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第27話「茶の湯の心②」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

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「ありがとう、イシュタル。お前は他家から嫁に来た身だ。新たな家臣との関係、しきたりの違い等、いろいろ不慣れで大変だとは思う」


「…………」


「しかし自信を持て! 聡明なお前なら大丈夫だ。そして俺とお前は、心も身体も結ばれ、完全に寄り添う夫婦となった」


「はい!」


「もしも困った事があればすぐに言え。俺は誰の前でも堂々と、お前を嫁として扱い、しっかり守る!」


「はいっ!」


 俺の言葉を聞き、安堵と勇気が生まれたのだろう。

 再び、より大きな声で返事が戻された。


 イシュタルの気持ちはとても晴れやかになったようだ。

 漆黒の瞳が、しっとりと濡れたように光っている。


「よし! では、とりあえず着替えよう。夜が明けたら朝飯を食べる。俺とお前、そしてエリザベスと3人で一緒にな」


「え? 3人で一緒に?」


 先ほど微妙な壁があると言ったのに?

 どうして?

 

 驚いて目を丸くするイシュタル。

 そんなイシュタルへ、俺は黙って頷いた。


 『引継ぎ』の際、アーサーから教えて貰ったが……

 この異世界では朝食を摂る。

 

 ちなみにこの異世界に酷似する世界の地球の中世西洋では、

 昼と夜の2食だったらしい。

 まあ、所変われば品変わるという事だ。

 

 以前バンドラゴン家では、全員一緒に食事を摂っていた時期もあったらしい。

 それも頻度的には、全員が集まりやすい『朝食』の割合が高かったという。

 

 しかし、父王クライヴがやまいを得てからは全員で食事をする事はなくなった。

 猛き父を中心にしてまとまっていた、家族の絆は、どんどん脆くなって行った……

 弟コンラッドが、兄のアーサーを亡き者にしようと陰で画策していたから、尚更バラバラになったのだ。


 なので、いろいろ考えた

 ……結果俺の打った手は、3人で朝食を摂るだけではない。

 それだけじゃあ、面白くはない。

 ちょっと趣向を凝らした、食事の方法にしたのだ。


 そんなこんなで……

 やがて午前6時となった。

 

 俺はまず、侍女をエリザベスへ使いに出した。

 1時間後に、俺が迎えに行くと告げて。

 「朝食を一緒に食べよう」という伝言も合わせて。


 そしてイシュタルを連れ、朝食を用意した部屋へ行く。

 騎士とオーギュスタを護衛に付け、一旦部屋にイシュタルを残し、俺がエリザベスを迎えに行くのである。


 俺が直接迎えに行ったら、エリザベスはいろいろと考える筈だ。

 昨夜『姉』と同衾した兄が朝一番で自分の下へ来てくれた

 これは自分に最も気を遣ってくれていると。


 しかし俺は改めて誘う、はっきりと。

 『家族3人』で飯を食おうと。


 果たして……

 エリザベスは、どう答えるのであろうか。

 

 もしかしたら、あっさり断る?

 しかし俺は、「はい!」と快い返事を貰える大きな自信を持ち、

 午前7時ぴったりに……

 愛する妹の部屋の扉をノックした。


 昨日と違って、扉はすぐ開いた。

 開いた扉のすぐ傍に居たエリザベスは、しっかり身支度をして待っていた。

 

 昨日会った時の、すっぴんでさえ超可愛いのに、今朝は化粧までバッチリ。

 12歳にはまるで見えない、大人の色香が漂っている。 


 じゃあ「機嫌はどうか?」と見やれば、

 微笑みながら元気良く挨拶もして来る。


「おはようございます! お兄様」


 うん!

 この様子なら、敢えて返事を聞くまでもない。

 言葉に出して、ベタに誘う事自体も愚の骨頂。


「おお、エリザベス、おはよう! 3人で飯を食うぞ。さあ行こう」


 宿敵イシュタルも入れて「3人で」と、ストレートに誘っても予想通りである。

 エリザベスは反抗して「嫌」とは言わない。

 彼女は俺の『立場』もしっかり理解してくれている。

 さすがに『出来る女子』なのだ。


「はい! 喜んでお食事にご一緒致します。でも……お兄様も大変ですね」


「ん? 何が?」


「お兄様はまもなく王とおなりになり、このアルカディアの政務で手一杯になるのは目に見えているのに」


「ふむ」


「朝一番で、私みたいなわがままな女子の機嫌も取らなくてはいけないなんて」


「いやいや、お前はわがままじゃないし、これも大事な仕事だ」


「うふふ、大事なお仕事なのですか?」


「ああ、お前とイシュタルは、これから俺の大事な両腕となる」


「私が? お兄様の? それは光栄です」


 俺が、イシュタルの名前を出しても華麗にスルー。

 やはり、エリザベスが相当の『ライバル心』を持っているのは明らかだ。

 ただ、俺の為に働くのは全く異存がなさそうでホッとした。


「おう! 部下同士の人間関係の調整も王たる俺の仕事だからな」


「部下同士の? 人間関係の調整? うふふ、やっぱり王様って大変そうですね」


 俺に頼られたと思ったのか、エリザベスは凄く嬉しそうだ。

 そしてイシュタルとの事を、まるでひとごとのように笑う。


 そうこうしているうちに、俺は朝食がセッティングされた部屋へ到着した。

 扉の前には騎士が一名、護衛の為、直立不動で立っていた。


「アーサー様、お疲れ様です」


 敬礼をする騎士へ、同じく敬礼で返す俺。


「おう、異常はないな? 引き続き、警護を頼むぞ」


 エリザベスと騎士が見守る中、俺は扉をノックした。


「はい!」


 だが返事をしたのは、イシュタルではない。


「待たせたな、アーサーだが」


「はい! 今、すぐ開けます」


 扉が開き、現れたのは……

 これまた『護衛』に残したオーギュスタである。

 俺が戻るまで、イシュタルが待つ間の話し相手も兼ねている。


「うふふ、アーサー様! お疲れ様です!」


「え? 貴女はアヴァロンの?」


 優しい笑顔を浮かべる、オーギュスタを目の当たりにして…… 

 それまでは余裕で澄ましていたエリザベスも、さすがに驚いてしまったのであった。


 だが。エリザベスが驚いたのは当たり前かもしれない。

 これも昨日「エリザベス視点から見た」という事で聞いていたが……

 

 イシュタルが輿入こしいれした際、当然の如くだが、

 オーギュスタが『侍女』というい名目で護衛についていた。


 しかし……

 オーギュスタがただの侍女ではない事は一目瞭然。

 エリザベスには当然分かった。


 ブリオーではなく、アヴァロン製のごつい革鎧に身を固め……

 肩幅が広く、二の腕がムキムキ、全体の体つきも超がつくたくましさ。


 その時のオーギュスタはいかめしい顔付きで、周囲を睥睨していたという。

 完全にこわもての『女武官』という雰囲気で。


 だからエリザベスは驚いた。

 目の前で優しい笑顔を浮かべるオーギュスタが、全くの別人に見えるから。

 『こわもて武官』というイメージと、全く合わないのだろう。


 でも……

 実は俺のサプライズって、イシュタルとエリザベスへ起こすだけじゃない。

 このオーギュスタにも「ドカン!」とさく裂させる予定なのだ。


 先手必勝?

 よし、早速サプライズの発動だ。


「さて、じゃあオーギュスタ、お前には俺を手伝って貰おうかな」


「へ?」


 全く想定外の依頼に、オーギュスタはきょとんとしていた。

 あどけない少女のような仕草で。

 

 まあ。当然だろう。

 ただ「待て」としか、俺は彼女へ命じてはいないから。


「ははははははは!」


 びっくりしているエリザベス、そしてポカンとしたオーギュスタを見て、

 3人へのサプライズを成功させた俺は、思い切り大笑いしていたのである。

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