忘れないようにしたい。心なしか、部屋に飾ってある推しの笑顔、いつもよりやさしく見えるから不思議。

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