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わたくしの心臓はもつのでしょうか

王都に着くと、懐かしい気持ちになります。昔よく社交界のためにお母様やお父様と来てたので。最近は社交界に出ることも少なくなってあまり王都には来てませんでした。

これからは王都に住むから逆にレインリーンの領地が懐かしくなるんでしょうね。

窓の外をまじまじと見てたからでしょうか、アレン様が話しかけてきました。


「王都にはあまり来ないのですか?」


「べ、別にそういう訳ではないのですが、ただ、お母様との思い出を懐かしんでいただけです。すみません、まだ新しい生活が不安でそんなことを思ってしまうんでしょうね」


お母様曰く、完璧にしすぎるよりも少し弱み、ダメなところも見せると男性は魅力に感じやすいって言ってましたね。

まぁ実際不安です。


「その気持ちは分かります。私も騎士になりたての時は不安でしたから。といってもまだまだ新人ですけどね。何か困ったことがあれば私を頼ってくださいね」


なぜ平気な顔でそんなこと言えるんですか?あぁ、ダメ、アレン様の方を見れないです。多分今顔が赤くなってますね。熱い。


動悸がおさまらなくてわたくしの心臓が心配になってきた頃に、王都にあるサンノット家の別荘に着きました。さすがは公爵家、とても広いですね。お庭の手入れや掃除もしっかりしています。使用人は何人いるんでしょうか。レインリーン家は王都に別荘はなくて、いつもホテルに泊まってたので、王都に住むのは初めてです。


「お帰りなさいませ、旦那様、奥様」


そうでした。わたくしはもうレインリーンではなくなってるんですね。これからはティアラ・サンノットと名乗らないといけません。普通に恥ずかしいですね。あと嬉しくてにやけないようにしないと。


「ティアラの部屋はもう用意してますよ。今日は使用人達を紹介するので、見てきたら大広間まで来てください。気に入ってくれると嬉しいです」


そう言って、アレン様は他のところに行ってしまいます。安心と少しの名残惜しさがありますね。


ユニも他のメイドについていってしまいました。使用人の部屋に行ったのでしょう。


「では奥様、こちらへ」


若いメイドだと、不安にさせることがあるからなのか、ただ優秀なだけなのか、壮年のメイドが結構見えますね。


「ここが、わたくしの部屋?」


白を基調としている部屋で、わたくし好みのレイアウトになっています。これはアレン様が決めてくれたのでしょうか?


「では奥様、お着替えを致しましょう」


「え?聞いてないのですけど」


まぁどこに何が入ってるのかの把握が必要ですし、この服も少し汚れてしまったので断る理由はないですね。


「どの服に着替えればいいですか?」


……………………………………………………………


「お、お待たせしました」


「うん、よく似合ってますよ」


まさか自分の持ってる服じゃなくて、アレン様が選んだ服を着るとは思いませんでしたよ。メイドが言ってました。

お母様が時に恥じらいを見せることも大事って言ってましたね。ちなみに今は素で恥ずかしいです。


「では順番に自己紹介してくれ」


「では私から、執事のジェームズでございます。普段は旦那様の秘書をしております」


「マリンです。メイドの統括をしています」


「料理人のデイビッドです。食べられないもの、食べてはいけないものがあれば私に言ってください」


ここにいないのは庭師2人と警備3人

メイドはマリンの他にはユニを除いて、三人いて、どの人もユニよりも年上くらいでした。


そして最後にわたくしも挨拶します、


「この度サンノット家に嫁いできたティアラです」


お母様が、使用人には嫌われないように、かといって舐められないようにしなさいと言ってたので、それとない挨拶をしましたけど、、


この場にいる使用人達はティアラの可憐な容姿に目をとめ、優雅な挨拶で貴族としてしっかりしていると感じとった。



挨拶が終わって、みんなが持ち場に戻る頃に、お昼の時間になる。


「アレン様、わたくしこんなに食べられません」


「ん?あぁ気にしなくていいですよ、ティアラの好みが知りたいだけですから」


それなら口頭でもいいと思うんですが。


「では、あれと、これと、あとそれも少しずつお願いします」


せっかく作ってくれた料理人に悪いので嫌いじゃないものは全種類食べる。


「あ、あのその、見られていると食べづらいのですが」


味とかわかんなくなっちゃいますよ!


「すみません、つい、見とれてました」


アレン様が、わたくしを?もしかしてもう惚れてるんですか?あ、わたくし、自分が好意を表に出さないことに必死になっててアレン様の気持ちを考えてませんでしたわ。


「み、みとれ!?きゅぅ」


「ティアラ!?ティアラ!早く看病の用意を」



どうやらわたくし、倒れてしまったみたいです。情けないですね。アレン様の言葉で頭がボンっとなって、うぅ今思い出しても身体が熱くなってしまいます。あ、あくまで好きということを表に出してはいけないのに、、やってしまいました。完全に気づかれましたよね?


「ティアラ、よかった、目が覚めたみたいですね」


「えぁ、アレン様?」


いたんですか?変な声が出てしまいました。


「ちょっと疲れていたみたいです。今日はもう休ませてもらってもいいですか?」


「わかりました。無理はしないで下さいね」


アレン様が部屋を出ていくのを見て一息つく。


「心臓に悪いです。わたくしこの先大丈夫なんでしょうか」


「お嬢様、大丈夫ですか?倒れたって聞きましたけど」


「大丈夫です。疲れが出てた見たいですね」


「お嬢様は特にお身体が弱いとかそういうのはないのに珍しいですね。あ、もしかしてアレン様が原因ですか?」


なんでユニが?わたくしの気持ちは誰にも言ってないはずなんですけど。


「アレン様は他のご令嬢の方から人気がありましたからね〜私でも見とれちゃいますよ」


「わたくしはダメなんです。他の令嬢と同じでは」


「でもアレン様のこと好きなんですよね?」


「わたくしそんなにわかりやすいですか?」


「少なくとも私にはわかりますよ、ずっとお嬢様と一緒でしたからね」


ユニがレインリーン家の使用人同士の子供で、ユニと私は小さい時から一緒に育ってきた姉妹みたいな関係です。年はわたくしの3個上で、よく相談事にのってくれてます。


「なのでお嬢様のお気持ちもわかります。奥様の言葉が離れないのでしょう?もちろん奥様の言葉を否定するつもりはありません。お嬢様はお嬢様ということです」


?ユニが何を言っているのかわかりません。でも、理解者がいるということはとても心強いです。


「ありがとうございます。ユニ、あなたこそ大丈夫でした?」


「ここの人はみんな優しかったですよ。お仕事も変わらずお嬢様のお世話みたいです」


「では改めてよろしくお願いしますね。それと、わたくしはもうお嬢様ではありませんよ?奥様です」


「そうでしたね。若奥様」


まだわたくしが子供っぽいってことですか?むむむ、もっとしっかりしないとですね。

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