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日常を彩るライフハック短編小説集  作者: 地野千塩


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林檎を食べる時

 SNSは過激な言葉で満ちている。きっとその方が目立てるし、人はマイナスの言葉に注目しやすい。マーケティング戦略室で働いている今野チトセは、よく知っていることだったが。


「ハァ……」


 SNSの過激な言葉を見ていたら、何か疲れてきた。最近は若いインフルエンサーが身長が低い男は人権がないと言い、大きく炎上。そうじゃなくても恋愛や婚活の話題は荒れやすい。三十五歳以上の婚活女性の高望みというSNSを見てしまい、チトセはぐったり。せっかくの休日も憂鬱のまま時間だけが過ぎていく。


 食卓の上には林檎。実家から送られてきたもので食べていたが、色が変わってきた。林檎もこんな風に劣化していく。女も賞味期限とかあるのかと思うと、気が滅入ってきた。実際、チトセの婚活は停滞中。SNSで情報を調べてさらに落ち込んでしまう。


 その時だった。SNS上に林檎の食べ方の情報が流れてきた。変色を防ぐためには塩水につけるのが一般的だが、砂糖水でもいいし、水道水でも変わらないらしい。


「嘘……?」


 ずっと塩水じゃないといけないと思い込んでいた。あのしょっぱい林檎が苦手で、いつも何もしないで食べていたが。


「本当に砂糖水でも水道水でもいいの?」


 目から鱗だ。とはいえ、本当かどうかわからない。実験してみることにした。


「こっちは砂糖水、こっちのは水道水、こっちは塩水」


 それぞれの林檎をしばらく放置してみたが、本当にどれも変色しなかった。砂糖水のは少し甘い印象だが、たいして味も変わらない。水道水のも同様だ。


「塩水しかダメだって思い込んでいたのかも……?」


 こういう思い込み、他にもあるかもしれない。婚活についてもSNSを見過ぎた。変な思い込み、いっぱいありそうだ。


 よくよく思い返してみると、SNSで見るような失礼な婚活相手もいなかった。結婚相談所にも「逆に低望み辞めてください」と言われていたことも思い出す。そうだ、SNSに書かれているようなこと、無関係だったじゃないか。


「まあ、今日はSNS見るのやめようかな」


 そして林檎をゆっくりと齧ってみた。塩水につけた林檎はやっぱりしょっぱいが、今はその味も悪くないと思える。

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