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FILE0:はじまり
目が覚めたら僕は草原に横たわっていた。
むわ、とした青草の匂いが鼻をくすぐる。
草が風に揺られ、ザワザワと立てる音が耳に心地良かった。
見覚えのない景色だった。
東京生まれ。
無機質な灰色のコンクリートに囲まれて、僕は育った。
360゜見渡す限りに広がった草原など、今まで僕は見たことが無い。
──ここは一体どこなのだろうか
疑問が頭をよぎる、がすぐにどうでも良くなってしまった。そんなことはもう関係がないではないか。
僕は自分の死に場所を探していた筈なのだから。