もやしを保存する時
「ひー、チョコレートこんなに値上げしているの? もう高級品では……」
バレンタインも近づいたある日、古宮川実空はスーパーへ行った。チョコレートもたくさん売られていたが、例年より高い。お菓子コーナーも気軽にカゴに入れられるのが減った。ダイエットには良いかもしれないが。
「冷凍餃子は安いな………。豆腐や納豆も」
そんな実空、ホテルのカウンターの仕事をしていた。ホテルといっても格安ビジネスホテルのカウンター。決して給料は高くないし、昇給も雀の涙。新卒後、十年以上勤めていたが、最近は給料明細を見るたびにため息。スーパー行っても憂鬱。特に物価高の今は。
「やっぱりもやしは安いな……」
ついついもやしを購入するが、かさが増し、案外食べにくい。結局、腐らせる時もあったし、いかにも貧乏人の食材としてのイメージが定着している。
とはいえ、背に腹はかえられない。結局、もやしを購入してしまった。
「そういえばもやしってどう保存するんだっけ?」
何かいい方法はないものか。
ネットで検索すると、タッパーに水を入れ、そこに浸しておくと長持ちするらしい。水は二日に一回ぐらい変える必要があるが、黒っぽくなるまで一週間ぐらい長持ちする。
「本当ー?」
半信半疑だったが、試してみた。
水を変えるのは面倒なものの、だいたい三日〜四日ぐらいでカサが減り、いい感じ。
「おぉ、意外と持つな」
さらにもやしについて調べると、ビタミンCはもちろん、疲労回復効果があるビタミンB1もあるそうだ。これは嬉しい。連日、ホテルの仕事で疲れているから。
他にもカルシウムも含まれ、見た目の割に栄養豊富だ。よく痩せている人をもやし体型なんて悪く言う場合もあるが、そんなイメージもなくなった。
「もやしって意外と強いんだね」
ざっと炒め、調味料で味付けするだけでもおいしいし、スープやパスタに混ぜてもあう。もちろんラーメンの具材としても優秀だ。
そんなもやしを食べていたら、元気になってきた。本当に疲労回復効果、ありそう。もう物価高の悩みも感じない。




