パクチーを冷凍する時
最近、パクチーにハマっている。輸入食品店で売ってるパクチーラーメンに、さらに生のパクチーを乗せて食べる。
「うん、美味しい! この独特の香りがクセになるんだわー」
羽崎優舞、大学生。最近、同棲していた彼氏と別れたばかりだし、好きなパクチーを思いっきり食べていた。
そういえば元彼はパクチーが苦手だった。優舞が食べている横で、露骨に顔をしかめ、鼻をつまむ仕草を思い出すと、心底別れてよかったと思う。
「ってもうパクチー、ないじゃん! スーパーに買いに行こう!」
パクチー、世間一般的には人気はないらしい。スーパーでも値下げシールが貼られていたが、これは救出しておかないと。
「しかし、パクチーって冷凍できるんだっけ?」
ネットで調べると、パクチーは冷凍保存できるらしい。葉はザク切りし、茎はみじん切りにすると良いとか。しかも冷凍しても香りが抜けないらしい。
「へえ。パクチー、すごいわ」
さっそくスーパーで買い込んだパクチーを冷凍保存し、ご機嫌のまま一日が終わったが。
翌日、大学で元彼に会ってしまった。しかも相変わらず口が悪く、優舞のことをパクチー臭いと笑い、あからさまに見下してきた。
「なんなん、あの男……」
不機嫌になるが、あんなに美味しいパクチーでもアンチがいる。全員に好かれることは不可能だと思えば、もう元彼のこと、本当にどうでもよくなってきた。
それにパクチーは栄養素が高い。デトックス効果もある。胃にも優しく、意外と醤油と相性もよかったりもする。食わず嫌いで避けているのは、もったいない。
そして今日も家に帰ると、冷凍庫を開けてみた。昨日、冷凍保存したパクチー、依然として香りがキープされている。
「つ、強いわ、このパクチーは」
独特な匂いを感じながら、目を細めていた。




