表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常を彩るライフハック短編小説集  作者: 地野千塩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/55

豆苗を再生する時

 思えば転職のためだけの転職活動だったのかもしれない。内定がでて働き始め、早くも燃え尽き中だった。


「はーあ、疲れた」


 緑野美冴、三十三歳。新しい職場から家に帰ってくると、疲労でため息が出た。念願の事務職に転職成功したものの、仕事自体は暇。故にお局様も多く、早くも美冴は目をつけられていた。本当に転職のための転職活動だった。その後のこと、よく考えていなかったのかもしれない。


 そんな憂鬱な気分にまま冷蔵庫を開けると、昨日スーパーで買ってきた豆苗があった。油で適当に炒め、ツナとあえて終わり。手抜きすぎるが、凝った料理も食べたくない。


「あ、そういえば豆苗って再生できるんだっけ?」


 すっかり忘れていた。慌ててまな板の上に放置してある豆苗を拾い、タッパーに救出。確か豆苗、水をやりすぎると再生しにくくなる。水は少なめに入れた。


「本当に再生するかな?」


 燃え尽きている今、半信半疑だったが、食卓に適当に放置している豆苗、数日で伸びてきた。水も適量しか与えていないが、どうやらたくましく育っているらしい。ネットで調べるとこのまま土に植え替えても良いらしく、花を咲かせている画像も見た。


「へぇ……」


 目の前には豆苗の綺麗な緑色。殺風景な一人暮らしの部屋にちょっとした観葉植物変わりにもなっていた。さすがに土に入れて花を咲かせるまではできないが。


 ふと、本棚に目をやる。転職活動中に一生懸命読んでいた面接対策や書類作りの本も見えた。それだけではなく、挫折した英語や簿記、宅建などのテキストや問題集も見える。


「挫折しちゃったけど……」


 再生した豆苗を見ていたら、それもやり直しても良いかもしれない。今度は転職活動のためというよりは、単純に自分のためだけに。


「そうだなぁ。もともと勉強は嫌いじゃなかったし……」


 豆苗と同じように水を入れすぎず、力を抜いてやり直してもいい気がしてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ