クリスマスケーキにラップをかける時
クリスマスイブ、よりによって彼氏は仕事。彼は医者だが、急患が入ってしまったらしい。これは仕方ない。
「といってもなぁ。一人でクリスマスケーキってアリなん?」
二人用のクリスマスケーキを切り分け、食べていた。本来なら、二人で甘すぎる時間を過ごしていたはず。その為に色々と準備した。部屋も飾りつけ、チキンやワインやケーキも予約していたが、無駄になってしまった。
「まあ、仕方ない……」
わたしは自分に言い聞かせ、チキンを齧り、ワインも飲む。わたしだって会社員のかたわら、ライターの仕事もしている。やっぱり仕事は大事だって思う。
それにチキンは美味しいし、ワインも最高。クリスマスケーキも甘い。別に一人でも楽しめる。二人だったらもっと楽しめたってだけだと思えば、だんだんと気持ちも落ち着いてくるものだ。
「ケーキの写真撮ってSNSにあげよう」
SNSにはいろんな人がいる。クリスマスイブでも仕事の人、とても多い。一人で過ごしている人も多いし、ガチの宗教家もいたりする。世界はわたしが思っているより広いらしい。視野が広くなり、もう愚痴など出てこないものだ。
「へえ、クリスマスケーキってタッパーを被せるように保存するといいの?」
そんな中、ライフハックを発信しているSNSもあり、面白い。
そうだ、このケーキ、どうせ余るからこの方法で保存しようか。
そう思ったが、ちょうどいいサイズのタッパーがない。会社の給湯室に洗ったまま置き去りにしていた。
「だったらラップをかけるしかないけど、クリームがべちゃっとついちゃうな。いい方法ないかね?」
さらにSNSを見ると、クリスマスケーキに爪楊枝を立てラップをかけると良いと知る。さっそく試す。
「いい感じ!」
これで冷蔵庫に保存しておけば、彼が帰ってきた時も食べられるだろう。うん、満足だ。
ちょうどその時、彼から連絡が届いていた。急患の患者さん、助かったらしい。
「あぁ、何よりだわ……」
ホッと息が出る。うん、たぶんこれが一番良いことだと思う。




