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日常を彩るライフハック短編小説集  作者: 地野千塩


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ピザの箱を捨てる時

 白崎侑芽は会社員のかたわら、副業や投資もこなしていたし、忙しく、本当にクリスマスなんてどうでもいいと思ってはいた。


 会社帰りにスーパーに寄ったら、少し考え方が変わってしまった。


 今日はクリスマスイブだ。店内にはクリスマスソングが流れ、サンタの格好をした店員がケーキやピザを売ってる。客たちも浮き浮きしていたし、そのムードに飲まれてしまったらしい。


 特にピザ、大きな箱に入り、美味しそう。しかもサンタと猫のイラストもデザインされ、余計に良い。


 こんなの一箱食べたら確実に胃もたれする。侑芽はアラサーだ。体重計、健康診断、肌荒れという言葉が浮かぶが、今日ぐらいはいいか。


 そんな気もしてピザを一箱お買い上げ。あとはサラダやミネストローネも買っておく。


 そして家に帰り、メイクを落とし、部屋着に着替え、暖房をつける。底冷えしていたが、部屋は急速に温まっていく。


 ピザも軽くトースターで温めて食べる。トマトソースのいい匂い。チーズはトロトロ。耳はサクサク。うん、最高。ぼっちクリスマスでも、こんなピザを独り占めできるのなら、最高じゃない?


 驚くほど食が進んでしまい、あっという間に完食。おそらく二人から三人用のピザだったと思われるが、一応サラダやミネストローネも食べたし、これは免罪符ってことで。


 残されたのはピザの箱。案外大きく、硬いこの箱、どうやって処分したらいいのか?


「わからない。油ついてるしたぶんリサイクルはできないよね?」


 ということでSNSで検索だ。一人暮らしが長い侑芽は、こういう時、すぐ検索するようにしていた。


 すぐに情報が見つかった。ピザの箱は水につけ、小さく丸め、乾かして捨てるといいという。


「え、水に浸す? 意外!」


 ちょっと驚きつつも、さっそく試してみた。かさばっていたピザの箱、水に浸けるとすぐにふにゃけ、やわらかくなった。侑芽の力でも簡単に丸められた。


「へえ、簡単じゃん」


 あとは乾かし、捨てれば完了だが、急にクリスマスが終わった気がした。そうか、このピザの箱も特別感を演出してくれていたんだと気づく。確かにこんな箱、普段の食事ではあんまり登場しない。


 少しだけ寂しい気がする。この箱を片付けたら、今年のクリスマスは完全に終わり。忙しく、クリスマスなんて興味ないとは思っていたが、一人のクリスマスも案外楽しんでしまったらしい。


「まあ、それでも」


 来年もあるし、年末年始だって楽しいはず。寂しい気持ちは一瞬で消えてしまう。

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