「死について」 「料理」
「死について」
君は知ってるか
僕らはみんないつか死ぬ
なにをしてる
なにもしてない
僕らはいつか死ぬ
さよなら
別れの言葉も言えず死ぬ
消したい記憶も
忘れたい人も
すべて消えて
死んだ後のことを思ってなにをする
誰も彼もいつか死ぬ
それでも今生きている
だからこそ
いつか死ぬ
だからこそ
「料理」
一つまみの塩こしょう、砂糖多め、外は雨。
ぱらぱら、音が家の中まで聞こえる。
旦那はリビングのソファーでスマホをいじっている。
刻んだアスパラ、細かくちぎったレタス、
玄関のドアを開く音がして、小学六年生の息子が帰ってきた。
「おかえり」
どたどた足音、返事はない。
「手を洗いなさい」
親に言われた言葉を繰り返す。
セールで安かった牛肉、お湯に突っ込むうどん三玉、
湯がいて混ぜて、はい、出来上がり。




