おじいちゃん、過去にフラグ立てすぎ、バカなの?死にたいの その2
二人目の庶民の出身だが、王立魔術学園を首席で卒業しそのまま
研究職に就いていた才媛、リーガのお話です。
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それは、12年前の春のある日のこと。
少女は、裸足で、着ている服も裾や袖口が焼け焦げそして
顔も煤で汚れてい、焼け落ちた屋敷の前で呆然と立ち尽くしていた。
「お父様、お母様…」
その前日の夜その屋敷は、火事が起こり、焼け落ちそして、少女だけが生き残ったのだ。
親族が近くにいれば別なのだろうが、親族は近くにおらず少女は悪意に晒されていた。
太ってにやけ顔の男がその少女の前にやってきた。
「お嬢ちゃん、ここの娘さんかい」
「は、はい、おじさまは一体?」
「私はお前の父にお金を貸していたものだ。」
「え?お父様がお金を借りていた?」
「そうだ、お前のお父さんのお店は、経営が不振でわしからお金を借りておったのだ。」
「…」
「こんな時で悪いんだが、もう返せないと思うから、借金お返済の代わりに、
お父さんのお店の経営権を残された親族であるお前が、わしに譲り渡す書類に
サインをもらえないかな?」
「え?で…でも」
「ああ、別にお前さんを借金のカタに売り飛ばして補填するのでもいいが、どっちがいいかい?さぁ選べ!!」
少女は泣き出した。
「泣いたって借金はなくならんぞ、さぁここにサインをするんだ!!」
少女は恐怖のため書類をよく読まずにサインをしてしまおうとしていた。
そこに立派な馬車がやってきて止まった。
従者がドアを開けるのも待たず中から男が飛び出してきて言った。
「トーマスは無事か?その家族は?」
おじいさんである。
トーマスとはこの家の焼けた家の主人のことである。
「お…お父さんは昨日家と一緒に…」
少女は泣きながら言った。
「お前はもしかしてトーマスの話に聞いていた娘か?確かにトーマスの面影がある。
しかしなんだって、なんでそんなことに…」
「おじいさんはお父さんのお友達なの?助けて!!」
「どうしたんだい?」
「このおじさんにお父さんが借金をしてて、それでお父さんの書類にサインをして
お店を渡すか、私を借金のカタに売り飛ばすかどちらかを選べって…
もう私どうすればいいのかわからないの・・・」
少女はおじいさんに泣きついて離れない。
「君、少しいいかな?」
「え・・えっとお邪魔なようで…」
男は逃げ出そうとした。しかしおじいさんの意図を読んだ護衛のものに回り込まれ逃げれない。
「この国では、親の借金で子供を奴隷にすることは禁じられていることは
誰でも知ってることだと思うが違うかね?」
「いえ?そんなことは知ってますよ。その子が勝手に言ってるだけです。」
おじいさんが目配せをすると、護衛のものがその男の書類を奪い取りおじいさんに渡す。
そしておじいさんが目を通すと言った。
「これは借金ではなく、経営権の無償譲渡の書類だな。」
「…」
男は逃げ出そうと暴れる。しかしおじいさんからは逃れられない
「そもそもトーマスはわしの友人の息子で、経営に失敗したなんて話は聞いたこともない怪しいな」
「ふん、もういい勝手に捕まえろ。まあお前が貴族だろうと、
私にはベルン伯爵がバックについてるんだ。ただではすませないぞ!!」
「そうか伯爵か…おいお前、いつから伯爵家が公爵家より偉くなったのかな?貴族法の改定なんぞ
トンと聞いたことはないが」
おじいさんは護衛のものに声をかける。
「いえ多分にそんなことは聞いたことはありません。」
空気を読んだ護衛はなりと笑いながら答える。
「こ・・・公爵?」
「ああわしは、ピア公爵家の現当主だが一体なんだね?」
「い・・・今のはじょ・・・冗談ですよ…は…はははは…」
男は汗を滝のように流している。
「怪しいな、ただベルン伯爵家といえば王都の警邏を担当する家、念の為
王国軍の憲兵隊屯所に連れて行け。」
「はい、閣下」
逃げ出そうとする男をおじいさんの護衛は、縛りあげそして辻馬車を止め連れ去っていった。
「おじょうちゃん、お前のお父さんのお父さん、そうおじいさんに当たる人とわしは親友でな
大きな借りがあって、息子が、いざという時には頼むと言われていたんだよ。」
「え?」
「とりあえず、ここにいても辛いだけだし、まだ肌寒かろう。うちの王都の屋敷においで
それから後のことは考えよう。なあに後のことは、このおじいさんに任せない。」
「…」
「そうだな、確かに急にこんなことがあって、急に知らないおじいさんに話しかけられても
怖いよな。」
「こ・・・怖くはないです。」
少女は震えながらいった。
「さぁお姫様、御手を拝借」
おじいさんは少女を一人で立たせるとその手を取った。
「え?」
「お姫様、この年老いた騎士ですがお嬢様の騎士として御身を守らせていただけませぬか?」
少女はコクリとうなづき、そしておじいさんの王都の家に引き取られることとなった。
その後、その火事は、トーマスがみかじめ金を納めないため見せしめに
男が行ったもので、似たような事件が他にもあり。
そしてそのほとんどの店をその男が乗っ取っていたことが判明し
それには、ベルン伯爵家のもみ消し工作などで関与もあったことが判明し
伯爵家もお取り潰しとなった。
そして当初、おじいさんは少女を養子としようとしたが、
少女は、他のことは認めてもそれだけは認めなかった。
「どうしても叶えたい、でも叶えられない夢があるの。そのために…」
そしてお世話になったおじいさんの家を離れ少女は王立魔術学園に
特待生で入り、そして首席で卒業し、研究職に就いた。
そして数年後…
「お嬢様、新しい香水の販売について伯爵家から専売権を売って欲しいと連絡が来たのですが」
「ダメですわ、うちの店は、誰にでも開かれたお店。おばあさまになら
とある条件を認めてさえくれればいっそお店ごとお渡しするんですが…」
取り返したお店の経営は順風満帆のようである。
研究職に就いていた才媛 改め、 学園の研究職と 美容関係の新しい
商品を開発し続け 自分の代で商会を国内随一まで育て上げた才媛
なぜ養子になりたくなかったのか、どうしても一刻も早く一人前になり
たかったのか?おばあさまとは一体誰か、とある条件とは何か?
それはまた次の機会に…?
また重い子が一人・・・・
このおじいさんやばいレベルで依存されるフラグを立てすぎである。