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出会った君は龍の生贄  作者: 御風呂 嬉々
第一章【龍の生贄】
4/6

第四話:終焉



その歪んだ眼に映った世界には何が見えたか。

幾百もの時を過ごしたその魂の終わりに何を感じたか。


悲哀か。絶望か。あるいは。


いずれにせよ、最期に宿った炎は虚構ではなく、紛れもない本物であった。



龍の幻覚に少年の思考が揺らいだその刹那の話である。






※ ※ ※






もう何度目か、洞窟が揺らいだ。


「長老。どうなってるんです」



列の先頭。一つ後ろにいる老人の前で男は振り返ることもなく、降りしきる小石から頭を庇いながらそう言った。



数時間前のことである。


夕方、村に響いた音は龍の洞窟方向から聞こえたものだった。

大切な儀式だ。気にはなるが、洞窟に向かうことはおろか、外出することなど許されない。しかし、その後村全体に広がった何かの悲痛な鳴き声に不安と異変を感じ、超法規的措置とし村の大人たち数人で洞窟に向かった。


そして今。洞窟の最奥。



二つの骸の向こう。見知らぬ一人の少年と一人の少女がいた。


「ミウ…っ!!」



列の中から出てきたのは、少女の母である。


「……」



肝心の少女は、とある方向を見たまま身動ぎもしない。

少年も同様である。


しかし駆け付けた大人が皆思ったのは、その少女の安否だとか、その少年が誰だとか、二つの骸の理由だとかではない。



二人と二つの骸の間にあった、ただ一つの存在に、ただ目を奪われていた。



それは暗闇。

否、巨大な翼であった。


巨大な黒翼を纏う、ナニカの姿。


「…なん、で」



それは言葉を発した。


「ちが…うの」



『ソレ』は言葉を発した。


「や、め……」



『ソレ』は『鳴き声』を発した


「来な……で」



「ーーバケモノ」


「うわあああ! バケモノだ…っ!!」



感情は波紋となり混乱を生む。

それが負のものであれば、尚更である。

各自持っていたものにて、異端の獣を排除しようとする。


それは先程少女を匿った女性も同じで。


「ーーーー」



その瞬間、近くにいた謎の少年が跳躍。

黒色の翼を持つ黒色の身体を掴み、天井の穴より消え去った。


残ったのは二体の屍。

そうして残された十数人には、静寂が舞い降りたのであった。






※ ※ ※






必死だった。無我夢中だった。


繰り広げられる攻防の最中。といっても一方的であったが、そんな中でも妹の助力を得て放とうとしたあの一撃。時が止まったかのように一瞬静止した彼の隙を突いて、バケモノが鈍く目を光らせたように見えた。


何かイヤな予感がした。


身体の内側より弱まっていく力が、それでも警鐘を鳴らす。


だがそれは諸刃の剣だった。

使えば、自分が自分でなくなる。そう感じ取った。


自分の中で起こった一瞬のせめぎ合いは、終わりの力同士がぶつかり合う音が聞こえるようであった。



でも、それでもぶつかり合う一端を掴む。



そこからの使い方はその力が教えてくれた。



教えられるがまま、指向性を加えてやる。

すると先程まで喧嘩していた二つの力は、一つの強大な破壊となって全身を包む。


無我夢中で放った波動は龍の目論見を打ち砕き、少年を守る。


だが代償として負ったのは、自らの変貌であった。


気が付けば周りには見知った人で満ち溢れていた。


恐れ慄き見つめる幾数十もの眼。



「…なん、で」


そんな目で見つめるの。



「ちが…うの」


信じて、もう怖がらなくていいの。




『でもあなたたちだって、私を犠牲に生き残ろうとしたでしょう?』


内なる声が、私を終わりへ誘う。


「や、め……」



『何を止めるというの? これからするのは、間違い直し』




「来な……で」


来ないで。あなたたちを傷付けてしまう。



『ーーーー』



いつの間にか懐に潜り込んだ少年は私の身体を掴み、とても人とは思えない身体能力にて、混沌の坩堝を脱出した。


夜の半月だけが二人を照らしていた。
















さて、始まりました「出会った君は龍の生贄」!!

略称募集中〜(`・ω・´)

設定重めが好きな人は好きな物語になりますかね、。


高低関わらず評価ヨロシク!




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