セロリを保存する時
新婚はもっと楽しいものだと思っていた。現実はそうでもない。今日の夫は不機嫌。
「えー、これセロリか。俺、セロリ嫌いなんだよなぁ」
食卓の空気が凍りつく。妻、市上ミノリの顔も引き攣る。
今日の夕飯は鮭のムニエル、玄米ご飯、味噌汁、それにセロリとイカのマリネだった。お互いアラフォー夫婦だし、健康に気をつかった結果、セロリの副菜を作ったが夫は不機嫌。
「この青臭くて、クセのある匂いが苦手なんだよな。なんとも言えない感じで」
カチンときた。せっかく作ったのに。結局、喧嘩になってしまう。本当、思ったより新婚生活なんて楽しくない。
その夜、一人で悶々としてしまう。眠れず、リビングのソファで白湯を啜る。
そういえば両親も些細なことで喧嘩していた。洗濯機を回す時間や店でクーポンを使うかどうか等。
「そういう時、親ってどうしてたっけ?」
一旦、冷却期間をとっていた。確か母はちょっと実家に帰ったり、映画を見に行ったり。
ふと、冷蔵庫の食材が気になり、確認すると、まだ使いかけのセロリがあった。
「あーあ、このセロリどうしよう?」
とはいえ、捨てるのは癪。かといってまた食卓に出したくない。
「このセロリも冷却期間置くか」
キッチンペーパーを水で濡らし、セロリを包んで冷凍庫へ。確かセロリは冷凍保存すると香りが少し和らぐらしい。
「私も冷却期間取るか……」
この問題も一旦、冷やしておいておこう。どれが正解かなんてわからないし、たぶんそれでいい。




