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日常を彩るライフハック短編小説集  作者: 地野千塩


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ご飯を冷凍する時

 最近仕事が忙しかった。転職エージェントでキャリアカウンセリングをしている海老沢千笑だったが、連日コンビニ弁当か冷凍食品かカップラーメン。


「ぎゃ、ニキビできてる!」


 日曜日の朝、ニキビができているのに気づき、これは食生活を改めないとと思った次第。お肌の曲がり角と言われている年齢はとっくに過ぎてはいたが、エイジングケア化粧水もなんとなく恥ずかしくて使っていない。


「といっても私、料理嫌いなんだよなぁ。まあ、冷凍野菜余ってるし、ご飯から作るかぁ」


 そして昼間、スーパーでお米を買いに行くと、2合炊き、冷凍して作り置きしてみることに。


 ご飯を炊くと言っても洗って浸水し、炊飯器をセットし、小分け作業もある。正直、面倒。何か裏技がある思い、ネットで調べるが魔法みたいな情報は皆無だ。


 ただ、冷凍する時は粗熱を取り、ラップで平たく包むと良いらしい。冷凍庫で一カ月程度もつという。


 魔法みたいな方法はなかったが、手順通りにやってみた。どうにか最後まで完了し、炊飯器の釜を流しへ。


 キッチンには炊き立てのいい匂いが残る。一食分は今日の夕食に食べる予定だ。


「料理は再現性があるのって良いよな……」


 釜をスポンジで洗いながら、思う。仕事でさまざまな方と転職相談に乗ってきたが、低学歴でも運良く大企業に行ける人もいる。


 一方、職歴や資格もあってもなかなか上手くいかない人もいる。年齢が高い方が不利とも言われていたが、そういう傾向があるだけで、一概には言えない。若い人でも尽くす癖があると、うっかりブラック企業に行ってしまうケースも見てきた。


「人生には再現性ないのかなぁ……」


 かくいう千笑も転職を考えていた。正直なところ、最近やりがいも感じられず、忙しい毎日に疲弊しきっていたのも事実。


「まあ、上手くいかないこともあってもいいよな。成功しなきゃって思うと辛いし」


 これは相談に乗っている方にもよく言っていた。例え年収が落ちても、人間関係や時間にゆとりが得られればそれはそれで悪くないとも。年収を上げてキャリアアップだけが成功じゃない。最近担当した方はすっぱり転職活動を辞め、フリーランスの道に進むという。世間的には成功する確率が低いかもしれないことだが、それが不正解とも限らない。転職活動の正解は一つだけと決まってはいないから。


 そんなことを考えながら、炊飯器の釜を洗い終えた。冷凍したご飯は軽く水をかけて温めると、パサパサしないという。これについては再現性があって欲しいと願う。

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