七草粥をすくう時
最近どうも風邪っぽい。正月も仕事だったし、疲れが溜まってるかもしれない。
山城優海は仕事帰り、風邪対策の生姜、レモン、みかん、にんにくなどカゴに入れていく。
アクセサリーショップで店長をしているし、会社はどちらかといえば利益至上主義だ。うっかり風邪もひけない感じだったが。
「あ、もう七草かぁ」
スーパーの野菜コーナーに七草のセットが売っていた。グッドタイミングだ。風邪っぽく疲れた時はお粥が一番だろう。
さっそく家に帰り、七草粥を作ることにした。
「おぉ、このままでもけっこう美味しそう」
根菜類を先にいれ、煮ている最中だったが、もう既にキッチンは湯気に包まれていた。さらに葉物類を入れると、いい匂い。控えめな匂いなのに、かえって印象に残る。
さっそく食べることにした。鍋ごとこたちのテーブルの上に置く。おたまに小鉢にすくい、よく噛んで食べる。
あたたまる。静かな味わい。でも確実に身体に効く。
この調子で食欲も戻ってきた。三十五の優海にとっては、美味しさよりも身体への優しさがいいみたい。
あっという間に鍋の半分以上が消えていくが、おたまだとすくいにくい。
「お粥はシリコーンスプーンのがすくいやすいか?」
ということで、おたまには休憩してもらい、シリコーンスプーンに働いてもらった。綺麗にすくえた。全部食べられた。お鍋の中、すっかり空っぽ。
「ごちそうさま」
気づくと、身体も温まり、汗も滲むぐらい。風邪っぽさもいつのまにか消えていた。
七草粥の由来や風習なども全く知らないが、昔の人の風習、今真似ても悪くないものだ。
「おいしかった」
そう呟けば、明日は元気になれそうだ。




